2011年11月30日 ゲンダイネット
報じたのは琉球新報1社だけ?<ちゃんちゃらおかしい、今になっての大騒ぎ>
防衛省沖縄防衛局の田中聡局長(50)が「レイプ発言」で更迭された。仲井真弘多・沖縄県知事は「コメントしたくもない」と吐き捨てていたし、沖縄県民の感情を考えるまでもなく、こんな暴言局長はクビが当然だが、驚くのは大マスコミのフヌケぶりだ。問題発言は大勢の記者が聞いていたのに、報じたのは「琉球新報」1社のみ。大マスコミは慌てて、後追いしたのである。
防衛省沖縄防衛局の田中聡局長(50)が「レイプ発言」で更迭された。仲井真弘多・沖縄県知事は「コメントしたくもない」と吐き捨てていたし、沖縄県民の感情を考えるまでもなく、こんな暴言局長はクビが当然だが、驚くのは大マスコミのフヌケぶりだ。問題発言は大勢の記者が聞いていたのに、報じたのは「琉球新報」1社のみ。大マスコミは慌てて、後追いしたのである。
問題発言が出たのは28日夜。沖縄防衛局が県内外の報道各社に呼びかけ、那覇市内の居酒屋で開かれた懇親会の席だった。
「会合には琉球新報のほか、読売など計9社の記者が出席しました。この席で、一川保夫防衛相(写真)が県への環境影響評価書の提出時期を明確にしないことについて質問が出ました。これに対し、酔った田中局長が『これから犯す前に犯しますよと言いますか』などと口を滑らせたのです。田中局長は本省の広報課長も経験し、今年8月に沖縄防衛局長になった。記者の扱いは慣れているつもりだったのでしょう。地方のトップになって、カン違いしたのかもしれない。いずれにしたって、あまりに非常識な発言です」(沖縄県政事情通)
フツーの記者であれば、すぐに反応して当然だ。ところが、この暴言を問題視し、29日の朝刊で報じたのは「琉球新報」のみ。在京メディアは騒ぎが広がってから慌てて後追い報道する始末で、しかも「非公式の懇談会」「オフレコ発言」と付け加えた。自分のところが遅れた“言い訳”をしたのである。
これじゃあ、報道機関失格だが、大新聞・テレビがスルーした発言が後に問題化したことは過去にもある。7月に松本龍前復興担当相が宮城県庁を訪れた際、村井嘉浩知事に「国は何もしないぞ」と怒鳴った時もそうだ。松本は発言の後、「今の言葉はオフレコ。書いたらその社は終わりだから」とドーカツした。在京メディアはこれにビビった。最初に一部始終を放送したのは地元の「東北放送」だけだった。元共同通信社記者で、同志社大社会学部教授の浅野健一氏はこう言う。
「今回の発言は非常にヒドイし、こんなことを平然と言う人物が役所の幹部に就いていることも問題です。たとえ懇親会であっても、社会的影響力のある『公人』なのだからメディアは報道しなければなりません。しかし、今の記者クラブメディアは弱腰だから、オフレコと言われると報じない。ジャーナリズムとは何かを理解していないのです」
ふだんから役人にヘーコラして発表モノばかり報じているから、こうなるのだ。田中局長が泥酔して軽口をたたいたのも、記者をナメ切っている証拠である。しかも、防衛省は「記者との信頼関係が崩れた」なんて寝言を言っている。どうしようもない役所と記者だ。