わくさき日記

千葉県習志野市の司法書士事務所の日常です。

デジタル終活

2017-06-23 08:22:31 | 司法書士
あなたは、パソコンやスマホを遺して死ねますか?

何も悪いことしていないのに、結構ドキッとする問いかけではないですか?

・・っえ?私だけ?
いやいや、男性諸氏は・・・苦笑

昨日は、そんなことをテーマにした日本デジタル終活協会のデジタル終活セミナーに参加してきました!



講師の伊勢田弁護士は、終活弁護士としてもご活躍をされています。
TVや新聞、雑誌などの取材も多く受けられているとのことでした。

そもそもなぜ、冒頭の質問でドキッとしてしまったのでしょうか。
ドキッとしないまでも、不安を感じた方は多いかと思います。

自分が死んでしまったら・・
パソコンのデータやスマホに入っている写真、パソコン上でつながている人への連絡、
へそくりで楽しんでいるネット証券、FX取引・・・・
一体どうなってしまうのでしょうか。

そうしたことが、ぱっと頭をよぎった方が、ドキッや不安を感じられたんだと思います。

昨今、終活という言葉が一般化し、エンディングノートが登場して久しい感もあります。
とはいえ、不動産や預貯金などの主に目に見えるもの=アナログの対策がメインだったのではないでしょうか。

一方、パソコンのデータや自分だけで楽しんでいるネット証券、家族に知らせていないネットバンキングなどは、他人からは目に見えません。
業務上の重要なデータが格納されていたら、リスクの高い金融商品をネット証券で取引していたら・・
自分が死んだあと、とんでもない損害を発生しかねません。

また、墓場まで持っていかなければならなかった秘密を、遺族がパソコンを見ることよってバレてしまったら・・・
それにより家族を傷つけたりしてしまったら、それこそ不幸です。

このようにデジタルデータは、アナログにもましてしっかりと対策しておく必要があります。
アナログの終活と同時に盲点になりがちなデジタル終活も忘れずに行うようにしたいものです。

また、デジタル終活は老いも若きも問わないところに特徴があると思います。
確かに若い方は高齢者に対して死に対するリスクは小さいかもしれません。
しかし、万一、死に遭遇すれば、デジタルデータに対するリスクは、高齢者に比べ大きい場合もあり得ます。
なので、死に対する備えは、年齢を問わず行っておくべき時代になったといえるのかもしれません。

皆さんも是非デジタル終活を始めてください!

日本デジタル終活協会

http://digital-shukatsu.net/

高齢者の入居問題と空き家対策

2017-06-13 07:40:03 | 司法書士
昨日の読売新聞に「高齢者に空き家紹介、国が支援・・・情報や家賃補助」とありました。

高齢者が賃貸物件の入居を申し込んでも、孤独死や家賃滞納のリスクが高いなどの理由から入居を断られることが大きな問題となっています。
一方、空き家の数も年々増加し、平成25年の調査では約820万戸が空き家になっていると推計されています。

この高齢者の入居問題と空き家問題の両方に取り組んだのが今回の国の支援策になります。
入居者への家賃補助や万一の家賃滞納の際も債務保証の補助もあるそうです。
また、家屋の改修にも最大200万円の補助がされるとのこと。

どちらの解決策ともなり、スキームが有効に機能することが期待されます。
とはいえ、本支援策では20年度までに17.5万戸の登録目標とされています。
今般、空き家が820万戸、今後10年間に予想される単身高齢者世帯の増加は100万世帯です。
それを考えるとこれだけでは全く足りていないことがわかります。

平成26年には「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、国も空き家対策に取り組んでいます。

空き家は上記のとおり約820万戸とされていますが、その内訳は次のとおりです。
賃貸用429万戸・売却用31万戸・二次的住宅41万戸・その他318万戸。
二次的住宅とは別荘などです。
つまり、空き家820万戸のうち、いわゆる人が住んでいないという意味での「空き家」はその他の318万戸と言えます。

環境の悪化や治安問題などから早急に手を打たなければならないのは318万戸の空き家です。
特別措置法の空き家対策もその点を狙っているものと思われます。

その点、今回の支援策は、主に429万戸の賃貸用の支援策にはなりえても、318万戸の解決策にはなりにくいと考えられます。
なぜなら、そもそも賃貸用と考えられていない物件を今回の支援策に基づいて用途を変更するとは考えにくいためです。

また、空き家の増加を抑制するにも力不足だと考えれれます。
なぜなら、空き家の増加数は、賃貸用よりその他のほうが増加数は多いからです。
つまり、空き家の全体数を減らすのであれば、その他の増加数を抑制・抑止する方策を打ち立てていく必要があります。

高齢者の入居問題もとても大きな問題です。
その点、今回の支援策はとても意義のある取り組みであると思います。

とはいえ、本支援策では高齢者の増加数にも追いつかず、空き家対策の根本的な解決策になっているわけではありません。
我々も含めて、高齢者入居問題・空き家問題にはもっともっと積極的に取り組んでいく必要性を感じました。

合格者500人割れか!?

