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「日本一の梅酒」の秘密にせまる!

2011年04月23日 15時01分32秒 | グルメ・特産品、新製品
山口酒造場
 
2011年3月2日 exciteニュース
 
大阪天満宮で開催された「第5回天満天神梅酒大会」。今年は日本全国から秘蔵の梅酒302銘柄が集結した。約5千人の来場者と最終審査員により選ばれた梅酒の日本一は、福岡県久留米市の山口酒造場の「特撰梅酒 うぐいすとまり 鶯(おう)とろ」(本体価格720ML 1,554円税込み)に決定した。

審査委員長が「新しい感覚の梅酒」と評価する同梅酒は、酸味ととろみ、果肉の甘みや旨みが贅沢に味わえる。レビューでは「梅の果肉がたっぷり入り梅の風味が堪能できる、とろみがあるが甘すぎず後味がさっぱり」と高評価。1位に輝いた美味しさの秘密は一体何だろう。創業江戸天保3年、老舗の山口酒造場の社長、山口哲生さんに話を聞いた。

「『うぐいすとまり』は日本酒からできる酒粕を使って造る粕取り焼酎と、母方の里・大山町の梅農家で採れる品質の良い梅をたっぷり使って造ります」。一般的な梅酒の1.5倍~2倍の量の梅を使うという梅酒は、昔ながらの祖母のレシピを再現。昔から梅酒は粕取り焼酎を使ってつけるのが一番美味しく、贅沢な飲み方と言われていたが、戦後は粕取り焼酎自体が高価で、モノ不足の時代に熟成を待つということは庶民の間で考えられないことだったという。

「粕取り焼酎をじっくり寝かせること1年、それから梅酒を仕込み独特のとろみが出るのをじっくり待ちます。そして待つこと2年。そうすることで他の原料では絶対に出ないとろみと旨みが凝縮されます」。日本酒の酒造だからこそできる手間をかけた贅沢な製法で、まろやかで独特な味わいの「うぐいすとまり 鶯とろ」が誕生する。

「梅酒は健康にも良く体をアルカリ性に変えてくれるので肉類や油分を多くとる日本人の食生活に合います。お勧めの飲み方はオン・ザ・ロック。引き立つ酸味と濃醇な甘みを味わってください。ソーダで割っても味が薄まらず、最後の一滴まで美味しく味わっていただけるのが特徴です」
山口さんの祖父は一村一品運動の創始者で農業の神様といわれた故・矢幡治美さんだ。
 
矢幡さんの「大山町の梅を使い極上の梅酒を造る」という夢を孫である山口さんが実現した。「梅酒を造り始めて約10年。日本酒の酒造ですが、祖父が梅で苦労していたので梅酒には強い思いがあります。酒かすが出る量しか造れないので出荷数には限りがありますが、これからもいい梅酒を造っていきたい」。今宵、山口酒造場の梅酒への思いをつまみに、「うぐいすとまり 鶯とろ」をじっくり味わいたいと思う。
(山下敦子)

U字工事、故郷の風評被害撲滅を訴え「がんばろう栃木!」

2011年04月23日 15時00分43秒 | グルメ・特産品、新製品
風評被害の撲滅を訴えたU字工事の(左から)福田薫、益子卓郎 (C)ORICON DD inc.
U字工事
 
栃木逸品屋
 
フードピア日光 
 
 
2011/4/22 ネタリカ
 
栃木県出身で「とちぎ未来大使」も務めているお笑いコンビ・U字工事が22日、東京・池袋サンシャインシティで行われた『とちぎの観光と農産物フェア』にボランティアとして参加した。福田薫は「大使に任命されてから初めて仕事らしい仕事ができた」と語り、益子卓郎は「丈夫な体があるのは栃木の米、野菜、牛乳のおかげ。安心と感謝の気持ちを忘れずこれからも栃木を応援していきたい。がんばろう栃木!」と切実な問題となっている風評被害の撲滅を訴えた。

同イベントは、東日本大震災や原発事故による栃木県への風評被害を払拭し、県内の農産物や観光地の安全・安心を伝えることを目的に開催された。福田富一・同県知事や県内の観光地で旅館を営む「女将さん会」の女将らも出席し、「栃木は安全です! 元気です!」とPRに努めた。また参加した「とちぎ未来大使」たちから、福田県知事に義援金「とちまる募金」が贈られた。

