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実環境下の簡易流体計測とVisualBase(可視化と知的可視化)

実環境下の簡易流体計測と知識集約型可視化統合環境

数値流体力学シンポジウム(再)

2006-09-29 07:46:26 | Weblog

第20回数値流体力学シンポジウム
<2006年12月18日(月)~20日(水)名古屋大学
にて,小紫@日大さんと「物体周りの流れ」というOSを企画しました.
 http://www.nagare.or.jp/cfd/cfd20/
可視化も重要なテーマです.是非スケジュールに加えてください.
計算格子というOSもあるのですが,物体周りの流れ場を解くための工夫と,その結果といった,格子生成法+流れ場の解析のようなものも,OS「物体周りの流れ」の方への投稿も考えていただけるとうれしいです.

このOSに関するご意見等ありましたら,コメントに書いていただけると助かります. 
なお,スパム対策のため,すぐに反映されない場合もありますがご容赦ください.

 


可視化研究をわかりやすくいうと(3)

2006-09-23 12:34:05 | Weblog

さて,大規模性に起因する問題や,協調的な処理を,情報工学や知識工学からみたときの現状を一言でいえば,「未来に託す」という言葉が思い浮かびます.消極的な意味ではなく,積極的にです
 とにかく,使えそうなデータは,できるだけきれいな形で残そう,という気運があります.きれいな形(主として機械処理し易いということ)で残すこと,これが意外と難しく,かつ面白いのです.
 書籍・知的可視化の中では,データ→情報→知識への変換ということを述べたのですが,これには注意が必要です.データの中には,思いも寄らぬ知識になるが含まれているということです.
 例えば,データを可視化ソフトに受け渡し,可視化ソフトの機能を使い,可視化を行ったとします.いくら自動化が進んでいるとはいえ,何も考えずにやることはないと思います.また,仮に何も考えずに可視化したとします.出てきた可視化結果の評価はどうか(どうだったのか),判定は単純ではないと思います.データ処理の裏側,可視化結果の判断等に,可視化対象となるデータ以外のデータ・情報・知識が存在するということです.
 そういったものを,どうやって取得し,どうやって残すのか? 可視化対象となるデータが存在する分野(領域)の知見が必要になるでしょう.可視化研究の種の一つがここにあります.


可視化研究をわかりやすくいうと(2)

2006-09-22 18:26:45 | Weblog

http://blog.goo.ne.jp/visualbase/e/e5932ad593fb6cdec10ecb27812fb878に書いた「可視化を介在して,大量のデータの中から必要なデータを効率的に抽出し,情報化し,さらに知識に高める,それを大勢でやる」という,データの大規模性(多様性もある)と,協調的な処理に関連した研究は,可視化に限らず,多くの分野で行われています.90年代の後半から盛んになった,xxx情報学(xxx Informatics)の背景にも,データの大規模性に起因する問題や協調的処理による解決ということがあり,主要なテーマになっています.
 一般的な話は,データマイニング(ビジュアルデータマイニング)に押し込めることができるのですが,方法や方法論は確立していて,さらには有効なのか?と問われると,私自身は,答えに窮してしまいます.適用する分野(領域)の壁があるというのが一つの理由です.一方,そのような壁を利用した,ドメインモデル(当該分野・領域に属する個々の人間の力を借りるというもの)が導入され,光が差し込んでいるという意見もあります.ただ,用いられる一般的なマイニング技術は,チューニング程度でドメインに対しても有効になるのか?と問われれば,それはわからないと答えてしまいそうです.
 可視化に対してはどうでしょう.日本には,可視化情報学会というものがあるので(http://blog.goo.ne.jp/visualbase/e/f5f7c4c3563de4e620fda31d4fe0b1dc),早いうちから,可視化に情報という視点が持ち込まれています.しかし,大規模性や協調性について語られ始めるのは最近のことです.その現状は,一般論としての,並列・分散処理,マイニング技術,協調的な可視化環境の構築といったところに足の置き場があるようです.それらは必要不可欠なテーマではあるのですが.もう一歩踏み込みたいというのが私自身の考えです.(また,つづく).

