至福の瞬間。

酒と肴の旨い日々。

そば玄 せきざわ vol.2 。

2007年01月29日 | 喰。
自分でもうすうす感じているのだが、
どうもこの手の文章を書くときに
不必要なほど長くなっている気がする。

今回も、蕎麦屋の記事をアップするのに
蕎麦にたどり着くまでに一度区切るほど
長くなってしまった。

冒頭の暗い道の話が余計なのかもしれないが
個人的には、駅に降り立ってから蕎麦屋までの
あの道のりも、せきざわの一環であるような気がして
思わず書いてしまった。

って、こういう駄文も長くなる原因か。


本題に戻ろっと。

いよいよせきざわの蕎麦を喰う。

蕎麦は三昧蕎麦がウリ。
3種の蕎麦を順々に楽しむ趣向。

手始めに一番オーソドックスな「蕎麦三昧」を注文。
1.生粉打ち
2.変り蕎麦
3.粗挽き蕎麦
という構成。

まず生粉打ち。
細さは中くらいかな。ちょっと細目かも。
とてもみずみずしい。
コシがあるのにしなやか。

薬味はねぎのみ。
何回も書くけど、個人的には薬味にわさびが欲しい派。
でもこの蕎麦にもの足りなさは皆無。

なんか体言止めばっか。
まぁいいや。

ともかく旨い。
生粉打ちってあんまり食べたことないので
イマイチまだ二八との味の違いがわからないのが残念無念。
食べ比べてみたいな。


さて、生粉打ちが喰い終わる頃合いを見計らって
変わりそばが登場!

本日の変わり蕎麦は「柚子切り」。
変わり蕎麦なんて生粉打ち以上に食べたことなかったので
本当に驚いた。

鮮やかな黄色でかなりの細打ち。
そして鮮烈な柚子の香り。

のびるのが早いとのことだったので
手早く手繰ってしまったが、
鼻から抜ける息をもう一度吸い込みたいくらい
柚子のさわやかで心地よい香りに、メロメロ。

どうやったらこんな蕎麦が作れるんだろう。
とっても不思議。


最後は粗挽き蕎麦。
目を凝らすと蕎麦の胚乳と思しき白い粒が
そば全体に散りばめられていて、
舌触りもそういう感じ。

そう思って食べたからかもしれないけど
蕎麦の香りも生粉打ちより強めな気がした。
気のせいかしら。


全体の蕎麦に、ご主人に似た品がある。

石はらのつまみ蕎麦とはだいぶ趣が違うが
どちらも蕎麦自体の旨みがしっかりしていて
そのまま食べてとてもおいしい。
もちろん塩やつゆにつけても旨い。

こんな蕎麦が食べられることに感謝。




そば玄 せきざわ

長野県上高井郡小布施町中松872-9
Tel:026-247-5652
営業時間:11:30~14:30 / 17:30~19:30
定休日:火曜夜、水曜

そば玄 せきざわ。

2007年01月24日 | 喰。
小布施に来たついでに、名店と噂される蕎麦屋、せきざわへ。


長野の夜は早い。
17時半だというのに駅からのびる街灯の少ない道はどっぷりと闇に包まれ、人っこ一人通る気配がない。

辛うじて灯る鎮守の灯火や信号の明かりを頼りに歩きながら、改めて都心の光の量を思い知らされた。

小布施の隣駅、都住からのびる道を信濃くだもの街道に向かって真っすぐ歩いてくると、正面に橙色の明かりに照らされて浮かび上がるように一軒の家屋があらわれる。

それが目指すせきざわである。


蕎麦の自家栽培を旨とし、手刈り天日干しを実践するというこの店に入ると、ご夫妻の「いらっしゃいましぃ」という声に迎えられる。

店内は木のぬくもりにあふれた作りで、奥には薪ストーブの火が盛んに起こっているのが見える。


まずはお蕎麦の前に軽く一杯。
日本酒と天麩羅、それに本日のおすすめをお願いする。

…。

軽く食べるはずだったのだが、お願いした料理はどれも品数が多く驚く。

天麩羅は、人参、サツマイモ、舞茸、蓮根、むかご(!)。
あと山菜の天麩羅がついていたのだが、うっかり名前を聞くのを忘れてしまった。
美醸会の懇親会でときどき天麩羅として供されるヒドケに大きさは違えど葉の形が似ていたので、あるいはその仲間かもしれない。


