(画像は昔の児童書からですが、クリックされましたら拡大します。)
現在は殆ど見かける事がなくなりましたが、90年代前半頃までは、
精神世界の中で「四次元」「異次元」という言葉が非常に多く登場
しました。
わたくしの学生時代にはまた、「異次元に行く方法」なるものの
俗信が女子学生の間で広まったりと、今思えば当時はそれらに対する
関心がとりわけ高まった時代であったと感じます。
そうした俗信の中に、「11時11分11秒など、時計の数字が全て揃った時に、
トイレで水を流すと異次元の世界に行ける」とか「平成4年4月4日4時44分に
椅子から飛び降りると異次元の世界に行ける」など時刻の数字に関する
ものも少なくはなく、一体誰が広め始めたのはわかりませんが、ローカルの
ラジオ番組の中でも、「4月4日の4時44分44秒に番組中に合図を行って
リスナーが揃って椅子から飛び降りる企画」というものさえありました。
しかし、そうした俗信は流行しても、それを行った事によって本当に
異なる次元に入ったとかの人の話はわたくしは聞いた事がありません。
以下、時間と空間のゆがみに関する実話として、80年代に少女雑誌
「マイバースデイ」の中でも紹介された事のある文政年間の経師の
話しです。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
【土間の壁から海水が溢れ出し、魚がピチピチはねていた】
江戸時代の文政年間に、不思議な事件があった。
江戸の根岸という所に経師の佐助という男が住んでいた。
この男は日当をもらって働く下職人だったが、ある朝目が覚めると、
土間に魚が山積みになり、まだピンピンはねていた。
佐助はびっくりしたが、誰かがいたずらをしたのだろうと大して気にも
留めず、30匹近くもあった魚を近所にも配ったりしてみんな食べて
しまった。
次の朝目が覚めると、佐助はまたビックリしてしまった。
土間は水浸しになっていて、また魚が沢山はねているのだった。
しかも土間にぶちまけられた水からは汐の香りがしていた。
明らかにそれは海の水だった。
「誰がこんなバカげたいたずらをするのだろう」
佐助は不思議に思って、その夜は犯人を見届けてやろうと酒を
チビチビやりながら寝ずの番をする事にした。
丁度一番鶏が鳴く少し前、佐助はあまりの事に腰を抜かすほど
驚いた。
それもそのはず、佐助の家の土間の壁の中からドッと水が溢れ
出し、土間はまた海の水でびしょびしょになってしまった。
しかも水が引いた後には生きた魚が前日と同じようにピチピチ
はねているではないか。
佐助はすぐに土間に飛び降りて壁をさすってみたが、壁はすすけて
いるもののヒビなどは入っておらず、どこからも海水が入るような
穴は見つからなかった。
気も狂わんばかりの佐助は、すぐその事を大家に話した。
三晩も不思議な事件が続いてはさすがに大家も放っておくわけにも
いかず、トビ職を呼んで佐助の家の壁をぶち抜いた。
しかし壁には大きな穴が開いただけで、水は一滴も出てこなかった。
その夜から、佐助の家に海水と魚が飛び込んでくる事はピタリと
止んだが、なぜ三晩もそんな不思議な事件が起こったのか、
誰にもわからなかった。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
この話しについて、誌上では「たぶん時間と空間のゆがみが、佐助の
家の壁と海とをどうにか接触させてしまったのだろう」と推測して結んで
いましたが、個人的には「腹を割っても金の卵は入ってなかった、
『金の卵を産む鶏』」の話を連想してしまいました。
現在は殆ど見かける事がなくなりましたが、90年代前半頃までは、
精神世界の中で「四次元」「異次元」という言葉が非常に多く登場
しました。
わたくしの学生時代にはまた、「異次元に行く方法」なるものの
俗信が女子学生の間で広まったりと、今思えば当時はそれらに対する
関心がとりわけ高まった時代であったと感じます。
そうした俗信の中に、「11時11分11秒など、時計の数字が全て揃った時に、
トイレで水を流すと異次元の世界に行ける」とか「平成4年4月4日4時44分に
椅子から飛び降りると異次元の世界に行ける」など時刻の数字に関する
ものも少なくはなく、一体誰が広め始めたのはわかりませんが、ローカルの
ラジオ番組の中でも、「4月4日の4時44分44秒に番組中に合図を行って
リスナーが揃って椅子から飛び降りる企画」というものさえありました。
しかし、そうした俗信は流行しても、それを行った事によって本当に
異なる次元に入ったとかの人の話はわたくしは聞いた事がありません。
以下、時間と空間のゆがみに関する実話として、80年代に少女雑誌
「マイバースデイ」の中でも紹介された事のある文政年間の経師の
話しです。
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【土間の壁から海水が溢れ出し、魚がピチピチはねていた】
江戸時代の文政年間に、不思議な事件があった。
江戸の根岸という所に経師の佐助という男が住んでいた。
この男は日当をもらって働く下職人だったが、ある朝目が覚めると、
土間に魚が山積みになり、まだピンピンはねていた。
佐助はびっくりしたが、誰かがいたずらをしたのだろうと大して気にも
留めず、30匹近くもあった魚を近所にも配ったりしてみんな食べて
しまった。
次の朝目が覚めると、佐助はまたビックリしてしまった。
土間は水浸しになっていて、また魚が沢山はねているのだった。
しかも土間にぶちまけられた水からは汐の香りがしていた。
明らかにそれは海の水だった。
「誰がこんなバカげたいたずらをするのだろう」
佐助は不思議に思って、その夜は犯人を見届けてやろうと酒を
チビチビやりながら寝ずの番をする事にした。
丁度一番鶏が鳴く少し前、佐助はあまりの事に腰を抜かすほど
驚いた。
それもそのはず、佐助の家の土間の壁の中からドッと水が溢れ
出し、土間はまた海の水でびしょびしょになってしまった。
しかも水が引いた後には生きた魚が前日と同じようにピチピチ
はねているではないか。
佐助はすぐに土間に飛び降りて壁をさすってみたが、壁はすすけて
いるもののヒビなどは入っておらず、どこからも海水が入るような
穴は見つからなかった。
気も狂わんばかりの佐助は、すぐその事を大家に話した。
三晩も不思議な事件が続いてはさすがに大家も放っておくわけにも
いかず、トビ職を呼んで佐助の家の壁をぶち抜いた。
しかし壁には大きな穴が開いただけで、水は一滴も出てこなかった。
その夜から、佐助の家に海水と魚が飛び込んでくる事はピタリと
止んだが、なぜ三晩もそんな不思議な事件が起こったのか、
誰にもわからなかった。
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この話しについて、誌上では「たぶん時間と空間のゆがみが、佐助の
家の壁と海とをどうにか接触させてしまったのだろう」と推測して結んで
いましたが、個人的には「腹を割っても金の卵は入ってなかった、
『金の卵を産む鶏』」の話を連想してしまいました。