わくさき日記

千葉県習志野市の司法書士事務所の日常です。

旧姓の使用(商業登記)

2017-08-25 08:52:43 | 司法書士
先日の読売新聞の一面に「「旧姓」でも銀行口座…手続き円滑化を政府要請」の記事がありました。
また、「政府は、6月に決定した「女性活躍加速のための重点方針2017」で、「旧姓の通称としての使用拡大」を明記した。
マイナンバーカードやパスポートでは今後、段階的に旧姓を併記できるようになる方向だ。」とのことです。

一般的に女性は婚姻(もしくは離婚)の際に氏が変わります。
各種の手続きも大変ですし、そもそも個人情報保護がこれだけ言われている時代に
重大なプライバシー事項を公表していることになります。
夫婦別姓の議論ともつながってくる話ですが、少なくとも旧姓の使用は認められてもいいのではないでしょうか?
ワーキングネームなどは随分と浸透しているように感じますが。

では、登記分野ではどうなのか?

商業登記=会社の役員の登記などでは旧姓の使用が認められています。

例えば、取締役や監査役は氏名が登記されますが、その際に旧姓を使用することができます。
ただ、旧姓を使用できますが、戸籍上の氏名と「併記」する形になります。

戸籍上の氏名 鈴木花子
婚姻前の氏(旧姓) 山田

取締役 鈴木花子(山田花子)

また、好き勝手な時点から旧姓使用が認められるわけではなく、一定の登記の際に合わせて申出をする必要があります。
例えば、上記の鈴木花子さんが、明日から旧姓を併記したいといって、登記上の理由もなく旧姓併記の申出をすることはできません。

婚姻して氏が変わったときや、設立、役員の改選の際などに限られます。

なので、上記の鈴木花子さんは、原則として次回の改選の時までお待ちいただくことになります。

そういった意味で、まだまだ使いにくい制度ですし、そもそも「併記」という時点で、旧姓使用とは趣旨がずれていると感じられる方も
いらっしゃるかもしれません。
そういう声が大きくなってくると別姓の話に向かっていくのかもしれませんね。

なお、旧姓併記をする場合は、別途の書類として戸籍謄本等が必要となります。
また、不動産登記の分野では旧姓の使用は認められていません。
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