本日のおすすめは、一品料理の盛り合わせといった感じ。

焼き葱の味噌和え、アンキモ、煮福豆、蕎麦味噌、等々。

味付けは店主の人柄が偲ばれる上品さ。アンキモ以外は地のものを使っているのではないかと思うが、まぁ確証はない。


日本酒良寛をすすりながらこれらの料理を頂き、いよいよ蕎麦。
っつーか蕎麦の前に少し喰いすぎたかも…。


なんかいつもながらウダウダ長くなったので、蕎麦は次の記事でアップします。

小布施ワイナリー vol.2。

2007年01月23日 | ワイン。
さて、いよいよワイナリーの内部である。

試飲ルームから庭を抜けてシャッターをくぐると、
そこには今まさに樽熟成をしているワインが並んでいた。

樽にはすべて白チョークで中身が記述してある。

Chardonnay、Sauvignon Blanc、Merlot、
Cabernet Sauvignon、Sangiovese&Barbera。
そしてPinot Noir。

この空間に瓶詰めされる前の錚々たるワインが
息づいているのかと思うと、心が躍る。

このガレージでは、収穫後の仕込みも行なわれるとのこと。
赤ワインについてはピジャージュをこの場所で行なわれる。


続いては地下セラー。

ここは、樽熟成中のワイン、及び瓶詰め後のワインが並ぶ。

と、ここで彰彦さんがグラスを持ってきてくださった。
・・・もしや。

そう。ちょっと憧れのセラー内試飲。
樽熟成中の2005シャルドネをピペットで吸い取り、
グラスに注いでくださった。

ファーストノーズは以外にも貴腐のようなペトロール香。
しかし時間と共にゆっくりと果実の香りが開いていく。

味わいはまだ樽熟中ということで、多少ギスっとした部分もあるが
それでも今既にとてもやわらかく、おいしい。
厚み、複雑さが出てくるのはこれからだと思うが
すっぴん美人のような無垢なきれいさがあった。


ちなみに樽のニュアンスを抑えるため、白ワインはすべて
古樽に入れて熟成されていた。

このワインがレストランで供される日が待ち遠しい。


最後に向かったのは2階のスパークリング部屋。

ここでは、既に瓶詰めし王冠で封をされたスパークリングワインが
澱を瓶口に集めるために逆さにされていた。

今は、1回1/8回転、1日1回転するようにルミアージュ(動瓶)しているらしい。
瓶の底に白マジックで印がつけてあるのも、ルミアージュのため。

この作業を繰り返して、澱が瓶口にたまったら、
液体窒素のようなやつにつけて瓶口のワインを凍らせる。

そしてデゴルジュマン(澱抜き)。
瓶内二次醗酵によって内部気圧が6気圧まで高まった瓶を開栓し、
瓶口にたまった澱を凍ったワインと共に外へ吹き出す。

そして、デゴルジュマンによって目減りした分を補うためにドサージュ(補糖)を行なう。
ここでノンドゼ・セック・ドゥミセック・ドゥーなどスパークリングワインの甘さが決まる。

んで最後にコルクをうつ。

このコルク、シャンパン開けると大体みんなキノコ型なので
もともとそういうもんだと思っていたら、大間違いであった。

最初はものすごく太い、キノコの笠部分の太さで
上から下までずんぐりした寸胴形。

これを、ギューっと圧縮して瓶口に押し込むので
あけたときにはキノコが出来ているということだった。

これは目からウロコ。

ここまで各所で丁寧に説明してくださった彰彦さんのおかげで
随所で積年の疑問が晴れた。スッキリ~。

後は試飲ルームに戻って、あちこち試飲。
気に入ったものや、飲んでみたいものを選ぶ。
もちろんピノ・ノワールもゲット!

もう、大満足のワイナリー訪問だった。


彰彦さんに感謝。
そしてこのワイナリーの発展を切に願う。
なんて願うばかりじゃなく、積極的に応援していきたい。

日本のワインに非常に明るさを見出せたワイナリーだった。
心からそう思う。

小布施ワイナリー vol.1。

2007年01月22日 | ワイン。
国産ワインを試してみようと思ったとき、
かねてより気になっていたワイナリーの
名前がずっと頭にあった。

長野は小布施に居を構える小布施ワイナリーである。

ドメーヌ・ソガの名前で醸されるワインは自社農園ブドウ100%。
ソガ・ペール・エ・フィスのネゴシアン業も含めて、
すべて国産ブドウ100%でワインを生産している蔵。

そして何より、私の愛してやまないピノ・ノワールを
日本で栽培・醸造している数少ない蔵でもある。

国産ワインなんだから国産ブドウなんて当たり前でしょ?
と私も恥ずかしながらつい最近まで思っていたのだが
日本では法整備の遅れなどによりその表記条件はゆるく、
海外で生産されたブドウ果汁を輸入して国内で醸造しても
それは国産ワインという表記が出来てしまうらしい。

