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flexaret Ⅳのレストア、絞り羽の組み立てと爪の謎

2008年02月02日 22時52分36秒 | flexaret Ⅳ レストア
※この記事は途中経過です。flexaret Ⅳのレストアしている方や、しようとしている方で特に初心者の方は必ずflexaret Ⅳのレストア、まとめを先にご覧下さい。

レストアになっていないのかもしれません。セルフタイマーを取り付けるとどうも不具合が起こり、シャッター速度もかなり遅くなり。なので、セルフタイマーなしにすることにしました。ブロックごと取り外して保管したままになっています。

今回は、このセルフタイマーを取り外したままにした理由として、「1.爪の謎」と、「2.絞り羽の組み立て」、「3.現状」です。




1.爪の謎

今回分解したシャッターのスローガバナーとセルフタイマーの間に、シャッター羽を回している輪から出ている爪があります。

この爪は、凡そ、三つの役目をしています。まず、スローガバナーの金具を外側に押し出し、チャージ時にスローガバナーの爪がチャージレバー上に素早く上がっていける状態にしています。二つ目にセルフタイマーの半円形の金具をおしていて、そのために、セルフタイマーの内部のギアに引っかかっている金具からギアが開放され、チャージ時にセルフタイマーが準備されます。三つ目に、セルフタイマーの金具にこの爪が引っかかり、それにがセルフタイマーの動きで外れるとシャッターが切れる様になっています。

これだけの役目を狭い空間でやっている爪なのですが、この爪が、上手く調節できず、謎です。どなたか、この辺の事情や元の形状について知っている方がいらしたら、是非コメントください。お願いします。セルフタイマーをつける気はありませんが、どこで、失敗したのかが知りたいです。

今回分解しているシャッターと、以前分解して壊したシャッターとのものとを比べると形状に違いがありました。今回分解した爪は初期段階で次のようになっていました。



これに対して以前分解したものの輪は次のようになっていました。



途中から、以前分解した輪に交換し、その時の写真です。見ての通り、今回分解したものは、先の方が外に向けられており、また、先端が丸められています。それに対して、以前分解したものは、外側に向けられておらず、先端が緩やかに曲げられています。どうも、今回分解したものの方は、後から手を加えられているように見えました。もしくは、使用されている間に変形したのか。

この爪がどう問題だったかというと、セルフタイマーを取り外してシャッターを開いた状態が上の写真なのですが、今回分解したものでは、シャッターを閉じる動作に入り、上に見えるスローガバナーの下に入り込むときに、スロガバナーにぶつかり最後まで入らなず、シャッターが最後まで閉じませんでした。さらに、今回分解したものも、以前分解したものも、セルフタイマーにぶつかって、セルフタイマーが最後まで動いても、シャッターが切れなくなりました。赤矢印で差しているところが、ぶつかっているところです。



この写真の程度なら微調整してどうにかなりそうですが、そこで調整すると今度は次の問題が出てきます。



赤丸で囲ってある爪はスローガバナーのもので、この爪が矢印で示した箇所より下に来ると高速シャッターになります。セルフタイマーにぶつからないように調整すると、今度は、スローガバナーのこの爪に繋がっている部品を外に押し出す範囲が狭くなり、写真の爪が矢印のところにぶつかって、シャッター速度の目盛りを回しそうとしても、高速の側に回らなくなります。

調整を繰り返してもよさそうですが、あまりやりすぎると、畢竟、シャッター羽を動かしている輪もゆがむでしょうし、金属製ゆえに爪の強度も失われていくでしょう。なので、今回は、セルフタイマーを諦めて、スローガバナーがちゃんと動くことで、よしとしました。重ねて、この辺の事情をご存知の方がいらしたら、コメントで教えていただけると幸いです。

ネット探した他のプロンターや、そのコピーのシャッターを見た限りで、このPRONTOR-SVSは構造上の欠陥を持っているのではないかと推測したりしています。シャッター速度を1"にすると、スローガバナーとチャージレバーがほぼ直角にぶつかるところなんかも怪しいです。



2.絞り羽の組み立て

わけあって、結局、絞り羽のある面も分解して洗浄し、再組み立てすることにしました。



絞り羽や全ての部品が乗っかる土台の部分です。きれいにして、仮組みした状態の写真なので、指を外すとばらばらになります。

絞り羽が直接乗っている板を取り付けます。土台の一部のネジを先に付けました。



ネジを締めたら、次の写真のバネの取り付けを忘れずに。



次に絞り羽が乗っかっている板をこのネジに挟み込むようにつけ、もう一方もネジで止めます。ちなみに、絞り羽が乗っている板には穴がありましたが、この穴は次の写真の位置で大丈夫です。



絞り羽は、シャッター羽のときの経験を活かして、絞り羽を上から押さえていた板の裏側に乗せていきました。



絞り開放の状態に合わせて、一枚ずつ重ねていきます。6枚目まで終わったところです。後4枚。でもこの状態だと、羽を入れる穴がありません。そこで考えて次のようにしました。



穴にはまっているのと逆の方を全て重なりが崩れないように外側に出しました。これで後4枚いけます。



10枚はめたら、一番最初に付けた羽の先端をピンセットで持ち上げて、最後に付けた羽の上にそぉっとおきます。後は、外側から磁化していないドライバー等で軽く押して形を整えます。これで、絞り羽を乗せる作業は完了です。



シャッター羽を二度三度分解して付けているうちに慣れてきたようで、絞り羽は一発で組み立てられました。後は、裏返したまま、下に来る土台と組み合わせます。土台側の絞りを表示する針を目一杯開放のところへ動かしておくことを忘れずに。組み合わせた後、指で押さえて軽く動かしたら、10枚全てが土台の方の穴にはまったようです。



後はネジを締めて、絞り羽完成。






3.現状

シャッターが全速動くようになるまで、スローガバナーの取り付け位置を調整しました。ただ、セルフタイマーからかかるはずの摩擦がないからか、元からそうなのかわかりませんが、1"だと実測はそれ以上かかるものの1/2"で実測約目盛りどおり、1/5"や1/10"では実測の方が目盛りよりも早くなっています。よくわかりません。

ちなみに、途中、チャージレバーのネジを破損しました。以前分解した方のシャッターレバーのネジを付けて事なきを得ましたが、チャージレバーのネジはちょっと強く締めすぎるとすぐに破損します。ご注意を。あと、セルフタイマーからのびているアームを止めるネジやシャッターレバーのネジも同じくです。

シャッタレバーのネジが破損した際にチャージレバーが取れてしまいました。ついでといっては何ですが、ベンジンに軽く付けてチャージレバーの軸を紙で拭いたら黒くなりました。ということは、ここに油が塗られていた可能性が高い。なので、油を少量本体側の軸の外側に付けました。すると、チャージが滅茶苦茶軽くなり、シャッターの動きもよくなりました。さらに、チャージレバーから出ているアームとそれを外側に押し出しているバネとの間の摩擦が気になっていたので、バネに注油しましたが、すると、チャージが更に軽くなりました。シャッターの動きも更によくなりました。