人生行路の旅,出会いと別れのソナタ

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2008_アルゼンチン便り (35)

2008-11-29 | 2008_アルゼンチン便り
◆ 現地職場の「忘年会(年度末の報告集会)」に初参加! ◆

 まだ11月だというのに,職場から「年末行事へのお誘い」との案内状がメールで届いた.文面によれば,当地の超一流ホテル「シェラトン(Sheraton)」の大広間で開催し,会の締めくくりにはカクテルパーティ(Cocktail)があると記されていた.日本流にいえば,これはきっと「忘年会」に当たるのではないかと想像したが,それにしてもちょっと早いような気がしたので,世話人の女性職員に「忘年会をもうやるの?」とメールで聞いてみた.すると,「いや,これは忘年会ではなく,年度末を締めくくる恒例の行事」とのことだった.こちらでは,12月に入るとそろそろ大型のバカンスをとる人が出てきて,クリスマス,それに正月を挟んだ1月末にかけては職員全員がなかなか集まれないのだという.そういえば筆者も12月中旬からは大型バカンスをとる予定なので,なるほどと納得した次第である.

 会場のシェラトン・ホテルは,写真で見るようにたいへん立派な建物だが,拙宅のベランダから見通せる距離だったので歩いても20分ほどだろうと思って出かけたが,とんでもない,40分以上はゆうにかかった.汗だくになりながらたどり着き,会場の大広間に向かうと,入口ではパントマイムの出迎えを受け,中に入るとすでに50人ほどの人が集まっていた.少し誤解していたのだが,これは職場の行事ではなく,職場が主催する行事だったのである.来賓者のほうが圧倒的に多く,結局は200人前後の大集会となった.州政府の幹部,域内の中小企業家,それに地元の報道関係者など多数が主催団体の職員とともに会場を埋めていた.椅子席はなく,後半のカクテルパーティに備えて配置してあるいくつかの丸いテーブルを囲んで,みんな立席のままであった.

 この行事の開始時刻は午後7時だったが,15分ほど遅れただろうか,まずは全員によるアルゼンチン国歌の斉唱から始まったのにはいささか驚いた.続いて会場正面に配置された大きなスクリーンに,この1年間の事業活動を振り返った動画が軽快な音楽とともに投影された.いつの間に作ったのだろうか,たいへんよく編集されていた.やがて主催者側代表と来賓の州政府幹部たちが演壇の上にそろい,集会のようなものが始まった.主催機関を代表して理事長から,この1年を振り返った事業報告と財務報告があり,その中では,日本からもこの事業に参加しているボランティアがいるということで筆者の名前を挙げて紹介されたのには参った.

 セレモニーめいた式次第が一通り終わり,やおらカクテルパーティが始まったが,特に格式ばった司会・進行などは何もなかった.立席のまま,テーブルの上に並べられたおつまみをナプキンで摘まんで,思い思いにシャンペンやワイン,ジュースやコーラなどを飲みつつ,ひたすら周りの人たちとのおしゃべりが続くのである.こちらで「カクテル」といえばこの種のパーティ形式を指すのであって,いわゆる日本でいうお酒の「カクテル」が出てくるわけではない.筆者も何人かの人たちと拙いスペイン語会話でおしゃべりをしてみたが,30分もするうちに足が棒のようになってしまった.つくづく感心するのは,こちらの人たちはそれでも座ろうとしないのである.そして,甘いものをよく飲み,よく食べる.