 


可視化研究をわかりやすくいうと.(1)

2006-09-16 12:00:10 | Weblog

商売柄?,ご研究は,とよく聞かれます.
ここ数年は,いくつかのことを平行して進めているので,正直に言うと「これこれです」と答えられないのです.それで,TPOということになります(^^;).しかし,思い返すと,研究としては可視化が一番長いので,「可視化(ビジュアリゼーション)です」と言うことが多いようです.
 しかし,可視化という言葉自体が拡がり,認知されているせいか,あるいは以前書いた(データをどうやって取得する?(1))ように,エクセルなどから簡単にグラフが作られるようになったからか,可視化って研究になるんですか?と切り替えされることが多くなりました(^^;).
 例えば,数値をグラフ化すれば分かり易い,さらにグラフでも色を付ければ分かり易い,分かり易いが実際にグラフ化したり,グラフに限らず対象に色を付けるのが難しかった,それが簡単に(意識せずに)できるようになったというような背景があるようです.技術計算からのものであろうが,情報の可視化で扱われるようなものであろうが,データ(数字)があれば,それを視覚的にみるということは自然,かつ視覚情報化(可視化)するのに苦労しなくなったということですね(意識的にそのようなことをやっているという自覚がないというか).
 そこで,原点(私のですが)に帰って説明することにしました.まずは,「可視化研究の一番の目的は,みえないものを見えるようにすることです」,と再定義です.例えば,空気の流れです.人間は,雲の動き,煙のたなびく様子,枯れ葉・花びらが落ちる様をみて,流れを見てきました.意識すれば,現象を分析していることに相当するでしょう.また,ある場面までをみて,次がどうなるか,大体の予測もできますよね.
しかし,積極的に(意識的に)その背後にあるものが何であるのか,それを詳しく見ようとすると工夫が必要になると思います.「煙を利用すれば」と思いついても,どんな煙でもいいのか,とか,どの部分から流せばよいのか,さらには,煙が流れることによって,空気の流れ自体を変えてしまわないかということを考慮する必要がある.そもそも,本当に流れを見ているのかも考えないといけない.なかなか難しいんですよ,で第一幕終了.
 次に,自分自身の経験を述べます.私自身は,空気の流れを,CFDという方法でコンピュータの中に再現して,コンピュータの中で煙をながして流れを見るというようなことをやってきました,と切り出します.
 コンピュータの中の煙は色だけで,空気の流れには影響を与えませんし,思ったところから流すことができます.そのようにして見えない流れ(もの)を見えるようにしているのです.見えたものが本当に流れを表しているのかどうかも,多種多様な見方ができるので調べることができます.
 一般の人に説明する場合は,これ以上言うことは,経験上,逆効果なようで,ここで幕を下ろします.ただ,コンピュータの中に流れを再現するということを更に説明する必要はあります.しかし,コンピュータの中に現実を再現するということ自体は,SF映画の効果で(流れに関しては数値予報が知られるようになったこともあり),理解してもらえるようです.それこそ,仮想の空間をコンピュータの中に作って,と煙に巻いてしまえるわけです(寒いですね・・・).ちょっと前に,そのような説明の後,話がはずみ,コンピュータの中で可視化した煙を現実の世界でも表現できますね!,と言われたことがありました.頭をよぎったのは,VR,MR,ARの研究者の方々です.発想,あるいは概念(思想)自体は自然なことで,それを実現するのが難しいんですよ,と言いかけましたが,「そうですよね」とだけ答えました.技術が身近になれば研究の必要性を説明することが難しくなる,というのは,どの分野でも同じことなんだろうなあ,と思いながら.
 さて,研究者に,「コンピュータの中の煙は色だけで,空気の流れには影響を与えませんし,思ったところから流すことができます.そのようにして見えない流れ(もの)を見えるようにしているのです.見えたものが本当に流れを表しているのかどうかも,多種多様な見方ができるので調べることができます.」と説明しても,そんなの済んだ研究じゃない,と一喝されてしまいます.じゃどうするか? 最も簡単なキーワードは,データの大規模性と,協調的な可視化です.可視化を介在して,大量のデータの中から必要なデータを効率的に抽出し,情報化し,さらに知識に高める,それを大勢でやるという話です.大規模であるほど,琴線に触れることは確かなようで,ほっと胸を撫で下ろしたりするのですが,一抹の寂しさも感じるので,私自身は,領域(分野)の話に持ち込みます. 長くなりそうなので,次回につづく.