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以下、90年代の某雑誌に書かれたコラムで、人間の意識の
エネルギーについて解説された、個人的に特に興味深く
感じたものです。
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ナバホインディアンのメディスンマン(呪術医師)達との飲茶を
楽しむ会が今年で3年目を迎える。
まだようやく春を迎えたなかりの底冷えのする北アメリカの
ロッキー山脈にあるスチームロッジで星を眺めながら、私は
星々のエナジーを呼吸していた。
「大切な事はただ宇宙を感じる事だ」
と100歳を超える長老から教えられた言葉が無数に星の広がる
夜空に吸い込まれていく。
彼らは近代文明が入ってくる以前から、世界は丸いという事、
人も地球も宇宙もエネルギー(彼らは精霊という事を使っていたが)
本質である事を知っていた。
メディスンマン達は、星と星との間にあるエナジーを見つめるのだと
若者達に教えている。
それは尊い体験へと導く魂の教えだった。
我々は一般的な教育や科学で物を見て知るという方法で育って
きた。
一つの文明を築いたマヤやインカ族など、昔の先祖達は、物と物の
間にある見えない存在に意識を合わせ、見る事を知っていた。
キルリアン写真術のように物体のあるオーラをとらえる感覚である。
その力は、狩猟や作物の収穫と同様に自然の驚異から身を守り、
同時に食べ物を確保するために必要だった。
彼らはエネルギーの動く姿を予知した。
見えるものよりもリアルに存在している本当の形を知っている
民族の血だった。
それを血族と呼んだ。
後になってそれを実証したのは、医学者でも神秘家でもない、
物理学者のフリーマン・ダイソンだった。
宇宙の惑星でもドーム形式の生活空間を確保する事で人間は
居住出来ると提案(ダイソン型ドーム)した、あのNASAの宇宙
物理学者である。
彼もまた、血の導きに引かれた人かもしれない。
彼は、惑星が消滅した後もエネルギーは残ると言う。
例えば、一度作られた地球のエネルギーは、人類のその激しい
歴史と文化を消す事もなく宇宙の記録として存在し続けるのだと。
私もそう思う。
以前彼らに教えられた通り、木の切り株を見たら、切られる前の
勇壮とした姿が緑色の空間に残っていた。
そして木が実際よりも大きな事を知った。
エネルギーの不滅の法則は、今では誰もが知っている。
だが、一度作られたビジョンがホログラフィのプレート板のように
原型を保ったままである事は、人間の残していくものが形を
必要としない事を意味している。
愛や勇気や誠実さは無形ではないのだ。
昔、インド独立の功労者マハトマ・ガンジーに5歳の子供を亡くした
一人の男が、どうすれば心の平安が得られるかと聞いた時、
ガンジーはこう答えた。
「あなたが亡くしたのと同じ5歳の子供を育てなさい。
それがあなたの心を救ってくれる。
失った子供は戻ってこない。
だが、悲しみの反面だけを見つめてはいけない。
人は失ったように見えて、実は一つも失っていない事をやがて
知る時が来る。」
人間の意識の流れの源は、宇宙に遍在する普遍的なエネルギー
である。
形も色もない。
なのに、意識でははっきり捉える事が出来る。
メディテーションという手段は、意識に虹をかける人間に残された
美しい希望である。
イグナチオという聖人は、神そのものに近づく事を自分の道とし、
霊的体験で宇宙の声を聴いた一人だ。
彼は秘密をこう語った。
「目の前の空気に、本当に今必要とするものを思い描き、
その空気を吸い込むと、思ったものが形になるのだ。
それが例え神であっても……。」
自分が意識して一つの目的について考え、その事が起こる事を
真剣に望んだ時、イメージはその人の体内に受肉する。
人間が生まれる事こそ最大の秘儀である。
人間の中に流れている血液は生きた証しのエーテル、肉体を
支えている魂である。
そして魂を創造していく力が進化しようとする意識である。
ところで古い話しになるが、ブルーハーツの「リンダリンダ」の
歌詞の中に、「決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ……」
というのを「呪術」と思っている人がいたが、それは違うからね。
魂レベルの愛の事だと、吾輩は思う。
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