 まあ,位置づけや形式は異なるものの,これが当地での忘年会のようなものである.そして日本と大きく違うのは,2次会がないこと,カラオケなどもなく,飲みつぶれる人もまったくいないことだ.3~4時間あまりを立ちつくし,誰彼となく喋りまくって,流れ解散のように会は自然に収束していく.それでも不思議なことに,その翌日からの職員の職場での表情にはどことなくリフレッシュした爽快な雰囲気が漂っていた.これから楽しいバカンスのシーズンを迎える,やがて来る次年度も頑張ろうと,一つの節目の行事にはなっているようで,筆者もついそのリズムに引き込まれて,次年度の活動計画などに無意識のうちに思いを馳せていた.ちなみに,この会の会費は無料であった.予算内での公式行事とのことだ.ところ変われば流儀も異なる,日本にはやはりあの「忘年会」が欠かせないのかもしれない.
会場となったシェラトン・コルドバ・ホテル
【会場となったシェラトン・コルドバ・ホテル】
パントマイムのお出迎え
【パントマイムのお出迎え】
年次事業・財務報告をする理事長
【年次事業・財務報告をする理事長】
 
(2008/11/29,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)

2008_アルゼンチン便り (34)

2008-11-23 | 2008_アルゼンチン便り
◆ 朝鮮カボチャとアセルガ(Acelga)の料理に挑戦! ◆

 久しぶりに食べ物の話題にちょっと戻ってみよう.毎日毎日の牛肉料理にもいささか飽きてきたので,少し変わったものでもと,スーパーにあった「朝鮮カボチャ」と称するものを買ってきた.日本にもあるかもしれないが,食べたことはなかった.画像で見るとおり,形はウリかヒョウタンのようだが,種のある太った部分はたしかにカボチャの風情である.これを角切り風に刻んで,塩と砂糖,それに醤油を加えて煮ものにしてみたが,味のほうはいま一つだった.以前に,普通のカボチャの煮付けを作ったことがあったが,そのホクホク感はなく,ちょうどウリとカボチャを足して2で割ったような食感だった.

 もう一つ,「アセルガ(Acelga)」という野菜を買ってきた.こちらではポピュラーな野菜の一つである.以前からスーパーの売り場で目に止めていたのだが,どうやって料理するのかよくわからず,買いそびれていた.辞書を引いてみると,日本語では「フダンソウ」というらしい.広辞苑によれば,フダンソウ(不断草)とは,「野菜として栽培するアカザ科の一年草または越年草,暑気や乾燥に強いので,夏の葉野菜とする.トウヂサ,トウヂシャ.」とある.形はホウレンソウか小松菜を3倍くらいに拡大したような青菜で,白っぽい茎の部分は白菜に少し似ている.現地の人に聞くと,刻んでスープに入れたりするのが一般的とのことだったが,これを肉と一緒に油で炒めてみた.たいへん美味しく食べられた.

 朝鮮カボチャはいま一つだったが,アセルガはこれで味をしめた.葉っぱの食感はホウレンソウよりも腰があり,白菜ほど大味ではなかった.きっと,小松菜のように煮物にしても合うのかもしれないし,ゆでておひたしにしてみる手もあるだろう.とにかく青菜類が大好きな者としては,これでレシピのレパートリーが一つ増えたことになる.そういえば,このアセルガ料理は暑い時期によく合うようだ.こちらアルゼンチンのコルドバは目下夏に向かっており,暑い日が多くなる.ちなみに,これを書いている今,午後3時過ぎの外気の温度は35℃,室内でも29℃という真夏並みの気温である.涼しくなるのは,夜の9時を過ぎたころからだ.そういう時には,少し油っぽい青菜の炒め物がビールにはよく合うのである.
朝鮮カボチャの切り身
【朝鮮カボチャの切り身】
肉とアセルガの炒め物がうまかった
【肉とアセルガの炒め物がうまかった】
 
(2008/11/23,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)

2008_アルゼンチン便り (33)

2008-11-15 | 2008_アルゼンチン便り
◆ 現地(コルドバ)の中小企業研修セミナーに参加して ◆

 このブログでは,これまであまり仕事がらみの話題は掲載してこなかった.しかし今回,たいへん興味深い地元の研修セミナーに参加する機会があったので,これについて少しばかり概要をお伝えしてみよう.期日は2日間にわたっていて,いずれも朝9時から午後3時まで,実際は1時半ごろに講義は終了してあとは立席の昼食会となる.また,講義の途中でも1回の休憩時間があって,このときはジュースとコーヒーにケーキやクロワッサンなどがふるまわれるおやつの時間があった.参加者はコルドバ州内の中小企業者の若手が大半で,20~25名ほどであったか.筆者は,派遣先の職場の紹介でこれに参加することになった.