 栃木で活動する歌手“えりのあ”は、栃木の応援ソング「栃木のうめぇもん」を披露。一緒に踊った益子が「うちの近くのスーパーはとちおとめを売っていたのに、震災以降違ういちごが売られていて寂しい」と風評被害の拡大を嘆く一方、福田県知事は力強く「我々は震災には負けません! 栃木県は観光地の安全宣言をいたしました。空気、水、農産物はいずれも毎日、または定期的に検査をして情報を提供しています」とアピールした。


海外で注目の「甲州」ワイン、意外な実態浮き彫りに!

2011年04月18日 11時28分25秒 | グルメ・特産品、新製品
甲州 (葡萄)
 
2011.4.17  産経ニュース
 
“上質で個性豊かだ”として海外でも高い評価を得て、受注増が見込める「甲州」ワインだが、原料ブドウ産地の山梨県内では平成3年をピークに甲州種の収量が減っている。原因は生産農家が甲州種から市場価格のいい「巨峰」や「ピオーネ」へと品種を変えているためだ。
 
 甲州種の取引価格は、1キロ当たり170円から220円程度とみられる。一方の巨峰やピオーネは400円から700円の単価がつく。
 
 平成3年に1万5700トンあった甲州種の収量が、20年にはわずか2500トン。山梨県内のブドウ収量は5万600トン。甲州種の生産割合は全体のわずか5%弱ということになる。生産効果が低い甲州種が農家に敬遠されている実態がわかる。
 
 ところが、昨年1月にワインに関する世界の情報発信基地といわれる英国ロンドンで、ワインジャーナリストを集めて甲州ワインのプロモーションを展開したのに続いて、今年1月にもロンドンのすしレストランを会場に、現地のレストランオーナーや輸入業者を集め、「日本食に良く合う」甲州ワインを売り込んだ。
 
昨年6月にEU日本政府代表部日本大使公邸(ベルギー・ブリュッセル)で開かれたサマーレセプションにも甲州ワインを持ち込み、欧州委員やEU加盟国常駐代表らに提供した。すると、レセプション効果ではレストランオーナーらからワイナリーに直に引き合いがあり、サマーレセプション出席者からは日本政府EU代表部大使を通じて、「生産地が識別でき、生産地の個性が表れた本物のワイン。しかも質が高い」「甲州という日本固有の品種を使い、日本人自ら醸造していることを知り、興味が深まった」など高い評価を得た。
 
 「生産地が識別できる」とはEU向け輸出用ワインラベルに表示できるブドウ品種名は、葡萄ワイン国際機構(OIV)に登録されたものだけが許されるが、昨年3月に登録が認可されていた。原料産地にごまかしがないという国際機構の認可がさらに評価を高めることにもなった。
 
 これだけ国際的評価を高めながら、産地の総収量の5%では心許ない。消費を待つ市場がありながら供給が追いつかない事態さえ想定される。
 
そこで、甲州種の主産地、同県甲州市は勝沼ワイン協会などと3年間で3000本以上の甲州種苗を農家に配布して、生産拡大を目指すことにした。まず今月8日には市内のワイナリー24社に計1300本を無料で供給した。
 
甲州種は苗を直植えするとウイルスにやられてしまう。準備した苗は農業生産法人がウイルスに強い「101ー14」タイプと「ソパリアグロアール」の2種類の台木に甲州種を接ぎ木した1年苗。各ワイナリーの契約農家が育成する。配布苗は6年後から収穫が可能になる。市で苗の供給を3年間続け、600トン以上の増収量を見込む。
 
世界的に認知されてきた甲州ワインを安定供給するための体勢づくりが始まったといえる。

栃木乳業 懐かしい味、レモン牛乳継承!

