プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ オルハン・パムク「わたしの名は紅」

2020年08月20日 | ◇読んだ本の感想。
トルコのノーベル賞作家。

この漢字を使われると、どうしても「くれない」と読みたくなるなあ。
これが単に「あか」だから肩透かしをくらったような気持ちになる。

読むのに大変時間がかかった小説でした。けっこう勤勉に読んで10日位。
文章は難解ではない。むしろ口語で読みやすいはずなんだけど、
実際には読みやすくはなかったですね。

この読みにくさが、

文学的な文章によるものなのか、
トルコという異文化を土台にして書かれているのが原因なのか、
翻訳が上手くないせいなのか、

どうなんだろう。


翻訳がいまいちだと思った。
著者自身も一文が長いタイプの作家のようで、翻訳家としてはその味わいを
損なわないようにしたらしい。うーん……。それを言い訳にして
読みにくくなったらダメなのではないか。

長い文章にするのはいいとして、それは文章としての質を確保した上でのこと
だと思うのだが……。納得出来ずに読んでいた。
新訳が出ている。が、そっちで読み直すほどの執着はないので、
別作品を別の訳者で読んでみる。


細密画師の殺人事件の話なので、文学作品にしては食いつきが良かったが、
最後に犯人が明かされるとはいえ、主たる内容はミステリというわけではない。

まあ内容で一番残ったのは、西洋美術の遠近法に対する細密画師たちのそれぞれの想い。
キリスト教だってそもそもは遠近法が悪魔の描法と言われた時期もあった。
そして美術に対する思い。終盤のけっこうなページを割いて語り尽くす。


……だが前述の通り、翻訳が気になってあまりのめりこめなかったなあ。
合わないだけなのか。他の人の訳で読んだらまた違うのか。
オリハン・パルクの作品は他に数冊出ているようだから、一応他のも読んでみる。

でもまあトルコの小説が読めたのは良かったよ。


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