人生行路の旅,出会いと別れのソナタ

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2008_アルゼンチン便り (11)

2008-05-25 | 2008_アルゼンチン便り
◆ コルドバ市の佇まいあれこれ ◆

 ここコルドバ市に住み始めてほぼ1ヵ月半経つが,なかなか市内を巡ってみる時間的余裕がもてなかった.当初は生活に必要な環境整備,必需品の購入や食生活の態勢確立のため,毎日のようにあちこちと買物に歩いていた.仕事が始まると,早速にも結構忙しくなって,職場とアパートをピストン往復する毎日が始まった.週末はといえば,ほとんど掃除と洗濯に追われている.月曜日に出勤すると,必ず同僚から「この週末はどこへ行ってきた?」などと質問されるが,きまって「いや掃除と洗濯でした」というと,相手は痛く興ざめするようである.

 そんな中でも,カメラはいつも持ち歩いていて,街の風景を何枚かの写真に収めていた.とりあえず今回は,それらの画像の抜粋を以下に一挙掲載しておこう.この記事を書いている今,アパートの外では大音響でラウドスピーカーの調整が続いている.明日(5月25日)は,アルゼンチンの「5月革命記念日」ということで,それを祝うためのイベントの準備が進んでいるらしい.この記念日は,1810年5月にスペインからの独立を目指してマヌエル・ベルグラーノ将軍たちが決起し,ブエノスアイレスに最初の政府を作ったことを記念するものである.もっとも,その時はコルドバなどいくつかの州(当時はラ・プラタ副王領)はそれへの合流に賛成しなかった経緯もあって,コルドバ人たちの心境はいささか複雑のようだ.
 では,アルゼンチンの歴史の話はまた別の機会に譲ることにして,まずはフォトギャラリーを・・・
高層ビル-オフィスかマンションか?
【高層ビル-オフィスかマンションか?】
タクシーは黄色系と緑色系の2種類
【タクシーは黄色系と緑色系の2種類】
街頭デモの準備に忙しい
【街頭デモの準備に忙しい】
こんな並木道があちこちに
【こんな並木道があちこちに】
市営の中央市場(通称:北市場)
【市営の中央市場(通称:北市場)】
朝の出勤(徒歩)途上の風景
【朝の出勤(徒歩)途上の風景】
道は広々としている(1)
【道は広々としている(1)】
道は広々としている(2)
【道は広々としている(2)】
馬車(廃品回収業)を御する少年
【馬車(廃品回収業)を御する少年】
ワンちゃんたちのシエスタ
【ワンちゃんたちのシエスタ】
市内の憩いのスポット広場
【市内の憩いのスポット広場】
ある日のデモ-バリケードの内側から
【ある日のデモ-バリケードの内側から】

(2008/05/24,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)

2008_アルゼンチン便り (10)

2008-05-18 | 2008_アルゼンチン便り
◆ 実験牧場-動物人工授精研究センター訪問記 ◆

 アルゼンチンの代表的な食べ物といえば,何と言っても牛肉である.有名な料理はアサードといって,いわば焼肉なのだが,その焼き方や食べ方にはいろいろとバリエーションがあるらしい.こちらに来てから一度だけレストランでその料理を注文してみたが,どうも日本でいう焼肉とはまったくイメージが違っていた.出てきた皿にのっているのは,いくつかのゴツゴツとした大きな肉の塊で,歯の悪い人ならとても食べられたものではない.それをガブリとかじって,ワインを友にむしゃむしゃと食べるのがこちらの流儀である.味はどちらかというとパサパサしていて,しっとり感が少しもない.期待していると,多少がっかりする場合もあるようだ.

 そんなわけで,自炊する場合の肉の買い方はたいへん難しい.値段はとにかく安く,日本で牛肉を買うときに想定する値段のほぼ10分の1程度である.たとえば,日本のスーパーなどで買う2000円くらいのステーキ用の肉片は,だいたい200円である.しかも2~3枚が入っているから,独り住まいの場合は3回分もあることになる.ビーフカレーでも作ろうと塊状の牛肉を買うと,せいぜい300円程度でほぼ1週間分のおかずになる.カレーばかりではと,肉じゃがや肉野菜炒めなども作って,3~4回の調理でやっと食べつくすことができる.味や堅さもまちまちで,ステーキ用の肉などはだいたい骨付きが一般的である.