2011年04月18日 11時26分59秒 | グルメ・特産品、新製品
乳飲料関東・栃木イチゴ

レモン牛乳

 
 
 
2010.12.2  SankeiBiz
 
北海道に次ぐ生乳生産量2位の酪農県・栃木で、県産の生乳にこだわって、牛乳や乳飲料などを製造する栃木乳業。同社の主力商品「関東・栃木レモン」はレモン牛乳の愛称で約60年にわたって親しまれてきた。
 
 ◆県産100%の生乳
 
 栃木乳業は松倉敬士社長の祖父、文作氏が1947年に松倉ミルクプラントとして創業。当時は2頭の乳牛の飼育から牛乳の加工・販売までを自社で行っていたというが、次第に加工・販売に軸足を置き、専業メーカーとして現在に至る。
 
 使用する生乳は、近隣の壬生町や野木町などを中心に仕入れており、県産100%。搾乳した翌日には牛乳として店頭に並ぶため、強い風味とコクが自慢だ。主力商品「栃木牛乳」は小中学校の学校給食で飲まれるなど、県内ではなじみ深い存在となっている。
 
 栃木乳業が、レモン牛乳の製造を始めたのは2005年。実は、レモン牛乳の製造は、別の乳業メーカーから受け継いだものだった。
 
 レモン牛乳の誕生は約60年前。宇都宮市の乳業メーカー、関東乳業が製造・販売を始めた。当時は、全国的にフルーツ牛乳が人気だったことから、ほかの商品と差別化を図るためにレモン風味に仕上げた。
 戦後の砂糖が少ない時代。ほんのり甘いレモン牛乳は貴重な飲み物で、祝い事など“ハレの日”にしか飲めなかった。その名残は現在も続いており、県内の小中学校では「運動会や謝恩会など、特別な行事の日に飲まれることが多い」(松倉社長)という。
 
しかし、レモン牛乳の歴史は製造・販売元である関東乳業の廃業によって、04年に幕を閉じた。「思い出の味がなくなってしまう」。終売(しゅうばい)を惜しむ市民の声に押され、レモン牛乳の製造・販売を受け継いだのが栃木乳業だった。現在のパッケージには、レモン牛乳生みの親と2代目の名前を入れた「関東・栃木」という文字が並ぶ。
 
◆漫才ネタでブレーク
 
 栃木乳業が歴史のバトンを受け取ってから約3年、レモン牛乳は県外からも脚光を浴び始める。各地の特徴ある料理や食材を取り上げる、ご当地グルメのブームに加え、栃木出身のお笑い芸人「U字工事」の漫才のネタとなったからだった。
 
 販売先は県内のスーパーやコンビニから駅や高速道路のサービスエリア、観光施設にまで拡大。県外のスーパーなどからも引き合いがあり、販売額はこの3年で約3倍に伸びた。乳製品の需要が頭打ちのなか「3倍もの伸びを示す商品は極めて珍しい」と、松倉社長も驚きを隠せない。
 
 関連商品も続々と登場している。レモン牛乳の容器をかたどったストラップや、ハンカチのほか、他の食品メーカーに原料を供給する形で、カップアイスやウインナーを共同開発した。
 
全国区になったレモン牛乳だが「長年のファンを裏切りたくない」との思いは強く、関東乳業から受け継いだ、製法や原材料にこだわって製造を続けている。香り付けに使用するバニラパウダーは「乳飲料では使用しないレベルの最高級品」とか。これが「何度飲んでもあきない味」の秘訣(ひけつ)だという。
 共同開発商品でも、レモン牛乳の味わいを守るため、何度も試作を重ねて納得する味わいに仕上げ、決して妥協はしない。
 
宇都宮餃子や佐野ラーメンなど、県内にご当地グルメとして高い知名度を誇るものがある。これらと「肩を並べ、栃木を代表する土産物に育てたい」。受け継いだ味を守り、さらに大きく育てていく、栃木乳業の挑戦は始まったばかりだ。(松岡朋枝)
                   ◇
【会社概要】栃木乳業
 ▽本社=栃木県栃木市大平町川連432((電)0287・24・8831)
 ▽設立=1947年
 ▽資本金=3200万円
 ▽売上高=3億円
 ▽事業内容=牛乳および牛乳類、生クリーム、発酵乳、菓子類の製造販売
 
