「初詣」の意味とは 神社とお寺では違うの?
私だ
正月行事の一つ、「初詣」。
かつては氏神様や先祖への新年のあいさつだったが、
近代化とともに大都市近郊の有名な寺社が参拝者の人気を集めるようになった。
今も昔も変わらないのは家族の無事を願う気持ちのようだ。(寺田理恵)
◆家族に幸福を
初詣は、新しい年を迎えてから初めて神社や寺院などに参拝する行事。
一年の感謝をささげ、「今年もよろしくお願いします」と新年のあいさつをする。
初詣に人気の「明治神宮」(東京都)、「成田山新勝寺」(千葉県)、
「伏見稲荷大社」(京都府)など有名な寺社は毎年、境内を埋め尽くすほど多くの参拝者でにぎわう。
初詣客を運ぶため、各鉄道会社は大みそかから元旦にかけて終夜運転を実施する。
こうした初詣が行われるようになったのは交通網が発達してからだ。
全国約8万社の神社を包括する組織「神社本庁」(東京都渋谷区)によると、
神道では住んでいる地域の神様である氏神様にお参りするのが基本となる。
初詣は氏神様への新年のあいさつ。
地縁による結びつきの薄くなった現代では氏神様を知らない人も少なくないが、
古くから住んでいる人に聞くか、都道府県ごとの神社庁に問い合わせれば教えてもらえる。
年末から正月にかけての行事が年神様を祭るものだということも意識されなくなった。
年神様は年の初めに家を訪れ、家族に幸福を授ける。門松やしめ飾りは清浄な場所を示し、
年神様を迎える目印。お供えの鏡餅には年神様が宿る。
神社本庁総合研究所の浅山雅司研究課長は「お正月はまず、年神様を家にお迎えする。
お正月には全てが改まり、新たなものが宿る」と説明する。
◆畏敬の念
神社と寺では初詣の意味に違いはあるのか。
「(神仏分離令が出される)明治まで神社と先祖を祭るお寺は同時に存在し、
お参りする心情に明確な線引きはなかった。
地方ではまだ、氏神様にお参りした後、ご先祖さまにお参りする所もある」
こう話すのは、宗派を超えて電話相談などを行っている「仏教情報センター」(文京区)
の理事長を務める正光院(港区)の高橋隆岱(りゅうたい)住職だ。
仏教でも本来は菩提(ぼだい)寺にお参りし、先祖に新年のあいさつをした。
しかし、地方から大都市に移り住んでそれができない人もいる。
高橋住職は「日本人の『拝みたい』という心情は畏敬の念の表れであり、
初詣として残っていることに意味がある。その心情を大切にしてもらいたい」と話している。
■鉄道網の延伸で明治中期に成立
「初詣は明治18年に初めて新聞に登場した」と話すのは、九州産業大講師の平山昇さんだ。
著書『鉄道が変えた社寺参詣』(交通新聞社新書)では、初詣が鉄道網の郊外への延伸につれて明治中期に成立した、新しい行事であることを解き明かしている。
特に複数路線でアクセスできる寺社の場合、鉄道会社の参詣客争奪戦で時間短縮や宣伝が行われ、
とりわけ運賃割引がマーケットを拡大。
さらに、大正9年の明治神宮創建により、初詣は「圧倒的にメジャーな正月の行事」となった。
争奪戦の対象は、第一次世界大戦後の重工業化に伴い地方から大都市近郊に移り住んだ人々で、
通勤や買い物など日常的に鉄道を利用したという。
平山さんは「江戸っ子のように年中行事をしない新中間層のサラリーマンも、
年1回ぐらいは家族の絆を確かめ合いたかった。
氏子や檀家(だんか)でなくても気兼ねなく参拝できる大きな寺社への初詣が、
新中間層の寂しさをすくい取った」と分析している。
元日混むから3日以降でいいや
私だ
正月行事の一つ、「初詣」。
かつては氏神様や先祖への新年のあいさつだったが、
