つばさ

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百三十五カ国中百一位

2012年11月01日 | Weblog
中日春秋2012年11月1日
 敗戦直後の日本で、「男女同権」は、一つの流行語であり、合言葉だった。一九四六年四月の東京新聞に、こんな話が載っている
▼当時の銭湯の混雑は猛烈で、燃料も不足していた。ある銭湯は窮余の策で、きょうは男だけ、あすは女だけと一日交代にした。男の入浴日、威勢のいいおばあさんが、どんどん服を脱ぎ男湯に入ろうとする。「きょうは男の日ですよ」と注意すると、「何言ってんだよ、もとと違って、いまは男女同権なんだよ」
▼この月の十日は、男女同権を記念する日となった。女性に参政権が認められた初の総選挙に向け、当時の本紙は、「婦人参政権も猫に小判か」との見出しで書いた。<大部分の女性は新しく与えられた参政権にいまだ戸惑いのかたちで貴重なる一票の行使については早急には期待できぬ>
▼だが、現実は違った。男女同権は単なる流行語ではなく、閉塞(へいそく)から解放を求める行動そのものだった。女性の投票率は六割を超え、女性代議士が三十九人生まれた。その一人が、九十四歳での逝去がきのう公表された山口シヅエさんだ
▼その訃報に、時代の流れを感じた方も多いだろう。ただ時の流れほど、男女同権は進んでいない。国際的な研究機関の「男女格差報告」で百三十五カ国中百一位。女性議員の少なさも指摘された。山口さんら先駆者の霊前に供えるには、余りに寂しい報告だ。

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