≪インタビュー≫
 
□松倉敬士社長
 
 ■県外への情報発信を強化
 
 --レモン牛乳は全国的にも知名度が高い。今後の戦略は
 「県外のスーパーなどでも扱われるようになったが、県外のお客さまからは『初めて飲んだ』という声が圧倒的に多い。レモン牛乳の歴史など、まだまだ知られていないことが多いと感じているので、情報発信を強化する方針だ」
 「県内には、個性を持っておいしい食品を製造しているメーカーがたくさんある。そういった会社と商品を共同開発することで、レモン牛乳自体も伸びていけばよいと考えている」
 
 --牛乳の消費量は減少傾向にある
 「当社の売上高の3分の1程度を牛乳が占めている。牛乳の売り上げを維持しながら、牛乳以外の売り上げを拡大する方針だ。乳飲料やヨーグルトなどの発酵乳で新たな柱となる商品を育てていきたい。ヨーグルトはパッションフルーツ果汁の入った商品など、付加価値の高い商品の開発に力を入れており、県内はもちろん、東京を中心とした関東地方に売り込む計画だ。乳飲料は、60年の歴史があるレモン牛乳と、栃木名産のイチゴを使ったイチゴ牛乳を中心に展開する」
 
--ここ数年、売上高は減少傾向にあるが
 「高級生クリームなど、価格帯の高い商品の動きが鈍い。しかし、単価の安い商品の売り上げは伸びていて、工場の生産量や稼働率は向上している。売上高は横ばいか微減傾向が続いているが、利益体質は良くなっている」
 
 --中長期的な成長戦略は
 「売上高などの具体的な目標は公表していないが、社内の5カ年計画の一環として、数年以内に県内に新工場を建設する計画だ。牛乳を生産している以上、衛生管理に終わりはない。新しい設備のもとで、衛生管理を強化するとともに、生産量の拡大も行う」
                   ◇
【プロフィル】松倉敬士
 まつくら・たかし 明治大学卒業後、2001年に栃木乳業に入社し、04年から社長。39歳。栃木県出身。
 
                 □ ■ □
 
 ≪イチ押し≫
 ■レモンに続きイチゴ味も開発
 レモン牛乳として、約60年にわたって親しまれている「関東・栃木レモン」。県産の牛乳だけでなく、最高級のバニラビーンズを使ったバニラパウダーにもこだわった。無果汁ながら、サッパリとした甘さは「何度飲んでも飽きない味」だ。
 
 今年11月には、姉妹商品となるイチゴ牛乳こと、「関東・栃木イチゴ」が発売された。イチゴの生産量日本一の栃木ならではの商品。レモン牛乳は無果汁だが、イチゴ牛乳は県の名産、トチオトメの果汁を3%加えている。練乳を加え「昔ながらの甘いまろやかな味」(松倉敬士社長)に仕上げた。
 レモン牛乳、イチゴ牛乳とも200ミリリットル(98円)と500ミリリットル(158円)の2種類。県内のスーパーのほか、高速道路のサービスエリアなどでも販売されている。

“甘酸っぱい”努力で異例のヒット ポッカ「キレートレモン」

2011年04月18日 11時26分04秒 | グルメ・特産品、新製品
【開発ヒストリー】“甘酸っぱい”努力で異例のヒット ポッカ「キレートレモン」
 
ポッカコーポレーション
  
2011.4.17 18:00  産経ニュース
 
商品の入れ替わりが激し飲料業界で、ポッカのレモン飲料「キレートレモン」の安定した人気が際立っている。平成14年度に年間3千万本を突破、17年度以降は4千万本超を売り続けている。2千万本がヒット商品の目安とされる飲料業界の中で、異色の売れ行きだ。凝縮されたレモン成分が、健康志向を強める消費者の心をつかんだが、そこにたどりつくまでには、“甘酸っぱい”努力を重ねてきた。

 

 
レモンは得意 「おいしくて健康にもいいレモン飲料をつくってほしい」
 
 ポッカ中央研究所の武田吏加さん(38)に、本社のマーケティング本部から声がかかったのは、平成12年8月だった。
 
 レモンの扱いは慣れていた。もともとポッカは昭和32年、当時高価だったレモン飲料の製造販売を目的に創業した会社だ。ただ、安定収入を約束してくれるようなロングセラーが育っていなかった。
 11年、ひとつの転機が訪れた。規制緩和で、ドリンク剤が医薬部外品となり、薬局以外でも販売できるようになった。
 
