つばさ

平和な日々が楽しい

やり遂げた手応えは心に刻まれるに違いない

2013年01月03日 | Weblog
春秋
2013/1/3
 夜が明けきらない道場で、海辺で、河原で。年末年始から大寒にかけてのこの時期、各地で寒稽古が催される。神妙な顔、泣き出しそうな顔で子どもたちが剣を振り、拳を繰り出す。その光景は、暖をとるたき火や振る舞われる汁粉などとともに、厳寒の風物詩である。
▼最も寒い時期に、寒い格好をして、わざわざ寒い場所に出かけて運動をする。最近では「非科学的」「体に良くない」といった批判もあるようだ。だが、寒い中でこそ技が磨かれるとの考えは、武道に限らない。三味線や長唄などにも「寒弾き」「寒復習(かんざらい)」の行がある。日本人が求める精神修養のひとつの形なのであろう。
▼「寒さにしっかりあてる」。足や耳を真っ赤にし、精いっぱいの気合を出す子どもたちの姿に、家庭菜園や園芸で大切なこの作業を思い浮かべる。秋植えの球根は寒さにあてて初めて花をつけ、冬の野菜は寒に耐えて味を深める。寒稽古がすぐ効果を生むわけではなかろうが、やり遂げた手応えは心に刻まれるに違いない。
▼昨年は学校でのいじめが、大きな問題になった。ひとり涙を流した子もいるだろう。いくたびかの困難が君たちを襲うかもしれないが、春になればきっと花が開く。稽古を終え、父母らと家路につく子どもたちの顔は上気して、なんだか得意げだ。道着や竹刀を小脇に、「えっへん」とでも言うかのように通り過ぎていく。

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