2017-06-08 07:52:59 | 司法書士
平成29年度司法書士試験の出願状況が法務省のHPに掲載されていました。

出願者数は18,831人
2万人を割り込んでますね。
そのHPには平成24年からの状況が載っていますが、平成24年は29,379人です。
1万人以上減ってしまったんですね。
きれいな右肩下がりです。
登記件数と同じ傾向なのが面白いですね。(面白くないか・・)
(はたまた債務整理の件数なのかな??)

で、もう少し詳しく見たことろ、面白い傾向がありました。

出願者数と実際の受験者数と合格者数です。下記数字は右の順番です。

平成26年 24,538 20,130 759
平成27年 21,754 17,920 707
平成28年 20,360 16,725 660
平成29年 18,831   ?  ?

実際の受験者数÷出願者数≒82%
合格者数÷実際の受験者数≒3%

この傾向を今年に当てはめると
18,831×0.82=15,441
15,441×0.03=463

合格者は500人を切ってしまうかもしれませんね。

司法書士業界も人手不足が深刻化しそうです。。。。

受験生の皆さんは頑張ってください!

登記関係記事がたくさん

2017-06-07 08:06:45 | 司法書士
今日、新聞やネットをチェックしていると登記が関係する記事が目につきました。

①法務省調査 山林の相続登記低調(読売)
法務省が相続登記がされずに放置されている土地について、初の実態調査をしたそうです。
‟初”なんですね。
それ自体にちょっとびっくりしましたが。

都市部と地方を調べたら田畑で23%、山林で32%が50年以上変更登記がなく放置状態なのだそうです。
ちなみに都市部の宅地は10%程度。
やはり田畑・山林は宅地に比べ2~3倍放置されているんですね。

記事にもありましたが、相続登記は義務ではありません。
名義を変更しなくても罰則などはないです。
この点の知識は確かにウソではないのですが、放置に拍車をかけているのではないでしょか。

義務じゃないけど、やらなくていい・放置しておいていいってことでは決してありません。
誤解というか、都合がいい解釈を生んでいるというか。。。
と言っても、資産価値ゼロなものに対して、費用かけてまで名義変更をしたくないっていう気持ちもわかりますが。

いっそのこと、相続税に期限があるみたいに例えば相続開始後15か月以内の相続登記は登録免許税無料、
専門家の費用も50%助成しますってくらいの制度改革はいかがでしょうか??


②地面師再逮捕へ(読売)
所有者の女性に成りすまして、土地を勝手に売却してしまったのだそうです。
司法書士としては、ヒト・モノ・意思の確認と言いますが、改めてその重要性を認識する記事です。
決して巻き込まれてはいけない事件ですが、今回は弁護士の方が立ち合い、登記申請まで行っていたようです。

最近の傾向として高齢者の所有、空き家などが狙われているとのこと。
成りすまして売却しても気づかれにくい物件ということのようです。

不動産登記の世界でも登記識別情報通知書が登場してから10年以上が経過し、登記済権利証ではない決済も随分と増えました。
反面、登記済権利証を扱う機会が減ってきています。
偽造するなら権利証だと思いますから、機会が減ってきたからこそ、これまで以上に権利証の真贋を見抜く感度をしっかりと高めに持っていなければならないと思いました。

③国交省に不正アクセス 登記情報など流出(ネット記事)
国交省の「土地総合情報システム」が不正アクセスを受け、アンケート情報や氏名のほか、所有権移転登記情報が流出したとのこと。

国交省のシステムと法務省の登記情報がリンクしてるんですね、きっと。
ネットやシステムでつながるのは便利ですが、やはりこのような流出事件は起きてしまいますよね。
マイナンバーとか本当に大丈夫なんでしょうか。

