つばさ

平和な日々が楽しい

そういうことになっているものですから

2013年04月19日 | Weblog
春秋
2013/4/19
 しまったと思ったがもう遅かった、という話を西洋史学者の阿部謹也が書いていた。ドイツ人夫妻に夫婦茶碗(めおとぢゃわん)を贈った思い出である。大小の茶碗を前にした夫妻、奥さんがさっと大きい方を取って「これ、私の」。旦那はどうして?という顔で小さい方を手にした――。
▼日本で当たり前のことがいかに世界では理解されないか。そんな例として彼はこの話を引いた。それでも、男と女は体も手の大きさも違うし、大小は価値の差でなく細やかな美意識の反映なのだ、と理屈を言えば、茶碗や箸のサイズについては外国人を説得できるかもしれない。しかし、どうにも説明できぬ男女差がある。
▼昨年、ある県立高校で体育館にペタリ座る360人の生徒を前に話をする機会があった。演壇に近い前が男子、後ろは女子、とくっきり分かれている。高校生になれば男子の方が体が大きいのに、と目を疑って先生に理由を尋ねると「そういうことになっているものですから」。なるほど、理屈のつけようはないのだろう。
▼女性の国会議員が少ない。企業の管理職が少ない。そんな話題を日々聞く。安倍首相はきょう、上場企業は少なくとも1人は女性を役員にするよう経済界に求めるそうだ。なのに、高校で理由もないまま男が女の前に座っている。簡単にただせると思うが、副校長は「なぜか、そうなっているので」ことしも変えぬという。

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