 この研修を企画・実施したのは,コルドバのイタリア商工会議所(Cámara de Comercio Italiana de Córdoba)である.テーマは「国際化の過程における事業経営戦略要素としてのe-ビジネス」といういささか大げさなものであった.講師はイタリア人で,電子商取引や情報科学,経営工学などの専門家らしい.面白いことに,PowerPointを使ったプレゼンの画面表示はすべて英語,講義はイタリア語,質疑応答はスペイン語という日本ではあまり見られない進行風景であった.同時通訳のブースが設けられていて,イタリア語が苦手な受講者にはヘッドフォンを通じてスペイン語で聞ける仕組みになっている.だが,これを使ったのは筆者を含め約半数ほどの参加者だったようだ.

 講義の内容は,時間の関係で途中端折られたものもあったが,次のような項目からなっていた.
1)e-革命:双方向通信時代の事業経営戦略の再考
2)e-コマースのシステムをいかに導入するか
3)e-コマースのパラダイム
4)B2Bのパラダイム
5)セカンドライフ(仮想世界):新しいビジネスの機会
6)e-ビジネス,いま中国で何が起こりつつあるか?
7)e-エコノミーにおけるISO-9000の基準と活用
8)サクセスストーリーの分析
9)質疑応答としめくくり

 これらの講義内容を逐一採録することは無理なので,とくに筆者の興味を引いたテーマだけに絞って,以下簡単に紹介しておこう.まずは導入部分において,いくつかの統計資料が示された.これによると,2006年時点での世界のインターネット人口は10億人をちょっと越えていて,2000~2005年の間の増加率は182%だったとのことである.そして2010年には,これが18億人を超えることが予想されているという.また,2007年3月の最新データでは,地域別に見ると,アジアがトップで約4億人,次がヨーロッパで約3億,北アメリカが約2億強,ラテンアメリカが約1億,アフリカが約3千万,中東およびオセアニアがそれぞれ約2千万の順となっている.

 注目すべきは,その絶対数よりもむしろ増加率で,いずれも2000~2007年のそれを見てみると,トップはアフリカの640%,次が中東の500%,ラテンアメリカが400%,アジアが250%,ヨーロッパが200%,オセアニアが150%,北アメリカが120%の順となっている.これらの数値を見る限り,少なくともこの分野では,大陸間の格差は縮まり始めているといえるかもしれない.とくにアフリカや中東,ラテンアメリカの場合など,目を見張るほどの勢いを感ずるデータ内容となっている.ちなみに,国別の絶対数では,やはりアメリカ合衆国がトップで約2億1千万,2位が中国の1億4千万,3位が日本で8千6百万,4位がドイツの5千万,5位がインドで4千万となっている.

 また,見落としてはならない指標として,国別のインターネット国内浸透率の上位5カ国では,アイスランドが86.3%,ニュージーランドが74.9%,スウェーデンが74.7%,ポルトガルが73.8%,オーストラリアが70.2%の順となっている.筆者は,これら上位の国々の中に韓国が登場しないのを疑問に思ったが,別の資料などで調べてみる必要もあるだろう.なお,全世界の対人口比での浸透率は,現時点で16.6%とのことである.この資料では,残念ながら上位10カ国を見渡してみても,日本という国名を見つけることはできなかった.さらに,グローバルなネット世界で使用される言語では,トップが英語で約3億3千万人,次が中国語の1億6千万人,スペイン語が8千9百万人,日本語が8千6百万人,ドイツ語が5千9百万人の順で,これは一部の面では言語人口比に従っているような感じである.

