つばさ

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「対立は荒廃を招く。協調こそが繁栄につながる」

2012年11月26日 | Weblog

余録:毎日新聞 2012年11月25日
 東南アジア諸国連合(ASEAN)の旗は日本の国旗とデザインが似ていて、青地の中央に日の丸と同じような赤い円がある。円の中心には黄色い10本の稲の束が描かれている。加盟10カ国の友好と結束を示す標章だ▲1967年に発足したASEANは国際社会でさほど目立つ存在ではなかった。それが90年代に入って著しい経済成長とともに急速に注目を浴び始めた。世界銀行のリポートが「東アジアの奇跡」と称したころだ▲ASEANが開く国際会議は次々と周辺国を引き寄せ、ASEANプラス3(日中韓)や、米国とロシア、インドなども加わる東アジアサミットは重要な外交舞台としてすっかり定着した。ASEANはそのホストとして地域協力のけん引役を務める▲ASEANの基本精神は「協調」にある。東南アジアは長年、ベトナム戦争やカンボジア内戦など厳しい戦乱の時代を経験してきた。そんな歴史の反省から「対立は荒廃を招く。協調こそが繁栄につながる」という教訓を導き出した▲先週のASEAN首脳会議ではオバマ米大統領のミャンマー初訪問という番外編もあって、軍事独裁だった国の変貌が注目された。これを弾みにASEANは3年後の共同体構築に向けて歩み続ける。一方の日中韓はせっかく首脳が顔をそろえながら3国の首脳会合さえ持てない不和ぶりだ▲稲は1本だけでは弱い。しかし10本の束になれば何十倍もの強さになって丈夫な縄を編むこともできる。小国の集まりという弱点を利点に変えたASEANの知恵だ。北方の隣人である我々も先人から伝わる「三本の矢」の逸話をかみしめるべきだろう。




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