 このように,アルゼンチンにおける牛肉は,ほぼ主食のようなものだ.それだけに,牛(肉)の生産にかけるさまざまな努力は,重要な産業施策でもある.その努力の一つが,品種改良の試みだ.必ずしも食用だけではなく,さまざまな用途に向けた牛の品種改良にはいろいろな研究もされていて,その成果物(交配因子)は商業化されている場合もあるようだ.もっとも,日本でもある種の業界では,類似の研究や人工受精による交配因子の売買なども実際に行われているのかもしれないが,一般にはあまり知られていない.

 今回たまたま,コルドバ市の近郊にある,某大学の農牧畜科学部に所属の動物人工受精研究センターを訪れる機会があった.市内から車で東に小一時間ほど走った,たいへんのどかな田園地帯に,その研究所はあった.所長と思われるその施設の責任者は,やおら教室風の部屋にわれわれを招きいれ,特に牛を対象とした品種改良にかける方針や技術などについて熱心に説明してくれた.そして,牛のいろいろな品種の精子や交配因子は,重要な営業品目でもある旨の話も聞かされた.日本ではどんな牛の品種があるのかと質問され,思わず「和牛です」といったら大いに笑われてしまった.たぶん,答えになっていなかったのだろう.

 説明のあとは,精子を冷凍保存する器具類や,その精子の入っている小さい試験管のようなものを見せられ,その爪楊枝ほどの管の中に精子が3千万個も存在するのだといいながら,その標本をお土産にとわれわれ一人ひとりにくれたのには驚いた.研究棟を出て広い牧場風の広場に案内され,そこで飼われている何匹もの標本牛たちの姿を間近に観察することができた.一匹一匹が,ある区画ごとに,高圧電流を通した有刺鉄線で隔離されている.くれぐれもその電線には触れないようにと注意を受けながら,それら各種の牛たちのすぐそばまで近づいてカメラに収めることができた.以下は,そのときのスナップ写真集である.
牛の飼料の貯蔵風景
【牛の飼料の貯蔵風景】
作業用運搬具か?
【作業用運搬具か?】
動物生殖センター入口
【動物生殖センター入口】
人工受精用の精子貯蔵器
【人工受精用の精子貯蔵器】
牛の放牧ーいや有刺鉄線に電流が!
【牛の放牧ーいや有刺鉄線に電流が!】
砂浴びしている標本牛
【砂浴びしている標本牛】
カメラを睨みつける標本牛
【カメラを睨みつける標本牛】
たくさんの標本牛たちが隔離されて!
【たくさんの標本牛たちが隔離されて!】
大柄だがおとなしい牛
【大柄だがおとなしい牛】
種牛の色もまちまちだ!
【種牛の色もまちまちだ!】
有刺鉄線に触れないように歩く
【有刺鉄線に触れないように歩く】
では牛さんたち,さようなら!
【では牛さんたち,さようなら!】

(2008/05/17,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)

2008_アルゼンチン便り (9)

2008-05-11 | 2008_アルゼンチン便り
◆ 『今夜、列車は走る(Próxima Salida)』にちなんで! ◆ (追加画像あり!)

 標題の映画が,いま日本で上映中だという.アルゼンチン映画だ.ネット情報によると,東京・渋谷のユーロスペースで5月9日までの上映が,好評のため1週間延期になったらしい.大阪では4月30日に公開されており,神戸では5月10日から,名古屋では5月31日から公開予定とのことだ.この映画を観たという当ブログの複数の読者からも,アルゼンチンでの評判はどうかなどとの連絡をいただいた.原作は2004年で,すでに4年ほど経っていることから,今現在現地の人々から何らかのコメントをもらうことは容易ではないだろう.

 この映画の内容紹介は下段リンクの公式ページに譲るが,物語は90年代のアルゼンチンを襲った「鉄道民営化」の嵐による悲劇を扱っている.この国アルゼンチンは,古来から鉄道網によって国を発展させてきた世界でも有数の鉄道大国であった.それが,今では見る影もないのである.この鉄道網の「分割民営化」は1991年から始まったとされているが,これによりおよそ6万人の鉄道員が失業したという.民営化の結果は,収益性の悪い路線は次々に廃線とされ,線路は放置されたままで,鉄道網はほとんど死骸と化してしまった.

 当時のアルゼンチン経済は,5000%にも達したといわれるハイパーインフレを経験し,時のメネム大統領はその打開策のためにと1ドル=1ペソの固定相場制を打ち立て,一方親米的な立場から新自由主義政策を推し進めて,鉄道以外にも石油,郵便,電気,ガス,水道などを次々と民営化していった.そして規制緩和で外資を導入して「経済発展」を図ったとされている.結果はどうであっただろう.経済はたしかに一時持ち直したかに見えたが,失業率は20%にも上り,貧富の格差は広がって,通貨の固定相場制も国内の輸出産業に打撃をもたらし,そしてまた経済は悪化した.暴動が頻発し,国情も悪化して,治安も荒廃していった.

