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この本、イラストが大変でした

2012-11-29 11:11:05 | 
 今年9月に『 AutoCAD の達人が教えてくれるベストテクニック100』という本をエクスナレッジ社から出した。
AutoCADの達人が教えてくれるベストテクニック100 (エクスナレッジムック)AutoCADの達人が教えてくれるベストテクニック100 (エクスナレッジムック)
価格:¥ 3,675(税込)
発売日:2012-09-03

 100 個の AutoCAD 技を紹介するという本なのだが、書き初めの打ち合わせで編集者から

「イラストを入れましょう」

と提案があった。

「それはいいですね、こんな感じのイラストを描いてもらってください」

とイラストを送ると

「会議で、鈴木さんに描いてもらうことになりました」

とメールが来た。
 文章はなんとか書ける。操作の図も入れられる。が、イラストは大変だった。
 テーマに合ったイラストを考えだすのが大変だ。
 たとえば「よく似た図形を一気に選択する」というテーマがある。 よく似た図形を選択、群衆から特定の人を選ぶ、ウオーリを探せ風で行こうとアイデアがまとまる。
 まず写真を集める。

People

 写真を見ながら、ペンでイラストを描きスキャナーで画像ファイルにすると、こんな感じになる。 慣れないので、1日仕事になる。

People2

 Paint.net というアプリケーションを使って、塗りつぶしを入れ、細かいところを仕上げる。似たものを探す、がテーマなので私自身の顔をいくつか挿入してある。 他にも知った人の顔が入っていて楽しい。

Photo_2

 われながら、よくできたイラストと思うので、ちょっと使いまわして、「選択した図形だけを表示」も作った。

Photo_3

 そんな風にしてできあがった本のページがこれ。あれと思うところもあるのだが、やはり苦労したものが形になってうれしい。
 あ、イラストだけでなく本文も内容の濃いものだ、ぜひご一読、感想を寄せていただけると嬉しい。

Photo_4




絵葉書から 3D モデルを作る

2012-11-22 11:02:18 | AutoCAD
 FaceBook に移行して、ブログはやめようかと思ったけど、やっぱりまとまったことはこちらでないと書けない。
 日常のつまらないことは FBに。

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 ニテコ図研の田中さんからの紹介でその仕事は始まった。
 明治時代の絵葉書の写真から神社の 3D モデルを作成するという仕事だ。その神社は静岡県の清水にある御穂神社、本殿修理工事で明治以前の状態に復元したいというのが目的だ。
 工事はほぼ完成し、写真が飛鳥工務店のブログに掲載されている。220 年前の姿の神社本殿が復活している。

 これが明治時代の絵葉書 3 枚だ。

Photo

 まず修理前の状態が実測され図面化されていたの、それを 3D モデルにする。
 こんな感じだ。使ったのは AutoCAD 、残念ながら Revit ではない。

Old

 次に明治時代の絵葉書写真がどこから撮影されたかを割り出す。そんなに難しい作業ではない。

Cameraposition

 AutoCAD の機能を使い、作成した 3D モデルと絵葉書写真を合成する。
 今回の工事を統括されている文化財修復の専門家、増田千次郎先生から「軒先線を一致させる」という条件が設定された。
 つまり、明治の修復では軒先の変更はおこなわれていないだろう、屋根全体は変更されているようだということだ。
 写真と照合してみると、合わない。棟部分で 150 mm ほど 3D モデルが高い。

Onphoto1

Onphoto2

 増田千次郎先生の話によると、「それでいい」 そうだ。明治の大工が 150 mm ほど高くしたのだろうという。
 隅木の平面的な角度を45度にしたため、そうなったのだろうとのこと、屋根側の隅木は 45 度でないのが普通とのことで、神社建築では常識で、私にとっては新事実だ。
 では220年前の明治モデルは、高さを 150 mm 下げて作ることにした。 赤色が明治モデル、黒色が現状モデルだ。 棟高さを下げて勾配を緩くした。破風位置はほぼ変更なし。

Meiji

 150mm下げた明治モデルは、おおむね写真と合致したが、屋根勾配は逆に緩くなりすぎている。
現状ではこれ以上の照合は難しそうである。

Meiji2

Meiji3

 明治時代を再現したモデルと別角度の絵葉書写真とも照合をおこなった。軒隅先端部が写真にはないため推定作業の照合とした。
 大きなズレはなく屋根形状は再現・照合できていると思われる。

Meiji4

 これまでのことを報告書にまとめて、DWG と SketchUp でも読めるデータを作成して、アド設計の仕事は終了だ。
 とても楽しい仕事だったということで、ブログ再開の記念に掲載することにした。