ちなみに日本へのブドウ果汁輸出トップはチリ。



さて、小布施ワイナリーである。

今回、仕込みで佐久平まで行ったのをいいことに、
もう一歩足を延ばして、思い切って小布施ワイナリーを訪れた。


栗羊羹で有名な小布施は、果樹園と犬が多い町だった。
まぁ、たぶん両者に相関はないと思うが
本当に至る所で犬を見かけた。

それも、東京で見かけるような、人の手に抱かれて
散歩しているお上品な(というかか弱い)犬ではなく、
こちらが手を振ると、立ち上がらんばかりに
容赦なく吠え掛かってくる精悍な犬たちである。

また、果樹園で栽培されているのは
主にはブドウとリンゴとのこと。


さて、ワイナリーについてきれいな庭をくぐり抜けていくと
黒板に書かれたウェルカムメッセージに迎えられる。

そして、その先にある試飲ルームで、現社長のご長男にして、
現在ワイナリーの栽培醸造責任者である
曽我彰彦さんに迎えていただいた。

当初、ワイナリーの見学を申し入れたときに
農場の案内は難しい旨を伺っていたのだが、
たまたま彰彦さんのご都合がついたため、
急遽案内していただけることとなった。


先ほど、「小布施は果樹園と犬」、と書いた。
畑に向かう途中でわかったことは
「小布施は果樹園と犬と石」だった、ということ。

まぁ石が多い。
彰彦さんに道中の車内で教えていただいたのだけれど
小布施は元々千曲川の支流によって出来た扇状地であり
山あいを流れるその急流に削られて出来た大きな石、岩で
土地が出来上がっているため、開墾の際に掘り出した
石、岩が、石垣となってあちこちにある。

当然、土壌もそういう石、岩の構成割合が高く、
結果的に大変水はけがよく、水田には不向きながら
果樹栽培に適しているというお話だった。


ワイナリーの畑は、ドメーヌのなかで最も広いムラサキ農場を筆頭に、小布施の各所に点在している。

もちろん畑の周囲は別の農家の畑が並んでいるので
棚仕立の巨峰畑と並んで、ワイナリーの垣根仕立の
カベルネ、メルロの畑が顔を出している光景が随所で見られた。


栽培品種は試験栽培も含めて20種類程とのことで、かなり多様である。
主力はメルロ、シャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨンで
ピノ・ノワールなどがそれに続く。

珍しいところでは、ボルドーの補助品種プティ・ヴェルドや
ドイツの赤ワインで最近増えてきたドルン・フェルダーも栽培されていた。



というのは、今頭を整理しながら一生懸命思い出して書いていること。

農場では、初めてみる本格的なワイナリーの畑に興奮しきり。
彰彦さんの話してくださる、栽培、さらには最近取り組んでいるという
ビオロジックの話を夢中で聞いていた。

ボルドー液の散布について、今年の暖冬の影響の心配、
小布施にも押し寄せている大資本によるワインビジネスの波、
などなど、こうやって挙げてみるとわれながら取り止めがないなぁ
と思うのだが、とても楽しかった。

やはり、現地で生産されている方からじかにお話を伺うというのは
本当に楽しく、そして興味深い。
本で学ぶのとはまた次元の違う生きた話を伺うことができ
車がワイナリーに戻ってきたときは、なんだか嬉しくて
口元が緩んでしまってこまった。

ご本人はワイナリーの小柄さゆえの苦労も仰っていたが
現在進んでいる多彩な試験栽培が文字通り実を結ぶとき、
このワイナリーは日本のワイン生産業を牽引する立場に
立つのではないかと正直思った。



さて、次はいよいよワイナリーの内部で醸造以降のお話です。

2006年度美醸会仕込み。

2007年01月21日 | 日本酒会。
土曜日は2006年度美醸会の仕込みの日。

例年、この仕込みの体験作業というのは
作業効率の都合上、本来の仕込みの工程とは
逆の順番で行なっていく。

そのためどうにも素人には本来の仕込みの工程順がイメージできなかった。

ただ、今年は4年目の仕込みということで、
ようやく徐々に日本酒の仕込みの流れが
わかるようになってきた気がした。

この仕込み作業が一番「日本酒を醸してる」感があってたまらないのだが
酵母が醗酵して沸々いっている様は、ホントに醗酵の神秘というか
まさに酵母の息遣いを聞いているようで心が清められる気がする。


