憂太郎の教育Blog

教育に関する出来事を綴っています

先入観を持って生徒に接せよ

2008-08-29 22:19:48 | 特別支援教育
■一般的に,先入観を持って子どもに接するのは良くないことと言われる。しかし,発達障害の教育に携わるものとしては,この生徒は何らかの発達の乱れを抱えているのではないか,という見立てのもと接することは必要なことと思う。
■特別支援教育に「グレーゾーン」などという,おぞましい差別用語があるように,健常児と支援が必要な子どものはっきりとした線引きは難しい。例えば,いわゆる知的障害児というのは,IQ69以下の子どもをさす。健常児というのは,IQ85以上を指すから,IQ70~84の子どもは,いわゆる「境界児」などと呼ばれたりする(「グレーゾーン」よりはまだマシな呼称だが,こちらも差別的な臭いがしますね)。また,子どもの知的の度合いも発達するから,成長と共にIQ値が上がったり下がったりすることも常識である。そうであるなら,通常学級に知的な遅れを伴っている子どもが在籍していることも十分に予想される。
■IQ値という,とりあえず数値化できる知的障害でもこうなのであるから,近年クローズアップされている発達障害の子どもだったら,障害の指標は医師の診断に依っているわけで,そうなるといよいよ教師の見立てが必要になると思われる。
■先入観というのは,つまりこういうことだ。どうも落ち着きがないなと思ったらADHD傾向を疑うということであり,視線を合わせて話をしないんだったらアスペルガー傾向を疑うということだ。そして,そういう傾向を持った子どもに対して,どのような対処ができるかということを,教師の見立てに基づいて考えよということだ。
■これまでの学校教育では,いわゆるADHD傾向の子どもや高機能自閉傾向の子どもへの二次障害を誘発していたことは否めない。すなわち,ADHD傾向の子どもはいつも叱責されることで無気力になったりいじめの対象になったり,高機能自閉傾向の子どもはコミュニケーション不全から不登校になったりということがあった。これらは,学校教育側の知識不足によるところが大だった。しかし,この状況は,現在ほぼ改善されたと思う。学級担任をはじめ,教師であるわれわれにはADHD傾向の子どもや自閉傾向の子どもへの支援についての知識は身に付いた。今後は,教師の見立てにもっと自信を持つことが必要ではないかと思っている。