 ところで,今回の講師の「e-コマース(電子商取引)」の定義を紹介してみよう.
「電子商取引とは:『事業活動(商取引,契約,協力関係)を,コンピュータ・ネットワーク上で広く展開していくことにより,商品,サービス,金銭などの交換をもたらす』ものである.」
 とくに目新しい定義ではないが,このわかりきった実践課題を,前述の世界的なインターネット環境の進展の中に「世界市場のニューフロンティア」として位置づけ,中小企業にあってもこれを事業経営戦略の中心課題として認識・実践していく必要があると説いていた.そこで,事業経営戦略とは何であり,また何であるべきかが問題になってくる.

 日本においても,経営学の初級講座などでは必ず企業体のピラミッド型ヒエラルキーの図式が援用され,トップの役割は何であるか,またミドゥルの役割は何であるかなどと,よく議論されている.このセミナーにおいても,やはり講師はこの図をホワイトボードに記し,「トップの役割は何だと思いますか?」と受講者に設問した.何人かの受講者から声が上がり,「意志決定」,「経営資源の配分」,「運営管理」,「マーケティング」などの答えが返ってきた.日本でも,だいたい同じような状況ではないだろうか.しかし講師は,「それらは,今日ではすべてミドゥル(中堅)の役割なのです.」と断定した.しかり,インターネットの世界では,それがたとえビジネス空間であっても,伝統的なピラミッド型のヒエラルキー構造は馴染まないのである.

 ではいったい,トップの役割はどうなるのであろうか,と気になる.この点での講師の説明はちょっと歯切れが悪かったが,「トップはもはや必要ない」とまでは言わずに,「ステークホルダー(事業体の直接・間接の利害関係者)に対する責任の所有者」ではないかと,せいぜい解説をつないでいた.過渡的な説明の範囲を出ない無難なものだった.これ以上深入りすれば,事業体の組織論にまで議論が及んでしまうからであろう.それは,このセミナーの目的と範囲を超えた高度なテーマに属するものである.

 一連の講義の中では,いくつかの事例も紹介されたが,中でも筆者にとって新鮮だった2つのテーマについて記しておこう.

 一つは「セカンドライフ」という世界である.日本人の多くはこの用語 "Second Life" からいったい何を連想するであろうか.筆者も含めてだが,きっと広辞苑にも載っているように「第二の人生・とくに定年退職後の人生」との意味が,まず頭に浮かぶはずである.実はこれは和製英語であり,日本以外では通じない意味・解釈なのだ.最近ネットの世界ににわかに登場してきたこの用語の意味は,その筋のサイトの説明によれば,「ユーザーが創造し参加することにより成り立つオンライン3Dの仮想世界」との由である.詳しくは,検索サイトなどを参照して学習されることをお勧めしておく.興味深いのは,すでに日本でも大手企業などを中心に,これに参加する動きが始まっていることだ.遊びなのか,ビジネスなのか,一見しただけではよくわからない空間だが,事業活動上でも見逃せない新世界の登場である.

 もう一つ新鮮に感じたのは,中国でのこの方面(e-ビジネス)の著しい発展である.前述の統計資料でも明らかなように,膨大な人口を抱える中国でのインターネットの勢いはめざましく,したがって中国語使用者の割合も世界第2位という状況にある.おまけに中国人は,昔からビジネスにたいへん長けている.その意味ではさして不思議ではないのだが,「アリババ・ドット・コム」というサイトをご存知だろうか(www.alibaba.com).この B2B サイトには日本語ページもあって,そのキャッチフレーズによれば,「企業と世界をつなぐ、最大級トレードサイト」とうたっている.ソフトバンクの孫正義も役員にいる日本法人ができていて,他の関連法人も含めアリババ・グループを構成して運営されている.