 アルゼンチンに来てみて,普通のアルゼンチン人と話すと必ずこのアルゼンチン経済の話になるのだが,彼らは決して悲観的でない.そもそもこの国の経済は,およそ10年周期のアップダウンが宿命で,その原因は政策の連続性と安定性の欠如によるのだが,それも仕方がないのだという.大事なことは,今がどんな時期なのかを認識することだという.そうかもしれない.たしかに今は,かつての新自由主義の打撃から回生し,少しずつ繕い政策を積み重ねて,新しい出口を見出そうとしているように見える.それが,最近この国に「中道左派」の政権が誕生している所以でもある.アルゼンチンだけではない,中南米諸国があまねくそのような状況にある.

 通貨の固定相場制はすでに廃棄されていて,国内産業の輸出熱も盛んである.鉄道網も徐々にではあるが回復されつつある.首都のブエノスアイレスと,ここ第二の都市コルドバを結ぶ鉄道路線は,いったん廃線となって長年の間線路が放置されてきたが,近年になって週2便の長距離列車の運行を開始した.また,ごく最近の話だが,この幹線路線に近く「高速新幹線」を通す話が進んでいるという.受注したのはフランスで,この話を詰めるためにクリスチーナ大統領は過日フランスを訪問した.このプロジェクトに,普通のアルゼンチン人は,誰も反対はしないものの,約8割以上の人達が「眉をひそめている」のも面白い.

 アルゼンチン鉄道の現状はどんなものかと,過日の休日,コルドバの鉄道駅に出向いて週2便のブエノスアイレス行き列車の発車を見守ることにした.水曜日と日曜日に運航されている夜行で,寝台車,食道車付きの8両編成,約700kmの道のりを何と15時間かけて走るのだ.きっと線路の保守が悪いためだろう.よくあることかどうかわからないが,しばしば途中で立ち往生して止まってしまうのだという.だから,ビジネス客は絶対に利用しない.ほとんどが若いツーリストか,旅程を急がない地元の家族ずれなどが乗客である.一般市民の中には,この長距離鉄道が運行されていること自体を知らない人たちが多くいるのに驚かされる.鉄道は,もう昔の夢物語だと思い込んでしまっているらしい.

 よそ者ながら私は,一度はぜひこの鉄道に乗ってみたいと思っている.日本の旅行者に馴染みの『地球の歩き方』のどこにも紹介はないし,また当地の関係者や普段付き合いのあるアルゼンチン人の誰もが勧めないこの列車の旅に,私はある夢を感じている.まだ3年ほど先になるという「新幹線」の開通以前の,この在来線(?)の列車の旅に,変わりゆくアルゼンチンの過去と現在の苦悩の姿が感じ取れるのではないかという思いがあるからだ.以下には,コルドバ駅にて撮影したこの列車の発車情景のスナップを掲載しておこう.週にたった2回だけ賑わう,廃墟同然の,かつての威厳を残す鉄道駅の風景である.
週2便の長距離列車が出発
【週2便の長距離列車が出発】
線路は古いが車両はまあまあ!
【線路は古いが車両はまあまあ!】
長距離列車の改札風景
【長距離列車の改札風景】
長距離列車は全部で8両編成
【長距離列車は全部で8両編成】
ホームから乗客を見送る人たち
【ホームから乗客を見送る人たち】
近距離線を牽引するディーゼル機関車
【近距離線を牽引するディーゼル機関車】
列車を見送ったさびしげな駅員
【列車を見送ったさびしげな駅員】

● 追加画像 (以下は,次の日曜日に再び撮影に赴いたときのものである.)
コルドバ駅の全景
【コルドバ駅の全景】
コルドバ駅の構内
【コルドバ駅の構内】
列車は定刻に発車
【列車は定刻に発車】
一路ブエノスアイレスへ
【一路ブエノスアイレスへ】
牽引するディーゼル機関車
【牽引するディーゼル機関車】
これから15時間の旅へ
【これから15時間の旅へ】
再度,コルドバ駅の全景
【再度,コルドバ駅の全景】

<参考LINK>
今夜、列車は走る-Próxima Salida(日本公式サイト)
Ferrocentral S.A.-フェロセントラル(アルゼンチン公式サイト)
(2008/05/11,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)

