お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

よみつ よまれつ

2011-03-28 | from Silicon Valley


シリコンバレーの中心に位置するサンノゼ市。夕方、アルマデン地区にある児童図書館を訪ねると、高校生と小学生が一緒に座って、お互いに読み聞かせをしたり、されたりしている光景が見られます。『Reading Buddies(読書仲間)』プログラムの時間です。アルマデン児童図書館に登録している15人の高校生ボランティアが、交代で、毎週水曜日の午後5時半から1時間、幼稚園から小学校3年生までの子どもたちの読書指導にあたっているのです。13歳から17歳までの「リーダー(LeaderではなくReader)」たちは、単に読み方を教えるだけでなく、”読書好き”なロールモデルとして子どもたちと一緒にいろいろな本を楽しみ、自分たちも「読書の醍醐味」を味わうのが「しごと」。

このReading Buddiesプログラムでは、子どもたちはじっくり向き合って本を読んでもらえ、その両親は子どもが図書館にいる間ちょっと息抜きをしたり、たまった仕事を片付けたりもできます。一方、高校生たちは月に1-2時間を図書館で働き、その時間を大学進学に必要な「地域活動の時間(Community Service Hours)」として認定してもらうことができる、三者とも”win-win”のプログラム。リーダーになる高校生はプロから簡単な指導を受けますが、でも読み方の授業ではないので、読み聞かせる本や読み聞かせ方は、子どもの好みやリーダーそれぞれの裁量に任されています。

プログラムの発足は2007年。きっかけは、子どもが通う小学校の標準学力テストのスコアが低いことを心配した親が、地域の図書館を訪ねて「学校だけでは読書力が十分につかない。こどもたちに読み聞かせと読書指導をしてほしい」と相談したことでした。でも、既に当時から図書館は予算削減のプレッシャーが高く、職員数は減少の一途で、とても要望に応じられる状況ではありませんでした。そこで、相談を受けたライブラリアンが考えだした”窮余の一策”が『Reading Buddiesプログラム』だったのです。

大学進学に向けて、Community Service Hoursを必要としていた高校生に機会を提供するというアイデアが功を奏し、プログラムは着々と広がり、今ではサンノゼ市の公立図書館のほとんど全てで実施されています。プログラムが広がるにつれ、地域の子どもたちの標準学力テストのスコアも着実に伸びてきました。

子どもたちだけでなく、ボランティアたちもさまざまに学んでいます。「本は絆を作るんです。初めて会った子どもでも、お互いによく知らなくても、一冊本を読み終えると、直ぐにまた別の本を持ってくるんです。それを、もう一冊読んだら、もう友達です!」とは、地元紙サンノゼ・マーキュリーニュースに載ったある高校生ボランティアの言葉です。("Passing on a love of reading" SJ Mercury News 2011年3月9日)

ボランティアを経験後に転校し、転校先の高校で仲間を組織して、地域の児童図書館で新たにプログラムを立ち上げた高校生ボランティアもいます。お金がなくても、できることはたくさんあります!






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