近代化とともに大都市近郊の有名な寺社が参拝者の人気を集めるようになった。
今も昔も変わらないのは家族の無事を願う気持ちのようだ。(寺田理恵)
◆家族に幸福を
初詣は、新しい年を迎えてから初めて神社や寺院などに参拝する行事。
一年の感謝をささげ、「今年もよろしくお願いします」と新年のあいさつをする。
初詣に人気の「明治神宮」(東京都)、「成田山新勝寺」(千葉県)、
「伏見稲荷大社」(京都府)など有名な寺社は毎年、境内を埋め尽くすほど多くの参拝者でにぎわう。
初詣客を運ぶため、各鉄道会社は大みそかから元旦にかけて終夜運転を実施する。
こうした初詣が行われるようになったのは交通網が発達してからだ。
全国約8万社の神社を包括する組織「神社本庁」(東京都渋谷区)によると、
神道では住んでいる地域の神様である氏神様にお参りするのが基本となる。
初詣は氏神様への新年のあいさつ。
地縁による結びつきの薄くなった現代では氏神様を知らない人も少なくないが、
古くから住んでいる人に聞くか、都道府県ごとの神社庁に問い合わせれば教えてもらえる。
年末から正月にかけての行事が年神様を祭るものだということも意識されなくなった。
年神様は年の初めに家を訪れ、家族に幸福を授ける。門松やしめ飾りは清浄な場所を示し、
年神様を迎える目印。お供えの鏡餅には年神様が宿る。
神社本庁総合研究所の浅山雅司研究課長は「お正月はまず、年神様を家にお迎えする。
お正月には全てが改まり、新たなものが宿る」と説明する。
◆畏敬の念
神社と寺では初詣の意味に違いはあるのか。
「(神仏分離令が出される)明治まで神社と先祖を祭るお寺は同時に存在し、
お参りする心情に明確な線引きはなかった。
地方ではまだ、氏神様にお参りした後、ご先祖さまにお参りする所もある」
こう話すのは、宗派を超えて電話相談などを行っている「仏教情報センター」(文京区)
の理事長を務める正光院(港区)の高橋隆岱(りゅうたい)住職だ。
仏教でも本来は菩提(ぼだい)寺にお参りし、先祖に新年のあいさつをした。
しかし、地方から大都市に移り住んでそれができない人もいる。
高橋住職は「日本人の『拝みたい』という心情は畏敬の念の表れであり、
初詣として残っていることに意味がある。その心情を大切にしてもらいたい」と話している。
■鉄道網の延伸で明治中期に成立
「初詣は明治18年に初めて新聞に登場した」と話すのは、九州産業大講師の平山昇さんだ。
著書『鉄道が変えた社寺参詣』(交通新聞社新書)では、初詣が鉄道網の郊外への延伸につれて明治中期に成立した、新しい行事であることを解き明かしている。
特に複数路線でアクセスできる寺社の場合、鉄道会社の参詣客争奪戦で時間短縮や宣伝が行われ、
とりわけ運賃割引がマーケットを拡大。
さらに、大正9年の明治神宮創建により、初詣は「圧倒的にメジャーな正月の行事」となった。
争奪戦の対象は、第一次世界大戦後の重工業化に伴い地方から大都市近郊に移り住んだ人々で、
通勤や買い物など日常的に鉄道を利用したという。
平山さんは「江戸っ子のように年中行事をしない新中間層のサラリーマンも、
年1回ぐらいは家族の絆を確かめ合いたかった。
氏子や檀家(だんか)でなくても気兼ねなく参拝できる大きな寺社への初詣が、
新中間層の寂しさをすくい取った」と分析している。
元日混むから3日以降でいいや
鉄道が変えた社寺参詣―初詣は鉄道とともに生まれ育った (交通新聞社新書) | |
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