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20世紀は「戦争の世紀」とも「民族解放の世紀」とも「革命の世紀」ともいわれる

2013年10月10日 | Weblog
春秋
10/10付

 20世紀を象徴する人物がまた1人、この世を去った。そんな感慨を抱いた人もいるのではなかろうか。ベトナムのボー・グエン・ザップ将軍が4日、亡くなった。1911年生まれで102歳だった。生年には異説もあるが、100歳を超えていたのはまず間違いない。

▼赤いナポレオン。そんな異名をさずかるほどの軍略家だった。有名なのは54年のディエンビエンフーの戦いの指揮だ。フランスからの独立をめざしたインドシナ戦争で最大の激戦とされる。フランスはこの戦いで敗れベトナムの独立を認めざるを得なくなった。ただ軍人としての教育や訓練を受けたことはなかったそうだ。

▼10代で政治活動にたずさわり、若くして入獄も経験したが、軍事については中国の古典「孫子」を読んだり、異名の由来となったナポレオンを研究したり。つまり独学だった。そんな人物がベトナム人民軍を立ち上げ、独立戦争、さらに米国とのベトナム戦争も指導した。圧倒的な物量の差をはねのけ、実質的に勝利した。

▼「救国の英雄」とたたえられるのも、うなずけよう。もっとも、栄光の裏にはえてして悲惨がある。米軍を追い払って成立した統一ベトナムは、社会主義化を性急に進めたため多数の難民を生んだ。20世紀は「戦争の世紀」とも「民族解放の世紀」とも「革命の世紀」ともいわれる。確かに時代の一面を体現した人だった。

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