偏屈者の世迷言

最近は競馬のことばかり書いてます。もっと政治のことを書いていきたいのですが。自営業者からの意見はもっと出されるべき。

河本準一さんの母が生活保護を受給していた問題について

2012-05-30 21:32:55 | 政治・社会

 河本準一さんの母が生活保護を受給していた問題についていろいろと考えてみた。

 Twitterでいろいろな人の考えをみたけれども、複数の問題がごっちゃになってる気がしたので自分で整理しながら考えてみたい。

 

 

 とりあえず項目を列挙していく。

 1.河本さんが高収入を得るようになったにもかかわらず母親に貧しい生活をさせていたのではないかという問題。

  2.河本さんが実際は母親に金銭支援をしていて、生活保護の受給が違法な状態になっていたのではないかという問題。

 3.国会議員である世耕弘成・片山さつき両議員が、有名人とはいえ一民間人である個人の生活保護に関することを実名で取り上げて問題としたこと。

 4.子が親を扶養する義務は、倫理的なものではなく制度的なもの法的なものではないのかという問題。

 5.今回の件で、親族に生活保護の受給者いることが恥、ということになっていくかもしれない問題。

 6.今回の件で、生活保護申請に際して審査を厳しくする口実を与えることになってしまった問題。

 7.生活保護の受給者の多くが不正受給者なのではないかというイメージを広げてしまった問題。

 8.国の財政の問題。

 

 だいたいこんなものではないだろうか。では、順番に見ていきたい。

 

 1.に関しては、これは非難するかしないかの性質のものではなく、河本さんがどのような人であるかの判断の一つぐらいでしかない。親不孝な人だな、ぐらいな。

 

 2.に関しては、もし河本さんが母親の金銭支援をしていたのならば不正受給になるのでこれは問題となる。金銭支援の金額の多い・少ないは関係ない。高収入を得ている息子がいて、その息子から支援を受けることができるという時点で現在の制度では不正なのだから。これに関して一つかばうことができるとすると、河本さんの会見の話によれば親が生活保護受けるようになってしばらくたった後から金銭支援できるくらいの収入を得られるようになったということで、不正に生活保護を受給する意思があってその申請をしたわけではないということになるだろう。

 

 3.に関しては、この二人の議員の行為は許してはいけないものだ。批判しやすい人を攻撃することで支持を集めようとする手法は、古代から現代まで、もしくは小学校の教室から国レベルまで使われているものである。国会議員は権力の一部であり、その権力がこのような個人攻撃することを認めるわけにはいかない。

 また、不正受給者の割合は金額で1%にも満たない。どのような施策でも不正をはたらく輩は出てくるし、その度にその制度を廃止していては何もできない。この点からもこの二人の国会議員の態度は、立法に携わる人間としての資質の無さをあらわしているだろう。

 

 4.に関しては、やはり倫理的なものぐらいでとどめておくべきだろう。親子と一口に言っても、さまざまな状況の親子関係があるのである。制度を運営するにあたって、その関係の状態を正確に把握するのはおそらく不可能で、そのため不公平な運営になりかねない。法的な義務とはせず、現実に金銭を渡しているなどの客観的な事実があるときには生活保護の支給額を減額したり廃止するなどの対応をとるというようにすればよいだろう。

 

 5.に関しては、生活保護者が親族にいると今回の河本さんのように社会的非難の的となるということになってしまうと、苦しい立場にあるにもかかわらず親族からの圧力によってそれが受けられなくなるという事態が発生するかもしれない。そのような前近代的な親族関係というものをよみがえらせてしまうのは、助け合いをうたった生活保護法の趣旨にも反するだろう。この点からも、親族間での扶養義務というのは厳密にするべきではない。

 

 6.と7.に関しては、生活保護の受給する人たちこそが、不正受給者の問題をどうするか考えなければいけないということだろう。生活保護の制度は非常に大事なものではあるけれども、みんながこの制度にもたれ掛ってきたり国民からの不信感が高まったりしたらもたないのである。だから権利を行使するというのは当然だけれども、不正受給者の減少に協力するなど生活保護制度を大事に守っていく責任も負わなければ、受けるべき人が受けられないといった事態を引き起こすことになるだろう。

 

 8.に関しては、難しい問題だと思う。しかし生活保護費が年々増えているのは、 3.のところでも述べたが不正受給の割合は小さくそのせいではない。だから窓口での審査を厳しくすることは、ただコストと不幸になる人の増加を招くだけだろう。

 生活保護費の増加は、国の、雇用政策をはじめとした経済政策の失敗のつけが全てまわってきているからだ。無能な政治家は支給の締め付けばかりを考えるが、そのようなことをしてもまた別のところでひずみが出てくることになるだけだろう。生活保護費を削減したいのであれば、全体的な経済政策の見直しをすることで減少させていかなければならないのである。

 

※5月31日、文章の誤りを少し訂正