 アルゼンチンにまで来て,しかもイタリア人講師により,こうしたアジアでの新鮮な動きの紹介を受けた次第だが,筆者としては多少複雑な思いに駆られた面もあった.ともあれ,この研修セミナーは筆者にとってたいへん有意義なものだった.こちらでの業務にも多くのヒントを得られたし,個人的にも大いに勉強になった.ちなみに,午前のおやつの時間に出たお菓子や飲み物,午後のワイン付きランチを含め,今回のセミナー参加費は,在アルゼンチンのイタリア対外貿易機構のご厚意によりいっさい無料であった.2日目に回収されたアンケートには,ぜひまた一層具体的なテーマにより,類似の研修セミナーを企画・開催してほしい旨,しっかりと書きこんでおいた.以下は,終了時に授与された「研修セミナー参加証」のイメージ画像である.
授与された研修セミナー参加証
【授与された研修セミナー参加証】
 
(2008/11/15,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)

2008_アルゼンチン便り (32)

2008-11-09 | 2008_アルゼンチン便り
◆ アルゼンチン名物のアサード・パーティーに参加 ◆

 アルゼンチンといえば牛肉だが,これを炭火で大胆に焼いて宴会を盛り上げるのがアサード・パーティーだ.アサードとは焼き肉という意味で,何種類かの牛肉とチョリーソ(香辛料のきいた腸詰)などが素材である.これまでも,アサードそのものは何度か食べたことはあったが,今回,本格的な宴会風のアサード・パーティーに参加する機会があった.折りから季節は,ハカランダの花も散り始め,夏に向う暑い日々が続き,日本流にいえばさしづめ「暑気払い」といった職場の行事の一つである.

 開始時刻は,なんと夜の10時だった.こちらでは目下夏時間が実施されていることもあり,日が暮れるのは夜の9時ころである.いちおう集合時刻は9時半ということだったので,その時間に合わせてタクシーを拾い,主催者の自宅に着いたのだが,まだ誰も集まってはいなかった.閑静な住宅街にあるその主催者の自宅は,プールも付いたひじょうに大きな家で,犬も数匹飼われていて,たいへん驚いた.この家主は,職場では総務部長級の人だが,想像するにかなりのお金持ちと見受けられる.アサードの会場は,中庭を通り過ぎた離れの独立した建物で,その造りからもっぱらアサード用に設えてあるようだ.

 こちらでは,アサードを準備し,進行するのは男性の役目と聞く.最初に到着した一人の男性と家主の2人で,しきりに準備が進められていった.まず炭火をおこし,肉を適当な切り身に切って塩をふりかける.そして,2か所に設けられたコンロの上に,その肉の種類によって適当にのせていく.そのうちに参加者たちが集まり始め,女性もかなりの人数がいたのだが,彼女たちはいっさい料理作りには参加しない.事前に準備してあったサラダ類を,テーブルの各自のお皿に盛ってまわる程度である.ビールやワインももちろん用意されていたが,日本と違って,女性が酌をするという風景はいっさい見られない.

 かれこれするうちに予定参加者(約20名程度)もほぼそろい,宴会が開始されたのは10時半過ぎであった.日本の宴会とは違って,職場の行事にも関わらず,いわゆる上司や進行役の挨拶も何もない.ただ,自然発生的におしゃべりが始まる.司会進行係もいない中,アサードの肉を適当な大きさに切って各自の席まで運んでくれる世話人がいるだけである.ビールやワインも次々と瓶が空いたが,面白いことに,こうした酒類をコーラやジュースと交互に飲む人もいた.たぶん習慣の違いであろう.そして,ワインに氷を入れて飲んでいる人もいる.赤ワインは,通常,冷やさないで出されるのが普通だからだ.

 ところで,このアサードでの肉の味だが,まさに絶品であった.いままでレストランなどで食べたどのアサードよりも美味だった.柔らかさといい,塩加減といい,まったく上々で,これほど旨い牛肉を食べたのは,アルゼンチンに来てから初めてのことだった.たぶん,肉の種類そのものも,きわめて上等なものだったに違いない.肉の大国であることが,かえって肉の買い方を難しくしていて,これをマスターするのは外国人にとって無理なことである.ちなみに,これだけ食べ放題,飲み放題のこの宴会の会費は,日本円にして約1,200円ほどだった.日本だったら,5,000円会費にしても,たぶん足が出たことだろう.