 「コンビニエンスストアやドラッグストア、自動販売機で販売できる飲料商品をつくろう」。ポッカ社内の機運が高まった。
 長年、レモンの商品開発を支えてきた中央研究所の武田さんは、新商品開発のプロジェクトに「会社を代表する商品になる」と感じたという。
 

 

イタリアに飛ぶ
 
 開発のヒントを探すため、調査チームを編成し、レモンの一大産地である南イタリアに派遣した。飲食店や家庭で、レモン1個分の果汁を炭酸水で割っただけの飲み物を見つけた。「スプレムータ・ディ・リモーネ」と呼ばれる、イタリア人が目覚めの1杯として愛飲しているものだ。チームにはひらめくものがあった。シンプルに絞ればいいのではないか。
 
 レモンの成分をそのままいかすことも重要だ。成分とは抗酸化作用のあるビタミンCだけではない。クエン酸やポリフェノールも豊富だ。クエン酸はカルシウムや鉄分などのミネラルを吸収しやすくする「キレート作用」が特徴だ。ポリフェノールには中性脂肪の吸収を抑えたり、悪玉コレステロール(LDL)を減少させたりといった効果が期待できるという。
 
 「レモンの自然の力を、毎日手軽にとってもらうような商品」。これが新製品の命題となった。「自然の力」を掲げる以上、開発のハードルも上がる。「レモン1個分の果汁」「果汁20%」が必要になった。
 武田さんはさっそく開発にとりかかった。といっても、調査チームから報告をうけた現地のレシピのデータからの手探りだ。

 

 
次々にダメ出し
 
 レシピはシンプルだが、再現に苦労した。第一に、イタリアで使われているレモンの品種は日本では一般的ではない。コストや仕入れの制限もあり、複数の品種や産地から新製品をつくり出す必要があった。
 果汁の多さも難題だった。レモン果汁は光や熱のダメージを受けやすい。品質保持が難しいため、飲料メーカー各社のレモン飲料は果汁の割合は0~3%と少ないのが相場だった。
 
武田さんは、品種の組み合わせや果汁の量、糖分の種類、ガス圧やレモンの皮成分の配合を変えて試作品を作り続けた。
 
 厳しかったのはマーケティング本部の評価だ。試作品を届けるたびに、「イメージと違う」「酸っぱくて飲めない」と押し返された。終電の時刻を気にしながら、約1カ月間で試作したレシピは百通りに上った。マーケティング本部が納得する試作品が完成したのは、その年の秋になってからだった。
 
 品質保持の課題は、光を通しにくい緑色のガラス瓶を使うことで解決をみた。そして、平成13年3月、「キレートレモン」と名付けられた新製品は翌13年3月に発売した。初年度は苦戦したが、14年度に大規模に宣伝戦略を強化してからはは、爆発的に売り上げが伸びた。17年以降は年間4千万本超の販売実績を上げた。
 
 以降、キレートレモンはヒット商品街道を突き進む。21年5月には「もう一口飲みたい」という消費者のリクエストに応える形で、容量を140ミリリットルから155ミリリットルに変更。パッケージには、ビタミンCやクエン酸など成分を明記した。
 
 先日、武田さんのもとに女性の消費者からメールが届いた。メールには「病気の父親が亡くなる日までキレートレモンを手放さなかった」とあった。「開発してよかった」。武田さんは今、改めて自分が開発した商品の力を見つめ直している。
 
【キレートレモン】ポッカコーポレーションが平成13年3月に発売したレモン1個分の果汁を使った炭酸飲料(レモン果汁20%入り)。さわやかな風味と、レモンに豊富に含まれるビタミンC、クエン酸、ポリフェノールを手軽に摂取できることが特徴で、30~40代の女性を中心に支持を集めている。23年1月末までの累計販売実績は3億6千万本に上る。容量は155ミリリットル、税抜き希望小売価格は1本115円。無炭酸でカロリーを抑えたペットボトル入り飲料「キレートレモンプラス」をラインアップに加えるなど、シリーズを充実させている。