便利になることと、安全の確保は反比例するように思います。

個人情報を守りたければ、アナログにしておくこと・不便にしておくことが一番だと思うのですが、世の中はそうはいかないんですよね。
登記情報は、一定の手続きを取れば公開されている情報とはいえ流出していいものではありません。

しっかりと管理してほしいと思います。

相続放棄と財産放棄

2017-06-06 07:35:34 | 司法書士
相続のお話をしているとたまに出てくるのが、相続放棄の話です。

相続放棄とは、民法915条に定めている手続きで、自分のために相続開始があったことを知った時から
3か月以内に家庭裁判所にその旨の申述をすることで行うことができるものです。

この相続放棄をすると最初から相続人でなかったことになります。

相続が開始すると相続人は、現金・預金や不動産といったプラスの財産のほか、借金のようなマイナスの財産も承継します。
そのため被相続人が借金だらけだった場合は、相続放棄も一つの選択肢となります。
相続放棄をすると、最初から相続人でなかったことになるので、相続放棄をすることによって借金を承継しなくてよくなります。

一方、「私は相続放棄をしている」と話されている方にもよくお会いします。

その時「裁判所の手続きされましたか?弁護士さんとかとお話したりしましたか?」とお伺いするようにしていますが、
裁判所にはいっていない、弁護士にもあっていないというお返事の方も多いです。
この場合の「相続放棄」は、遺産分割協議でプラスの財産を承継しなかった、いわゆる「財産放棄」のことなんだと思います。

とはいえ、相続放棄でも財産放棄でも結果的に一緒なのでは?

うーん、そうですね。日常生活レベルでは、もしかしたら違いが表面化せずに、違いは分かりにくいかもしれません。
ただ、法的には全然違うんです。

相続放棄は、先も言いましたように、その手続きをすることによって最初から相続人とはなりません。
したがって、被相続人の財産分けをする遺産分割協議に参加することはありませんし、今後の相続に関する手続きに関与することも基本的にはありません。
また、仮に、マイナスの財産があったとしても、最初から相続人ではないので、借金を承継することはありません。

一方、財産放棄は、遺産分割協議によってプラスの財産(例えば被相続人名義の自宅の持分とか、預貯金とか)をもらわないということです。
プラスの財産はもらいませんが、相続人には違いはありませんので、遺産分割協議書に押印等をする必要がありまし、相続に関する手続きに関与を求められることになります。
また、借金は相続人だけの遺産分割協議だけでは、相続人の一人に引き受けさせることはできません。
借金には必ず債権者(貸した人)がいますので、もし、相続人の一人を債務者としたければ、別途その債権者と話し合う必要があります。
なので、債権者がその話し合いに応じなければ(応じる義務はない)、財産放棄をした人も含め、相続人全員が法定相続分の割合で借金を承継することになります。

このように、相続放棄と財産放棄は大きくことなり、相続放棄をしたからもう相続の手続きは関係ないと思われていても、それが財産放棄だった場合は、相続人として名義変更等の手続きに
ご協力をいただく場合もあります。

使い方自由・穴埋め不動産登記法⑤

2017-06-05 08:00:22 | 司法書士
第三節 権利に関する登記

     第一款 通則

(権利に関する登記の登記事項)
第五十九条  権利に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。
一  登記の  
二  申請の受付の年月日及び     
三  登記原因及びその日付
四  登記に係る権利の権利者の      及び  並びに登記名義人が二人以上であるときは当該権利の登記名義人ごとの  
五  登記の目的である権利の  に関する定めがあるときは、その定め
六       禁止の定め(共有物若しくは所有権以外の財産権について民法 (明治二十九年法律第八十九号)第二百五十六条第一項 ただし書(同法第二百六十四条 において準用する場合を含む。)の規定により分割をしない旨の契約をした場合若しくは同法第九百八条 の規定により被相続人が遺言で共有物若しくは所有権以外の財産権について分割を禁止した場合における共有物若しくは所有権以外の財産権の分割を禁止する定め又は同法第九百七条第三項 の規定により家庭裁判所が遺産である共有物若しくは所有権以外の財産権についてした分割を禁止する審判をいう。第六十五条において同じ。)があるときは、その定め
七  民法第四百二十三条 その他の法令の規定により他人に代わって登記を申請した者(以下「代位者」という。)があるときは、当該   の氏名又は名称及び住所並びに代位原因
八  第二号に掲げるもののほか、権利の順位を明らかにするために必要な事項として法務省令で定めるもの

(共同申請)
第六十条  権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、     及び     が共同してしなければならない。

