うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

山本七平の「日本資本主義の精神」

2016年09月08日 03時54分49秒 | 山本七平さんのこと
わたしは暇があると、山本七平の著書に読み耽る。何度も、何度も繰り返す。古い本の紙質はクリーム色が古文書のように褐色がかり、たまにごくごく小さな紙魚(シミ)という虫がいるのだ。むろん生きている。








「にっぽんの商人」は文春文庫、出版は1978年4月10日で、なんと38年前のもの。ここで山本は根気よく国内外の資料を精読し論理的に記述しているのだ。言っていることは古くなっていないし、これからのことに予言的でさえある。ほかに、「日本資本主義の精神」は日本人の原型については、荘園・武士の発生、承久の乱以降、江戸時代から明治、戦争、そして戦後の今になっても変わらない長所や短所を歴史的に解き明かす。
わたしたちは知らず知らずのうちに古典を文学的に読み過ぎたりする。歴史上のこぼれ話や極端にとびでた事件にばかり目が行ってしまう。断片的になってしまっている現代の学者の訓詁的な古書分析や、学生の受験時の切り売り的な知識は、完璧に粉砕されてしまう。時代の趨勢や底辺に流れる日本人社会の推移を見落とす、見方を知らなさ過ぎる。こんな、日本人の無意識の記憶を明文化したものである。
巷間、山本のこの実務的な論述は【山本学】と言うらしいが、現代ではこんな風に展開していく学問の体系はないものか。


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