お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

大きな封筒、小さな財布

2009-04-29 | from Silicon Valley


受験した大学から大判の分厚い封筒が届いたら、それは合格通知。定型の封筒だったら、不合格か補欠。アメリカの受験生の常識です。ですから、合格発表のこの季節、子どもたちの携帯電話に親が送るメッセージは、たとえば「スタンフォード大学、大きな封筒!Stanford, Big Envelope!」

親子ともども大きな封筒の到着を楽しみに待っている毎日ではあるのですが、大きな封筒が届くと、そこから新たな悩みが始まります。入学手続きに必要な一年分の授業料と寮費などの生活費、それに休暇の際の帰郷の費用などを合わせた年間経費の捻出です。不況の今年は、親の財布は小さくなるばかり。なのに、不況のあおりで逆に大学の経費は高くなるばかりだからです。

合格した大学のどこに進学するかは、5月1日までに決めて大学に通知し、数百ドルの入学手付金を支払います。そこから支払期限(たいていは8月中ー下旬)までの間に、公立大学(州民の場合)で4万ドル程度、私立大学だと5-6万ドルを工面(少なくとも見通し)しなければなりません。

シリコンバレーの公立高校に通うレイチェルは、憧れのNew York Universityから届いた分厚い封筒を複雑な思いで受け取りました。マンハッタンに住んでNYUに通うことがレイチェルの永年の夢でした。が、今、レイチェルはUCSD(カリフォルニア大学サンディエゴ校)に進もうと考えています。NYUの授業料と生活費を合わせた経費の合計額はUCSDのおよそ2倍。「母がレイオフされたから、自分で教育ローンを組まなければならないので、とても無理」それに「サンディエゴーサンフラシスコ間のフライトならSouthwestで飛べば$40なんてこともあるけど、サンフランシスコーニューヨーク間は、とてもそうはいかない」からです。

サンノゼの私立高校に通うマイクは第一志望を含む8つの大学から合格通知を受け取りましたが、嬉しい反面、費用の捻出には、やはり頭を痛めています。マイクの両親は自宅を抵当にしたエクイティローンを組む計画でしたが、不動産評価額が落ちてしまい、期待しただけのローンが組めなくなってしまったからです。「いまは合格した各大学に奨学金や教育ローンの問い合わせを出しています」というマイクは、奨学金のオファーをくれない第一志望校をあきらめて、南カリフォルニアの大学にしようと考えています。授業料が安いこともですが、自宅から車で行ける範囲で移動に航空運賃を払わなくてもよいことも考慮すると、差は額面よりも大きいと考えるからです。

最終通知の5月1日まで、大きな封筒と小さな財布の間で、受験生たちの意思決定の悩みは尽きません。




コメント (2)
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