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【特報】廃プラの塊 巨壁に 処理施設「もう受け入れられない」

2019年05月25日 08時45分18秒 | ごみ全般/環境政策

東京新聞「【特報】廃プラの塊 巨壁に 処理施設「もう受け入れられない」」から

 

【特報】廃プラの塊 巨壁に 処理施設「もう受け入れられない」
東京新聞 2019年5月25日
  環境省は20日、全国の自治体あてに、企業から出るプラスチックごみ(廃プラ)を焼却炉で燃やす検討をするよう通知した。これまで大量に廃プラを輸入していた中国が一昨年末から禁輸とした影響で、国内では廃プラが大量にたまっているためだ。一般には、プラスチックは分別収集・リサイクルという感覚があるため「燃やしていいの?」と思うが、実は、国内廃プラの7割は焼却処分。廃プラをめぐる国内外の状況を探った。 (石井紀代美、榊原崇仁)

 

東京新聞「こちら特報部」の記事を読んで、、、

廃プラスチックの問題を見開きで大きく特集しているのはよいのだが、、、
廃プラの輸出ができなくなって、国内に滞留、処理が滞っている現状は処理業者のコメントや写真入りでわかりやすいが、、、、

そもそもの、産業廃棄物と一般廃棄物の区分、
それぞれの処理責任をもっと明確に示して欲しかったな、、、
また、環境基本、廃棄物処理法、容器包装リサイクル法などの主旨なども
拡大生産者責任、3Rの原則、優先順位、焼却の位置づけ、

今、問題になっているのは産業廃棄物の廃プラスチック、
一般廃棄物の廃プラスチックはそれなりに資源化や処理はおこなわれているはず、

限られた紙面で、どこまでわかりやすく書くかは難しいのだろうが、、、
この記事を読む人が誤解するめんもあろうかと危惧する、、

特に気になった部分は、家庭から出されるプラスチック類、いわゆる一般廃棄物の廃プラ記載部分、、
「例えば、「こちら特報部」の調べでは東京二十三区内で廃プラを可燃ごみとする区は十一区に上がるが、東京都も、実際に処理にあたる二十三区一部事務組合も「どこの区が可燃としているか把握していない」と答える有様だ。」 という部分。東京都や清掃一組が「把握していない」というのは、具体的に、どういう質問で、なにを把握していないのかよくわからないが、、

その前段で、「廃プラの分別が進むといっても、資源ごみに区分けされる割合が少ない上、全量が再生利用される訳ではなく、汚れなどの理由から何割かはサーマルリサイクルに回されるという。その量を知りたいところだが、」 となっているので、具体的にどのような聞き取りだったのかは不明だが、、

東京23区は、平成20年度から全ての区で、廃プラスチック類は「可燃ごみ」として区分変更された。厳密に言えば、廃プラスチックの分別基準は「不燃ごみ」から「資源または可燃ごみ」に変更となっている。

ということで、「廃プラ」とひとくくりにすると混乱するが、、、
容器包装リサイクル法に則って、容器包装プラスチックの分別回収・再商品化を実施している区は千代田、中央、港、新宿、江東、品川、目黒、中野、杉並、練馬、葛飾、江戸川の12区のみ。文京、大田、台東、墨田、世田谷、渋谷、豊島、北、荒川、板橋、足立の11区は白色トレイや一部のプラ容器のみの分別回収している。従って、ペットボトルや容器包装プラスチック等の資源回収品目以外のプラスチック類は基本的には全ての区で「可燃ごみ」となっている。(港区など、製品プラスチックも資源化している区もあり)

容器包装リサイクル法での資源化は、特に材料リサイクルの残渣など、サーマルリサイクルに回される割合など容リ協会で公開している。しかし、容器包装リサイクル法というのは、家庭からでる一般廃棄物に関しての枠組みの中なので、、東京新聞の記事も、基本的にはそこでもいろんな混乱が生じる、、、

ということで、、
東京新聞の記事を読んで、、、いろんな問題があることはよくわかるのだが、、、
しかし、産廃も一廃もごっちゃにしすぎて混乱を招く、また、処理責任の所在が宙ぶらりん、

