ミーハーおかんの甘辛雑記

主に芝居、映画、TV、雑誌の感想で、
それも気に入りの方中心です。

映画「風が強く吹いている」

2009-11-08 23:35:44 | 映画
公開1週間で、ようやく観られました。

本当は、初日の午後に行くつもりだったのですが、午前の用事が長引いて

・・・って、別にどうでもいい話だ・・・


舞台も観たし、原作も読んでいるので、

「映画」として、どこに主軸を持ってきて、どう仕上げるのか、

エキストラにも参加したことでもあり、気になっていました。



結果


本当に「走る」ということに主軸を置いた映画になっていました。


原作は、アオタケの個々人の内情などを割と丁寧に描いていて、

その中で、周囲の人たち(商店街の人たちとか、それぞれの家族とか)もたくさん出てくるし、

ヒールとしての雑誌記者とかもいるし、

人間関係での成長、ってのも一つのテーマになっているように感じましたが、

映画ではその辺は、結構バッサリ。

アオタケの中での人間関係とか、最小限の家庭の事情は話に出てきましたけど、

本当に「箱根駅伝を目指す」ってとこを描いているな、と感じました。

その中で、漫画の山に暮らす王子は、結構特別扱い?
・・・って、そりゃそうようね。映画の中では「唯一の問題児」ポジションだものね。

で、「走る」がメインなので、ほんっとーに「地味」(笑)。

いや、人の躍動感とか、すっごく出ていて、

映画の中のセリフ(原作にもあり)じゃないけど、

「人が走る姿がこんなにきれいだなんて」って感じなんですけど、

もう、宣伝も含め、ね。

昨今の風潮だと、これだけの面子で10人揃えたら、

「メイキングDVD」だの「フォトブック」だの「仲良し取材」「イベント」とかやるのが多いのに、

真面目に「駅伝の映画」になっています。

グッズもないんだもん。

これなら、舞台のグッズ買っておけばよかったわ。


でもまあ、劇場に20人くらい?(ほとんどが二人連れとか)居たけど、

若い人から年配の夫婦までいて、

その年配のご夫婦の旦那さんの方が

「こういう映画がいいよなぁ」と

しみじみ言われていたのが、本当にうれしかったです。


誰もぐれないし、暴力も出てこないし(掴みあいのシーンはありますけど)、

ほんっとーに「地味」な展開の映画ですが、

観て損はない映画だと思います。




シーン的には、

優一と五十嵐くんが芝居で絡むのは、実質初めてなので、その点は注目でしたが、

一番じわっっときたのは、神童=あっちゃんのシーンでしたね。

風邪でフラフラになりながらも、箱根の昇りを走りきった神童。
・・・ここでウルッってきちゃった。

寝床の神童に、「目が覚めたら電話することになっているから」と実家に電話をかけるハイジ。

・・・ここ、確か原作にはないシーンじゃ・・・?

実家と連絡を取るのを嫌がる神童ってのも、
原作では王子のルームランナー購入計画に実家から取り寄せようとするとか、
結構実家と仲良しだった記憶なので、意外でした。

でも、実際「神童」とか呼ばれちゃって、家族だけじゃなく、周囲(おそらく村全体)の期待を背負っちゃった神童(杉村くんですが)にしてみれば、
「寛政大学」なんて、よくわかんない(田舎の人にとっては)大学に入った時点で「期待外れ」な結果だったと悩んでいそうだし、
そういう点で、今回の結果も、悔やむばかりだったろうし、

で、実際、母親と話してみれば、「期待」よりも「無事」を願う姿があって。
・・・ここは、自分が一応「親」なので、それも重なって、

とにかくウルウルきちゃったところです。


実は原作では、次のユキの場面でウルウルしちゃったんですが、
神童と母親との間柄を描いたせいか、
ユキと母親との関係性は、あっさりと台詞だけで終わっちゃいました。

確かに、二人母親ネタだときついかな?

そういえば、ユキが走り終わった時点で「惜しい!あと2秒」って台詞がありましたが、
あれは確か「区間賞」が狙える速度だった、って話からきていたんだよね。
でも、そのフリがなかったような・・・

キングのシーンも、もう少しほしかったな。

原作では、「遊行寺の坂」について、ハイジがクイズを出すんだけど、それがクイズ好きのキングのペースメークに役だって、あの坂を乗り切った、ってことになってたから、そこは欲しかった。


笑っちゃったのは、なんか、カケルがハナちゃんを好き?な設定になってたこと。

区間賞、本当はハナちゃん関係なく取るつもりだったんだろうけど(それは、カケルにとって、藤岡が大きなライバルであったからなんだけど、映画だけでは分かりにくかったよね)、
ジョージ(?ジョータ??)のせいで、まるでハナちゃんのために区間賞取るかのようになってしまってたのがね。

そこまで恋愛体質な双子も笑うけど(これは原作通りと言えば原作通り)


それと、王子のトレーニングも笑ったシーンが。

ハイジが各人に合わせたトレーニングメニューを考えて、それに従ってジョグしなきゃいけないのに、
坂の入り口で、まわれ右しちゃう王子が・・・もうね・・・きっとこれまで「毎朝5km走る」なんてのは、完全無視してたんだろうし。
#たぶん、ハイジもそこまで厳密じゃなかったと思うし
(毎朝5km走るというのは、映画の設定。原作はもうちょっとぐーたらなみんなでした)

その王子が、自発的に坂を上るメニューを実行するようになっていって、予選会では、最後尾ではなく、おそらく中盤くらいでゴールできるようになった、ってのはすごいな、という伏線でしたね。

ちなみに、ルームランナーに関して、原作のハイジは使用禁止しています。
長距離の走りにはよくない、ということで。


ハイジのゴールに関しては、ちょっとしつこかったかな、と思わなくもないけど、
原作のように「カケル以外誰も気づかなかった」ってのも、スーパーボーイすぎる(ハイジが、ね)気がするので、
「分かりやすく」するためには、ああなっちゃうのかな?


とまあ、こんなところかな。


前売り券がまだ1枚あるので、もう一度は観に行こうと思います。

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