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うまがスラムダンクの続き

うまがスラムダンクを勝手にアレンジ。
スラムダンクの続きを書かせていただいています。

#86 【湘北コンビ】

2009-04-02 | #04 海南 番外編
--海南大附属高校 体育館--

藤真の提案により、神奈川混成チーム対海南の練習試合が行われている。

試合は、全部で5試合。

現在、1試合が経過し、混成チームが1勝をあげた。

続いて、第2戦が行われる。



海南は、第1戦同様のスタメンを起用。



対する混成チームは・・・。


「赤木、次は俺が出る!」


「断る!!」


「何をーー!!」

「わかった。俺が変わる。だが、魚住は引退して随分経つ。体が鈍っているんじゃないか。」

花形が大人の対応。

「愚問だ。」


「さぁ、次は俺たちの出番だな。木暮いくぞ!」

「おっおう。」


「今度は、1-3-1のゾーンで守ろう。うちは、あくまでも、海南の練習相手だからな。
いろんなバリエーションでやってやるのがいいと思う。」

「あぁ、ちげーねぇ。だが、負けるのはまっぴらだ。」

と三井。

「もちろん、勝ちに行く!」

藤真が続ける。

「トップは俺、左右に三井と木暮、センターは赤木、ゴール下は魚住。
リバウンドを取ったら、すぐに速攻だ。ディフェンスは思い切り良くいこう。
三井、木暮、ガンガン打っていっていいぞ。赤木と魚住は、リバウンドを頼む。」

「OK!」


(的確な指示に、リーダーシップ・・・、気合だの、死守だのいっている俺とはかなり違うな・・・。)

と心の中で呟く赤木。




ジャンプボールは、魚住と高砂。


『バチィーン!』


魚住が思いっきり叩いたボールは、海南のエンドラインまで転がっていった。


「バカ!何やってんだよ!ちゃんと味方に渡せよ。」

「すっすまん。」


怒鳴りつける三井に対して、素直に謝る魚住。

魚住にとって、数ヶ月ぶりに行うバスケの試合。

誰よりも興奮し、誰よりもこの練習試合を楽しみにしていたのは、
藤真でもなく、赤木でもなく、魚住だった。

その興奮を抑えられない魚住は、勢い余って、ボールを思いっきり叩いてしまった。


ボールを叩き、ジーンとなっている手を見つめているその瞳からは、涙が流れている。


(バスケもこいつらも、俺にとっちゃ大間のマグロ以上の価値があるんだ・・・。)



『ドガ!』



「バカ!何泣いてんだよ!」

後ろから、三井が蹴る。


「おっおう。」




涙を拭いて、守りにつく魚住を感慨深く池上が眺めていた。

(魚住・・・、ボールに、コートに、バスケに飢えているんだな。お前も福田も変わらないな。)




「1-3-1か。」

「うちは海南の練習相手だからな。」

「手は抜くなよ。」

「まさか。」


牧が一気に加速。藤真と木暮の間を抜きにかかる。



「木暮!」

「おう。」


藤真と木暮で牧を囲んだかに見えたが、


『クルッ』


牧のキラーバックロール。



(速すぎる!!)



木暮側のサイドを抜き、リングに突っ込んだ。



「来い!」


(赤木!)


今度は、赤木と魚住のツインタワーで牧の進路を塞ぐ。


(さすがにデカい!!ならば・・・)



『シュ!』



牧は、半回転から、神にパスを送った。



『バシ!』



「そのパターンはお見通しだ。」



ボールを取ったのは、三井だった。



「何!?」

「三井は逆サイドだろ!」



ゾーンの左側を守っていた三井だったが、散々この牧-神の必勝パターンにやられたこともあって、
左側の清田をフリーにする危険を顧みず、右側にいる神のもとへ走り込んでいた。
「神にパスする」という確信のもとに・・・。


(三井、さすが読みが鋭い。)

赤木の顔が自然とほころぶ。



「藤真!」

「おう!」

混成チームの速攻、藤真がレイアップを決めた。

第1戦に続き、先制点は混成チーム。




だが、



『スポッ!』


神が三井の前から、宣戦布告ともいえる3Pを決めた。

三井を見て、にこりと笑う神。


(また、遠くなりやがったな。)

三井も笑った。


神は、陵南戦よりも50cm遠い、3Pラインから1.5m離れたところから、3Pを放っていた。


三井の胸の熱い想いがメラメラと燃え始める。

(いいねー、この感じ。)



『ザシュ!』


神を振り切り、ミドルシュートを決める三井。



『シュパ!』


神は、木暮を抜いて、ジャンプシュートを決めた。



『ドガァ!!』


藤真のアシストを魚住がアリウープでねじ込む。



『ザシュ!』


木暮を交わして、ジャンプシュートを決める清田。




試合は一進一退の攻防が続いた。

第2戦も残り2分となったところで、再び三井のバスケセンスが光る。



『ドン!』



「オフェンス!清田、ファウル。」


「くそー、三井!」


木暮のところを中心に攻める海南の裏をかいて、素早いヘルプに回っていた三井が、
この試合2つめのオフェンスファウルを奪い取った。


「まだまだだな。」

「ちいっ!」


(ブランクがなかったらと思うと、ホントに恐ろしい男だな。)

牧が呆れ顔で三井を見ている。


(シュート力もさることながら、ディフェンスもよくなっている。
センスだけじゃない、相当な練習もしているはずだ。)

藤真の考えは、当たっていた。


三井は、海南に敗れたあとも、宮城らとともに、練習に精を出し、
特に苦手であったフットワークを中心に鍛えていた。

その成果が本日の表われでもあった。



その後、試合は、神、清田が積み重ねた前半のリードをなんとか守りきり、
海南が僅差で混成チームを下した。

清田のジャンプシュートの確率の向上が目立ち、神のロングシュートも披露された。

海南にとっては、練習の成果が出た試合であった。

だが、一向にインサイドから得点を重ねることはできず、全国大会を前に厳しい現実を突きつけられる。


対する、混成チームでは、三井のディフェンス力、赤木のリバウンド力と、湘北コンビの動きが目立っていた。


(あと1年早く三井が戻っていたら・・・。)

少しだけ悔しさがこみ上げる赤木に、三井の無邪気な言葉が胸に響く。


「横学来いよ!また、一緒にやろうぜ!!」

「・・・。」

ほぼ志望校が決まっていた赤木の心が揺らいだ。



海南 25
混成 24







続く。