平成17年10月 特別区長会総会決定事項
23区の廃プラスチックのサーマルリサイクルについては、平成20年度を本格実施の時期と定める
--廃プラスチックのサーマルリサイクルを実施するための課題--
<循環的利用施策の拡充>
廃プラスチックのサーマルリサイクル実施にあたっては、循環型社会形成推進基本法の趣旨に則り、廃棄物の適正処理よりも優先順位の高い発生抑制、再使用、再生利用の各種施策の充実を図る必要がある。
<廃プラスチックの分別基準の変更>
・廃プラスチックの分別基準は「不燃ごみ」から「資源または可燃ごみ」に変更する。
ペットボトルについては23区で資源収集体制の拡充を図る。その他のプラスチックの扱いについては各区それぞれの創意工夫により再生利用を推進する。

 

環境省の「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について(通知)
(環循適発第1905201 号環循規発第1905201 号)

もちろん大量保管の積み上げた産廃廃プラが火災を起こしては困るけど、、
マスコミ報道も、現状の危機を煽って、環境省の要請に誘導してもらっては困る、

やはり、緊急避難的措置とはいえ、産廃廃プラを自治体の焼却炉で燃やせというのは大問題、
今こそ、産廃処理業者はあらゆる努力でこの危機を乗り越えよ、

プラスチック関連業界、
これまでつくり放題、売り放題で、ごみ混じりのプラスチック対策もせずに、海外に輸出していたツケが今になってやってきて、今こそ、しっかりとその後始末をするべきである。

環境省も、産廃廃プラを自治体の焼却炉で燃やせなど言うことなかれ、、、
自治体の交付金に便宜を図って、排出事業者や産廃事業者の肩代わりをさせるべからず、

特にごみ混じりの廃プラ=使い捨てプラスチックであろう、、、
徹底した使い捨てプラスチックの削減こそすべき、EUでは禁止とした、、、
遅れたニッポン、やっとレジ袋の無料配布禁止ではどうなることか、、、

使い捨てプラスチックの削減、事業者責任によるリサイクルや処理の再構築こそ徹底すべき、
処理事業者にこそ、交付金なりなんなり、、支援体制を拡充して、事業者によるリサイクルや確実な処理を願う、、、
産廃処理事業者も、今こそビジネスチャンス。これを商機ととらえて頑張れ!!

安易に、自治体の焼却炉で産廃の廃プラ受け入れて燃やしてしまえば、、、
地域住民は、容器包装プラスチック類をせっせと分別して資源化している、それに逆行する背任行為とも言える、、

自治体は、多額な分別・収集費用をかけてプラスチック類の資源化をしてごみの焼却量削減をしているというのに、、、環境省の今回の「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について(通知)」(環循適発第1905201 号環循規発第1905201 号)での「 産業廃棄物に該当する廃プラスチック類の一般廃棄物処理施設における処理要請」は容器包装リサイクル法そのものへの背任行為とも言えるのではないか。

環境省がこのような通知を出したところで、これを受け入れる自治体は先ずないだろうが、、、

 

関連(本ブログ) 追記
環境省 中国など外国政府による廃棄物の輸入規制等に係る影響等に関する状況調査結果について2020年06月09日
亀山市、「廃プラスチック類処理相談窓口を開設」 産廃の廃プラスチックを受入れか?2019年10月19日
漂流プラスチック~真の資源循環へ(上)/国、事態切迫で「ウルトラC」/異例の通知/産廃処理、自治体に要請2019年05月28日
東京都環境局 「廃プラを排出する企業の皆様へ(産廃の適正なリサイクル・処理は排出事業者の責任です。)」2019年05月23日
環境省「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について(通知)」環循適発第1905201 号 環循規発第1905201 号2019年05月21日
環境省 廃プラスチック類の輸入規制等による影響等の調査結果公表、そして、「廃プラスチック類等に係る処理の円滑化等について(通知)」で自治体の焼却施設で積極的に受入を検討するように要請2019年05月20日



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