Matthew A.B.C.
お互いにうちとけた間柄であることを、親しみをこめて「名前(First Name)で呼び合う」ことで示すアメリカの習慣は日本でもよく知られています。以前、日米首脳会議の後でリーガン大統領と中曽根首相が、互いを「ロン」「ヤス」と呼びあう関係になったと、わざわざ記者会見で報告したこともありました。
学校でも、小学校までは特に、生徒同士はもとより、先生も生徒をファーストネームで呼ぶのが基本です。
でも、実は、名前には世代ごとの流行というのがあって、日本でも毎年その年に生まれた子どもにつけられた名前の人気ランキングが発表されていますが、アメリカでも、時代により、地域によって、人気のある名前というのがあります。
さて、そう考えると、学校というのは、そもそも同世代の子どもが集まる場所ですから、同じ名前の子がクラスの中に二人以上いるというのは珍しくない、というのがわかります。そういうときアメリカではどうするか、というと、名前のあとに名字の頭文字をつけて呼びます。たとえばメアリーMaryという女の子が二人いて、二人の苗字がそれぞれThompsonとSmithだとすると、二人はMary T.と Mary S.と呼ばれるのです。
うちの娘のクラスにもMollyという女の子が二人いて、それぞれMolly P. 、Molly K.と呼ばれていました。はじめは何となく違和感があったのですが、だんだん慣れ、娘が「Mollyがね...」と話し始めると、「どっちの?Which one?」「Kの方Oh, it's K.」なんていうのが日常会話になってました。
さて、でも、だからといってクラス全員が同じ名前だったら?なんて想像するだに大変そう。"Matthew A,B,C."はそんなクラスのお話です。
タトル先生Mrs.Tuttleのクラスの生徒はみんなMatthew、そう全員が同じ名前です。校長先生Principal Mozzetはタトル先生がどうやって生徒を見分けているのか、想像もつきません。でも、タトル先生は、そんなこと簡単!と思っています。だって、みんな苗字の頭文字通りのわかりやすい特徴があるんですもの。
たとえば、Matthew A.はすごい甘えん坊affectionateですし、Matthew B.はバンドエイド(band-aid)が大好き!Matthew G.は糊(glue)でいつもべとべとになっちゃう子だし、Matthew K.はなんたってケチャップ(ketchup)が大好物。
まだ、いますよ。Matthew M.はとんでもない気分屋さん(moody)だし、そうそう、Matthew Y.はヨーデル(yodel)が大のお得意なんです。ね?わかりやすいでしょ?
さて、ある日、タトル先生のクラスに転入生がきました。
転入生の名前?もちろんMatthew!
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