 そして最後は,例によってデザートのケーキが出た.こちらでは,どんなに呑み助でも,最後のデザートの甘いものはペロッと平らげる.そして,日本の宴会でありがちな「酔っ払い」の出現は,いっさいなかった.たまたまこの日は,同僚の若い女性の誕生日と日が重なっていて,ケーキを切る前にはいちおうローソクに火をともし,それを吹き消す小イベントもあった.それを事前に知っていた私は,ひそかに彼女へのささやかなプレゼントを持参していて,別れ際にそっと手渡した.日本から持ってきていた「ねつけ」風の鈴が鳴るマスコットだった.彼女は喜んで,最後までチリンチリンとそれを振っていた.やおら何人かの参加者が帰り仕度を始めたので,私もそのころ家路についたが,帰宅したのは明け方の3時を過ぎた頃だった.
アサードの準備進行は男の役目
【アサードの準備進行は男の役目】
屋外用のアサード用具
【屋外用のアサード用具】
肉に振りかける塩加減が難しい
【肉に振りかける塩加減が難しい】
肉が焼けるのを待つ女性たち
【肉が焼けるのを待つ女性たち】
パーティーが始まった!
【パーティーが始まった!】
ぼくも食べすぎちゃったよ
【ぼくも食べすぎちゃったよ】
最後は同僚女性の誕生祝いで
【最後は同僚女性の誕生祝いで】
 
(2008/11/09,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)

2008_アルゼンチン便り (31)

2008-11-01 | 2008_アルゼンチン便り
◆ アルゼンチンの「桜」-ハカランダ(Jacaranda)と海鮮料理 ◆

 アルゼンチンは目下(10~11月)春真っ盛り,気候からいえばすでに夏を感ずるほどの暑い日もある.日本では,春といえばサクラだが,ここアルゼンチンでそれに当たるのはハカランダ(Jacaranda,綴りの読み方の違いからジャカランダとも)という花である.時期がくると一斉に紫色の花を咲かせ,しばらくするうちにあっさりと散ってしまう.このはかない開花の様子から「紫の桜」と呼ぶ日系の人もいるようだ.また,日本の「桐の花」に似ていることから「桐まがい」と呼ぶ人もいるらしい.ハカランダには,「マメ科」のものと「ノウセンカズラ科」のものがあるそうで,前者はギターなどの材料になり,後者のほうが花を咲かせるという.
 次の写真は,最近コルドバ市のサン・マルティン広場に咲いたハカランダと,もう一つ白い綿のような花を咲かせている代表的な木(たぶんボラッチョか?)を撮影した画像である. 
アルゼンチンの春を告げるハカランダの花
【アルゼンチンの春を告げるハカランダの花】
もう一つ春に咲く白い花-ボラッチョか?
【もう一つ春に咲く白い花-ボラッチョか?】

● ついに海鮮料理(マリスコス)に挑戦,魚のフライも!
 前述の春の花とは何の脈絡もない別の話題だが,最近やっと海の幸を料理することに成功した.ここコルドバでは,レストラン等ではともかく,一般家庭で魚介類を調達することはひじょうに困難であり,料理することなど半ばあきらめていたのだが,あるきっかけで,スーパーのレトルト食品売り場にあったメルルーサのフライ用パック(Filetes de Merluza Rebozados)と魚介類のごった煮パック(Cazuela de Mariscos)を買ってみた.フライのほうは,当初,揚げてから煮つけてしまって大失敗したが,フライのままがいい.油はオリーブオイルを少量使ってフライパンで両面をこんがりと焼く.カリカリ感の舌ざわりが何ともいえない.魚介類のほうは,チリ料理によく出るスープ風(Sopa de Mariscos)にするとたぶん美味のはずなのだが,どうも味付けがうまくいかず,醤油を入れたのがまずかったようで,今後さらに研究の余地ありといったところであった.
 以下の写真は,これら素材パックと,その調理結果を盛ったラインアップの参考画像である.
メルルーサのフライ用パック
【メルルーサのフライ用パック】
魚介類のごった煮パック袋のシール
【魚介類のごった煮パック袋のシール】
海の幸づくしの今日の夕食
【海の幸づくしの今日の夕食】
 
(2008/11/01,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)