Tikki Tikki Tembo
娘が大好きでよく読んでやったのですが、でも、大変読みにくくて苦労した絵本があります。"Tikki Tikki Tembo"です。
中国の昔話という設定で書かれていますが、1968年にアメリカで出版された絵本です。子どもに人気で、1997年には、ニューヨークタイムズが選ぶ「過去50年に出版されたすぐれた児童書」のリストに加えられました。
お話は、昔、中国のあるところに…と始まります。長い名前の男の子がいました。どのくらい長いかというと、"Tikki tikki tembo-no sa rembo-chari bari ruchi-pip peri pembo"というのです。いかがです?言えましたか?この名前が繰り返し出てくるので、読み聞かせが大変なんです。
ある日このTikki tikki tembo-no sa rembo-chari bari ruchi-pip peri pemboが井戸に落ちてしまいました。それを見ていた弟が急を知らせに大人たちの所にとんで行くのですが、兄の名前が長すぎて事態をうまく伝えられず、結局救出された時には手おくれ寸前で、その後長いこと療養しなければなりませんでした。以来、中国では、子どもには長い名前をつけないようにと戒めるようになった・・・というお話。ちなみに、弟の名前はChangでした。お兄さんのTikki tikki tembo-no sa rembo-chari bari ruchi-pip peri pemboは長男だったから、長い名前だったんでしょうか?(というのが、日本人の長男の嫁をやっている私の永年の疑問です…)
日本にも同じお話がありますね。そう、寿限無です。
昔、あるところに、ようやく念願の子どもを授かった夫婦がいました。子どもが元気で長生きするように、と偉いお坊さんに頼んで名前を付けてもらいましたところ「寿限無寿限無、五劫のすりきれ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポパイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助」という名前を授かりました。
さて、これにつづくエピソードにはいくつかのバリエーションがあるようですが、その一つはこの寿限無君が川で溺れかかり、それを友達が寿限無君のお父さんに知らせに来るのですが、長い名前が災いして伝えるのが間に合わず、結果として救い出せなかったというお話です。
ところで、「寿限無」は「寿限り無し=死なない」という意味だそうで、「パイポパイポ~」以下は「昔、唐土にパイポという国があって、シューリンガンという王様とグーリンダイという王后がいらしたが、この二人ののあいだに生まれたポンポコピーとポンポコナーというふたりのお姫様は大変長生きだった」という故事にちなんだ命名とのこと。
Tikki tikki temboでは、残念ながら名前の謂われは全然説明されないのですが、きっとその昔には、あれこれ意味深い謂われがあったことでしょう。