お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

世界を描きだす"紫のクレヨン"

2009-04-14 | about 英語の絵本

Harold and The Purple Crayon

アメリカに暮らしてみて、はじめて知って驚いたことの一つが、アメリカ人は紫色が好きだという発見でした。

たとえば小さい女の子に着せるお洋服など、日本ではピンクや黄色や水色などの淡いパステルカラーになりそうな場面で、選択肢の中に必ず紫色が入っているのです。子どもたちも紫色が好きで、幼稚園などでのお絵描きの場面などでも、奪い合いになるクレヨンの人気カラーは紫色。プリスクールに通い始めるや、娘もさっそく紫色の洋服を欲しがりました。色の好みくらいどうってことはないだろう・・・と思うものの、私には大変な驚きで、カルチャーギャップというのはいろいろな所にあるのだなぁと思ったこと、また同時に、こんな些細なことにカルチャーショックを覚える自分自身にひどく驚いたことを、今でもはっきりと記憶しています。

さて、今日の絵本は、紫色のクレヨンで世界を描き出す男の子、ハロルドのお話です。先日ご紹介した「にんじんのたねThe Carrot Seed」の絵を描いていた Crockett Johnson の作品です。

ある晩、ハロルドは、もう寝る時間だというのに、急に思い立って散歩に行きたくなり、パジャマのまま紫色のクレヨンを1本だけ持って散歩に出かけます。

散歩はお月さまと一緒でなくちゃ‥‥ハロルドはお月さまを描きます。それから、お散歩道を描いて、さぁ散歩に出かけましょう…山を描いて、そこに登っていき‥‥あっ、うっかりして反対側に落ちちゃった‥‥そしたら‥‥そこは海になり‥‥でも、自分で描いた海に溺れかけたハロルドは、今度は船を描いて脱出し‥‥というふうに、ハロルドが想い描くことが、そのまま次々と紫色のクレヨンで描き出され、絵が描かれるにしたがって、お話が次々と展開していく、という趣向です。主人公のハロルドを除けば、全編が紫のクレヨン1本で描き出される線描だけで構成された、ちょっとお洒落な絵本です。

どのページにも、2-3行のシンプルなテキストが添えられています。テキストは粋で短くて、なかなかお洒落な英語で書かれています。でも、テキストなしでも、絵を眺めるだけで十分に楽しめる絵本です。

春の宵、夜風に当たっても肌寒く感じなくなった頃にお読みください。想像をかきたてられること請け合いです。


コメント
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