何はともあれ今年も無事仕込み終了。

納豆菌による酵母の汚染を防ぐため、仕込みの前日は
納豆を食べてはいけないんだけど、
今年は「あるある」のおかげで納豆が店頭になかったので
例年の「禁止されると無性に食べたくなっちゃう」状態にも
困らなかった。

と思ったら、仕込みが終了して納豆解禁!と共に
こんなことになってしまって納豆食べ放題、みたいな。
うまいこと出来てるもんだ。

しかし、あるあるって影響力大きいんだなぁ。
オレが学生だった頃は「はなまる」がその手の情報発信源だったのに。

国産ワイン。

2007年01月18日 | ワイン。
最近、方々のワイン雑誌や一般雑誌で、よく国産ワインの特集記事を目にするようになった。


記事の頻度としたら、最近人気の自然派ネタと並ぶのではなかろうか。


一方私といえば自然派にはお世話になるものの、日本ワインにはそれほど興味を抱かなかった。

というより他に興味を抱くワインがザクザク出てきて、振り向く余裕がなかった。


そんな私もそろそろ試してみようかな、と思い至り、
とりあえず日本のワイナリーでは著名な生産者である
中央葡萄酒のスタンダードラベルを飲んでみました。


グレイス ルージュ 茅が岳 2005
中央葡萄酒


セパージュはマスカットベイリーAとカベルネ・ソーヴィニヨン。

マスカットベイリーAは日本ワインの父と称される川上善兵衛翁が開発した国産品種。


抜栓すると、コルクについたワインの色の鮮やかさに驚かされる。
たぶんマスカットベイリーAの割合が大分多いのだろう。

グラスでも色の明るさが目立つ。透明感がありサラッとしている。

香りはそれほど強くない。
それが品種特性なのか、単に閉じていたのか、経験が少ないだけに判断がつかないが、
時間をおいても香りの強さ自体にはさほど変化がなかったので、品種の話かもしれない。


タンニンは少なめで酸も穏やか。
全体的に軽やかで、よくも悪くも「飲みやすい」ワイン。


少し弱い印象は拭えないが、1000円台のワインとしてコストパフォーマンスはなかなかいいと思う。

出汁中心の和食煮物系料理によく合う。


ただ、旨安VdPがジャンジャン増えている昨今、
もう少しキャラクターのある作りでもいいかと思う。


国産ワインの一端として飲んでみたワインがちゃんとおいしくて良かった。
また機会を見つけて他の作り手も試したい。

ローヌ・ヌーヴォー。

2007年01月16日 | ワイン。
あれよあれよという間に年を越してしまったが、ローヌで自然派を貫く日本人醸造家、大岡弘武さんの2006ヌーヴォーを飲んでみた。

ラ・グランド・コリーヌ
ヴァン・ヌーヴォー・ブラン2006
La Grande Colline
Vin Nouveau 2006


カラフルで楽しげなデザインは飲み手のわくわく感を煽る。
なんでも大岡さんに女の子が生まれたそうで、新たな命の芽吹きをイメージしているとのこと。
なんかこっちまで嬉しくなるようなハッピーなラベル。

が、すごいオリ…。
なんか、「関東ローム層」のような分厚く色の濃いオリは、無濾過に慣れたと思い上がっていた私もすごくひるんだ。
だって白ワインなのにオリは赤茶け気味なのよ?

セパージュはシャルドネにヴィオニエをプラスしているらしい。


開けた途端、見てはっきりわかる自然派然とした発泡。

そして注いだ瞬間見てわかるトロトロ加減。
ホントに軽く水溶き片栗粉入れました、並みにトロトロ。スワリングすると、いわゆる涙が非常にゆっくり滴れるのがわかる。

りんご、パイナップル、バナナのフルーツに、フェンネル系のやや青いハーブが薄くのった香り。
後半は焼きたて切り立てのバゲットのような染み入るイーストの香りが立ってくる。


最初は液体のトロトロ感に似合わない、舌にピリッとくる苦みに閉口した。
こりゃダメかな?と思ったけど10分もすると、発泡がおさまるのと同じ曲線を描いて苦みもおさまった。

