進め!マンガ道

★人生は趣味です★

リアルに勝ちたい

2006-08-30 11:31:10 | マンガ
仕事から帰ってテレビをつけたら長澤まさみの
「タッチ」をやっていたので途中から観てみた。
あれだけ高校野球で盛り上がった後なので
タイムリーといえばタイムリーなのだろうが、
タイムリー過ぎてマイナスになったんじゃ…。

効果的にあれこれ演出したりのクライマックスの
対決シーンが薄っぺらにみえて仕方がない。

この場合の薄っぺらさは全体を観ていないので
表現方法の問題だけの話だが、ドラマとしての
薄っぺらさは「裏づけ」のなさが大きな問題となる。

感動させたいという思いが先行して決めのポーズや
セリフにばかりこだわってクライマックスを描いてる
マンガがあるが、その根拠となる設定をしっかり
描いておかないと感動には至らない。

リアルの方の早実の斎藤クンは大人気だが、
あの試合の要はキャッチャーがワンバウンドの球を
再三のピンチの場面で後逸しなかったことが大きい。

実は捕手の白川クンは、斎藤投手のスライダーの切れが
よすぎてワンバウンドは止められなかったという。
それで昨秋から冬にかけてチーム練習とは別にひとりで
バッティングマシンをワンバウンドするスライダーに設定し、
毎日青あざをつくりながらの特訓の結果があのプレーを生んだ。

リアルのなかにはそういう裏づけがある。
そういう裏づけを見ないで例えばかっこいい斎藤投手だけを
描こうとしては面白いドラマは描けないのだね。

マンガ読書中

2006-08-09 00:44:25 | マンガ
「1・2・3と4・5・ロク」とか昔の作品も
最近読みたくなるのだが、同時にいまの作品の
パワーにもかなり圧倒されている。
そして学ぶことも多い。
ここ数ヶ月に買った作品を覚え書きしておこう。
でも思い出しながらなので毎日編集して書き足して
いこうかと思ってますが…

「プ~ねこ」2巻 北道正幸
あまりに絵がうまいのでそれまでの単行本は全部買ってみた。
しかし話が屈折的に正常じゃないというか、
普通にシリアス物は描かれないみたいですね。
ま、面白く読んだからいいんですけど…(^^;)。

「リアル」5巻 井上雄彦
障害者の話を描くのはとても難しい。
感動に流されて底の浅いドラマになってしまう確率が高い。
それをこんなふうに描けるなんて、いやホントすごいです。
これだけ切り込んで泥暗くならないところがまたスゴイ。

「もやしもん」3巻まで 石川雅之
農工大の話なんて誰も描こうと思わない。
霊が視えるマンガはやたらに多くなったけど、
菌が視えるなんて! なんて素晴らしい発想。
それだけで勝ったも同然だ(笑)。おまけに菌が可愛すぎ。
でもこれだけ描けるのになんで女の子の顔が皆同じなのか??

「カタリベ」石川雅之
「もやしもん」がとても面白かったので、他の作品も
買ってみたのだが、これは丸ペンなのだろうか、トーンを
使わないでカリカリとページを感動的に埋め尽くしている。
作品も本当に楽しんだのだが、なによりその描き込みの
姿勢に感動してしまう。マンガを描くってこういうことなんだ!

「ワイルドライフ」2巻 藤崎聖人
絶対音感を持つというキャラ設定で音楽物にせず、
獣医の話とミックスさせるという三題噺の創作法の良い見本。
関係ないけどこの人「コナン」のところでアシとか
やってなかったのだろうか? 気のせいかな。

「働きマン」2巻 安野モヨコ
一歩も二歩も踏み込んだドラマづくりをしていることに驚き。
これはスゴイと思う。ビッグオリジナルなんかでみかける
ヒューマンドラマ、或いはテレビのワンクールのドラマなどは
安心して見られるが偽善的満足の世界でしかない。
現実の社会は犯罪者だらけなのにね。

「岩窟王」1巻 前田真宏
名作を未来に置きかえて描く、その画力に魅かれて買ってしまった。
アフタヌーンの連載かぁ、先が長いなぁ。

「おおきく振りかぶって」6巻まで ひぐちアサ
絵が荒くて、キャラの顔が皆おなじで、しかし面白い。
野球マンガなんて一番マンガのなかで多いジャンル、もう
新しい描き方なんてないのかもと思うのに、こうやって新鮮な
展開をさせる人がいるのだ。
「好き」は一番の方法論。

「パンプキン・シザーズ」5巻まで 岩永亮太郎
設定もしっかりしているし実に骨太のストーリー展開。
絵的にちょっと弱いかなと思ったりもしたが、それを
越えて描写しようとする力強さにねじ伏せられる。

       --------思いつくままにここまで書いたが、当然この程度で終わらない。近日、また続きを書きます~。



1・2・3と4・5・ロク

2006-08-01 22:27:26 | マンガ
懐かしくて読み返してみてびっくり。

表紙
2P3P=見開き
4P=3コマ
5P=2コマ
6P=1コマ
7P=2コマ
8P=4コマ
9P=5コマ
10P11P=見開き

ここまで延々と新しい町に引っ越してきた家族が
トラックに乗って走ってるだけなのだが、
1962年、いまと違って雑誌のページ数も
なかったこの時代にこの大胆なコマ数はスゴイ。

ここから一人また一人と登場人物たちが紹介されていくが、
ホントに見事なくらいに作品世界のなかで生きた演技を
している。それにぐいぐい引き込まれる。面白い。

殆どがフリーハンドで描かれる暖かみのある画面は
多くの構図が天井あたりにカメラがあるような視点で、
これは相当な労力と画力が費やされるのではないだろうか。

どう考えてももっと長く描かれる筈の物語
だと思うのだが、掲載紙「少女クラブ」の廃刊で
やむなく終わったのがとても残念だ。
もっとこの家族のドラマを楽しみたかった。

ちばてつやの世界はちばてつやだけのもので
他の誰にも描けるものではない、と改めて
感動しながらそう思ったのだった。