2008_アルゼンチン便り (8)

2008-05-04 | 2008_アルゼンチン便り
◆ 自炊生活特集-素材から調理の現状紹介! ◆

 生活の基礎は,何といても食べることである.すでに,最初に試みた料理をいくつか紹介したが,今回は素材やその値段,その後の標準的な調理の状況などをお伝えしよう.まずは素材からだが,こちらにもスーパーマーケット,八百屋,肉屋,コンビニ,パン屋,ケーキ屋などがあって,ほとんどのものが買えるのだが,欠けているのは魚屋である.魚だけは買うのが難しく,目下のところまだ調達に成功していない.市営の中央市場(こちらでは北市場と言っている)というのがあり,そこへ足を運んでみたら,たしかに魚屋が一軒あったが,売っているのは大ぶりの白身の魚類ばかりで,とても買えたものではなかった.

 最初にピーマンを紹介しよう.これがまた,日本のものと形や色は同じなのだが,大きさがまったく違う.まるでお化けのようにばかでかい.比較のために,隣にたまごを並べて写真をとってみたので,それを以下に掲載しておく.ちなみにこの値段,一個が約56円だった.もちろん一個しか買わない.これをスープに入れたり,炒め物に使ったり,あるいは生のままサラダに混ぜたりしたのだが,なんと一個食べつくすのに1週間かかってしまった.
ピーマンのお化け(比較のために卵と並べた)
【ピーマンのお化け(比較のために卵と並べた)】

 次に,セロリとホウレンソウ.セロリは日本のものと比べると長さが少し短めで,日本のように汚れを落して白っぽくしてないため,最初は多少抵抗感があった.食べてみると,食感はほとんど同じである.これはあっさりしていて,とくにこちらの食に多い油もの等に添えると実にいいようだ.値段は,下の写真の左側に写っているもので約120円,少し高めだろうか.右に写っているのがホウレンソウだが,これまた大ぶりである.こういう青菜が私は大好きで,きっとないかもしれないと半ばあきらめていたのだが,実はあったのだ.バター炒めにしたり,おひたしにしたりして,これまた3~4日にわたって食べた.大ぶりではあるが,味は日本のものとまったく変わらなかった.値段は約150円,少し安めだろうか.
セロリとホウレンソウ
【セロリとホウレンソウ】

 ここコルドバ市にも,日本食を売る店があるとは聞いていた.Mundo Verde (緑の世界)という名の店で,アパートから歩いて5分ほどのところにあった.経営はどうも中国人らしく,店員仲間では中国語も聞かれるようである.たしかに日本食も置いてあって,以下の写真に示すように,信州味噌,ヤマサやキッコーマンの醤油,それにサッポロ一番のインスタントラーメンなどが並んでいる.日本からの輸入品もあれば,ブラジルのサンパウロあたり(日系人が多い)で作られたものが入ってくるらしい.面白いのは,アサヒビールのドライがあったことだ.ロングの缶ビールを買って飲んでみたが,賞味期限内とはいえ,多少味は落ちていて,高い割にはあまり美味しくはなかったようである.値段は192円,ついでながら味噌(プロ業務用とあった)が736円,醤油(500ml)が512円,インスタントラーメンが一個112円であった.やはり,あまり安くない.
日本食関連いろいろ
【日本食関連いろいろ】

 では,その後の調理の現状などを,以下に画像で一挙掲載しておこう.大好きな魚系の料理が作れないので,どうしても肉中心となりがちである.それでも,努めて野菜をたっぷり添えて,さらにビールやワインで油気を薄めながら,毎食を自炊で過ごしている.写真にはもれているが,実は昼食もほとんど毎朝調理した弁当を職場に持参している.これは,コッペパンにハムとキュウリをはさんで,別に卵焼きとセロリをおかずにしたものだ.ワンパターンだが,外食するよりは経済的でもあり,またコーヒーは職場でふんだんに飲めるので,たいへん簡便である.
ライスに味噌汁も
【ライスに味噌汁も】
カボチャの煮付け
【カボチャの煮付け】
シャンピニョンのスープ付き
【シャンピニオンのスープ付き】
インスタントラーメン
【インスタントラーメン】
パソコンもおかずか?
【パソコンもおかずか?】
標準的な夕食
【標準的な夕食】
ある休日の昼食
【ある休日の昼食】

(2008/05/03,アルゼンチン・コルドバ市の自宅にて,筆者)