苦みの去ったこのワインは味わいもトロトロ。

洋梨のコンポートにオレンジピールを振った葛湯。みたいな印象。
若干の塩味も感じられる。

葛湯はどうにも苦手だけど、このワインはおいしい。
スッと体に吸収されそうな優しさがある。

ヒーリングワインというと安っぽい広告みたいだが、自分に優しくしたい日は、昼下がりからこんなワイン開けたら最高だわよ。

こりゃ赤も楽しみだな。



余談ですが、翌日、飲み切ったボトルの口から香りを取ると、
シードルとかアップルタイザーのようでした。

蕎麦 石はら。

2007年01月14日 | 喰。
新年早々、世田谷区役所に野暮用で出かけたついでに以前から気になっていたお蕎麦屋さんへ。

掌庵 蕎麦 石はら

区役所から世田谷通りへ向かう道路沿いに
さりげなく佇む1軒。

店内はやや明かりを落としているが、
ムーディというほどのものではない。

元がそんなに新しい建物ではないので
その古さを補うためかとも思ったりして。

真ん中の木製大テーブルとその周りに数席を設けた造り。
建物は古いとはいえ、席は清潔感があるので安心されたし。

さて、まずはお天道様の目を忍びつつ酒肴を頼むことにする。

つまみ蕎麦、ナスの土佐煮、蕎麦味噌の3品。
酒は雪の茅舎 純米吟醸。

写真はつまみ蕎麦と蕎麦味噌。


つまみ蕎麦は、あとでせいろを頼んで知るのだが、
せいろより蕎麦粉の割合が少ないと思う。
蕎麦をつけるように、塩と梅塩が添えられる。

蕎麦はコシがしっかりしており、シコシコ。
そして添えられた塩も旨い。

どこの塩なのか聞きそびれてしまったのが残念なのだが
ミネラルに富んだ、塩だけで飲めちゃいそうな旨さ。
この塩が、蕎麦の甘み、旨みを存分に引き出してくれ、
蕎麦をつまむ手が止まらない。


蕎麦味噌、ナスの土佐煮も味噌の甘さや出汁の引き具合がちょうどよく、酒の肴として申し分ない逸品。
全体的にしっかりした味付けになっていると思う。


お酒も心をこめて選んでるんだろうな、と思えるラインナップ。
種類は少なくても、厳選してあるのがわかる。


せいろは蕎麦粉九割。
つゆはカツオ出汁の利いたやや辛めのつゆ。
薬味はねぎとすりたてのわさびが少々。

せいろの蕎麦は、先ほどのつまみ蕎麦に比べると
明らかに色が濃く、コシもやや増し。
かといって硬いわけではもちろんなく、しなやかな印象。

そしてみずみずしいのに決して水っぽくない、
というとても見事な水分量。

わさび好きの私としては、もう少し薬味の量が多いほうが嬉しいけど
純粋に蕎麦の香りと味を堪能してほしいという店側のメッセージと解釈したい。

味付けの濃さ加減が自分とあっていたのもあるかもしれないが
何はともあれ、酒肴蕎麦ともとても旨かった。


新規開拓した蕎麦屋でのヒットは久々だっただけに嬉しい。


ちなみにこの店、店舗が入っている建物の改装工事に伴い
今春2月より一時休業に入るとのこと。
再開は夏以降とのことなので、改装前にもう一度行っておきたい。



掌庵 蕎麦 石はら

世田谷区世田谷4-14-1
TEL03-3429-6227

11:00~15:00,17:30~20:30
水曜・第3火曜休

あけまして。ロブレモノ。

2007年01月09日 | ワイン。
今更ですが、やっぱり最初はきちっとしておこうと思います。

新年、明けましておめでとうございます。
今年もダラダラ更新していきますので
お付き合いくださいますようお願い致します。


って挨拶はそのくらいにしておいて、
実は新年早々年をとってしまいました。

そんなわけで自らお祝いの意味をこめて開けました。

ヴォルネイ タイユ・ピエ 2002
ドメーヌ ロブレ=モノ
Volnay 1er cru Taillepieds 2002
Domaine Roblet-Monot

奥さんのセシル・トランブレイがジャイエの縁戚とか
そういう話題が先行したパスカル・ロブレだけど
ブルゴーニュ自然派の一翼を担う大切な生産者なんだと思い知らされた。

このヴォルネイは、ホントに飲んでよかった。
というか、買っておいてよかった。

まず最初に感じるのはタンニンでも酸でもない。
プリプリの果実の甘み。
べたつき感の一切ない、体にしみこむような自然の甘み。
余韻も長く、とてつもなくエレガント。

そしてホントにシルキー。
タンニンも酸もあまりに丸くて果実の甘みの中に溶け込んでしまっている。
やさしく、美しく、そして芯に力強さを蔵した美酒。

ワインのおいしさ、美しさを改めて感じられて幸せ。
これだからピノはやめられん。

あまりにおいしかったのでもう少し買っておこうと思ったら
やっぱりもう完売してた。
大切に飲んでよかった。

ちなみにこれまでに一番記憶に残っているのは
ラフォンのヴォルネイサントノ1998。

どうもヴォルネイって個人的にイメージがすこぶるいい。
これからもおいしいヴォルネイを探していこうっと。