事務所の近所の酒屋さんから、いい話を聞きました。
南アフリカ産のワインの話です。
アパルトヘイトの時代には
ブドウ農園で働く黒人労働者達は賃金をもらう代わりに
ワインをもらう習慣(ドップシステム)があったそうです!
そんな中、一人の白人オーナーが黒人労働者と
当時としては画期的な2つの約束をしました。
一つは「ドップシステム」を廃止すること。
もう一つは「みんなで作ったワインが地域の品評会で賞を取ったら、
何かプレゼントをあげよう」という約束です。
彼らの努力が実りその約束の数年後、
1994年から3年連続で見事品評会で金賞を受賞しました。
オーナーのネルソン氏は約束通り、プレゼントとして
黒人労働者16人に9ヘクタールのブドウ畑を与え
労働者達は「New Beginnings」という協同組合をつくり
自分たちのオリジナルワインを作り始めました。
ネルソン氏は醸造設備を無償で貸し、
醸造家による無償の技術指導もしたそうです。
そして翌年
南アフリカ史上初の黒人生産ワインが誕生しました。
ラベルにはその黒人達の最長老スキッパー兄弟の
肩を組んだ笑顔の写真が使われています。
さっそくその「シュナン・ブラン」という白ワインを買ってきました。
柑橘系のさわやかな口当たりのワインです。
「南アフリカ黒人の経済的自立応援商品」と書いてあります。
こんないい話が聞けて、しかもワインを買うことで
少しでもその人達の経済的自立のお手伝いができるなら
ワインを買う甲斐もあるというものです。
New Beginningsのワインは
単に労働者達にとっての「新しい始まり」ではなく、
白人と黒人が協力することで生まれた
「新生南アフリカを象徴するワイン」として国内外で注目を集めたそうです。
ワインには「彼らが自らの力で勝ち取った
「希望」と「自由」がいっぱい詰まったワインをお楽しみ下さい」
という一言も添えられています。