(登記原因証明情報の提供)
第六十一条  権利に関する登記を申請する場合には、申請人は、法令に別段の定めがある場合を除き、その申請情報と併せて          を提供しなければならない。

(一般承継人による申請)
第六十二条  登記権利者、登記義務者又は登記名義人が権利に関する登記の申請人となることができる場合において、当該登記権利者、登記義務者又は登記名義人について相続その他の一般承継があったときは、            は、当該権利に関する登記を申請することができる。

(判決による登記等)
第六十三条  第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に          を命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が  で申請することができる。
   又は法人の  による権利の移転の登記は、登記権利者が単独で申請することができる。

(登記名義人の氏名等の変更の登記又は更正の登記等)
第六十四条  登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、登記名義人が  で申請することができる。
2  抵当証券が発行されている場合における債務者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、   が単独で申請することができる。


(※本データは、総務省提供の法令データシステム(e-Govウェブサイト(http://www.e-gov.go.jp))を利用しております。当データの利用に伴って発生した不利益や問題について、何ら責任を負いません。)

尊骨士(とどけびと)

2017-06-02 07:29:59 | 司法書士
司法書士は仕事柄、官報を見るときがあります。

会社関係だと、合併をするときに公告をしたり、解散時にも公告をします。
会社は、株主や従業員、社長だけのものではなく、社会的に活動をしていますから、会社に大きな変化があるときは
会社の外部・第三者に人に対してもお知らせをしなければならないことになっています。

合併であれば、こんな会社と合併しますよとか、解散の時は、解散しますので請求漏れがないようにねといった感じです。
とはいえ、家族経営的な会社であれば形式的な儀式みたいなものだとは思います。
(関係者に何も知らせずに合併も解散もしないと思います。。)

ちなみにCMを意味する「広告」ではなく、「公告」であってます。

っで、その官報にはそのほかいろいろことが載っているのですが、その一つに「行旅死亡人」という公告があります。

行旅死亡人については「行旅病人及行旅死亡人取扱法」という明治時代にできた古い法律で定められています。

「行旅死亡人」といってイメージがしやすいのは、行き倒れの人などです。
ただ、必ずしも旅行先、出かけた先で亡くならなくてもよく、住所や氏名がわからず引き取り手がない方も行旅死亡人とされます。
したがって、おひとり様でひっそりと亡くなられて身元がわからないような場合も該当しそうです。

そして、行旅死亡人の対応は市町村が行うことになっています。
○○のような方が亡くなっていましたよ、ということを行旅死亡人として官報(又は新聞)に公告することになります。
さきの公告がそれです。

ところで、その公告を読んでいるとだいたい「火葬に付して保管しています。お申し出ください」みたいな感じで書いてあります。

いったいどんな感じで保管しているのかな?簡易なお墓みたいなものなのかな?って以前より勝手に想像していたのですが
どうやらそうでもないようなんですね。

先日、ある勉強会でお知り合いになった方から「尊骨士(そんこつし)」という取り組みについてお話を伺うことができました。

今の社会では、社会的なつながりが希薄になり、遺骨を取り巻く環境も厳しいのは素人的にも感じることがあります。
無縁墓などもその一つの現れなのかもしれません。
もともとはお墓に入れることができた遺骨でさえそのような状況ですから、身元もわからずに亡くなってしまった「行旅死亡人」の方の
環境も推して知るべしだと思います。
そして実際、私が想像していたのとは違い、火葬に付された行旅死亡人の遺骨は、何もないお部屋にただ保管されているだけのことを多いのだそうです。

無縁墓の遺骨も、行旅死亡人の方の遺骨も、確かに今は引き取り手のない遺骨になってしまったかもしれません。
ただ、その人にもそれぞれの人生があり、少なからず社会に貢献し生きてこられた方たちなんだと思います。
少なくとも、最後は縁あって日本の地で遺骨になっているわけです。
亡くなった後まで誰にも弔われずに無縁になってしまうのはなんだかさみしい気がします。

そのような状況に対して取り組まれているのが「尊骨士」の方なんだそうです。
誰にも弔われていない行旅死亡人などの無縁の遺骨を、宗教施設に送り届けるようなお仕事をされているとのこと。
なので「とどけびと」とも呼ばれているのだそうです。

亡くなった方は自ら動くことはできません。
だからと言って弔いもせず、放置していいものでもないと思います。

「尊骨士」のような方の取り組みがごく普通に行われるような社会になればいいなと、お話を伺っていて思いました。