尾崎 慎 の 彫刻ライフ

石彫刻家尾崎慎の作品の紹介や、展覧会情報、これまでに起こってきたエピソードや日記など様々な事を綴って行きます。

歯車が合わない。

2011-08-02 21:55:40 | 日記
数日後に個展を控えているというのに、とんでもない失敗をしてしまった。

個展前と言うのは何時もの事なのだが、気持ちが高揚する。その状況の中で、自分を押し出す事が専攻してしまうのだ。

ここ数日、ある人からのメールの返信を待っていたのだが一向に来なく、自分でもちょっと強引さが原因だったかもと思いつつ、そんな自分にいらつき仕事をしていた。

今回の石の仕事は十数点の出品なのだが、昨日もう仕上げに取り掛かろうと、台座を作っていた。
出品予定の作品を並べ、ほんの少し油断した瞬間、その中の作品2個が倒れ、肝心要の首がコロコロと2個共転がってしまった。
この作品を作るのに3週間以上も費やしたというのに、その一つは半年以上手を入れる事が出来ず、ようやく自分の中で形に出来る事が出来た作品。一瞬の出来事で頭の中が真っ白。

とても均整の取れた良い作品だと思っていただけに、膝がガクガクと崩れ落ち、この個展の行方を考えていた。

ここ数日僕がしていた事を反省していた。

自分が引き起こした事ゆえに誰を攻める事も出来ず、ただただ自分自身を責めた。

この作品に対して申し訳ないし、メール相手の事も気遣えなかった自分。

どうも僕は一つの事が気になってしまうと、熱くなってしまう癖が有るようだ。
時にはその熱さを買われる事も有るし、それで掴んで来た事も多く有る。
しかし、今回はその歯車が狂い、一つ狂い始めると、ガタガタと酷い音を立てながら、壊れてしまう。
こうなったら修正に入らなければならない。

まず目の前の置かれた状況。
作品とはきっぱりとお別れし、気持ちを整理する。石という素材だけに修正が効かない。

そしてそのメール相手には、これ以上の事はしないでおこうと思う。



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2 コメント

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Unknown (三喜)
2011-08-03 22:06:17
こんばんは。ご無沙汰しています。

歯車が合わないことってありますね。
一つのことが気になると、
目の前のこと全てが
手に付かず心ここにあらず…。
人の気持ちも思いやれなかったり。
長い人生ですから幾度となくこういう時期ってあると思うのです。
大切な作品がダメになってしまったこと、
ご本人にしか分からない
苦しい出来事だと思います。
作品が壊れたこともだけれど、
その時の自分の心の在り様が悔やまれて苦しく、
やるせないんですよね。

こういう時、誰かや何かのせいにしないで
ぐっとこらえて自分を見つめ直せる
オッケ先生は強い方だと思います。
耐えてればすっと楽になる、
様々なことがすんなりと上手くいく時がまた
巡ってくるし、新しい作品の芽生えや、
美しいものを発見するきっかけになったりもします。
どうか、いつもの優しい時間がオッケ先生に訪れますよう。

祈っています。

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救われました。 (尾崎慎)
2011-08-04 00:55:05
三喜さん。
何だかとっても救われた気持ちになりました。
きっと三喜さんもこんな時を乗り越えて来たからこそ、この言葉が出て来たんだろうと思います。
人生楽ありゃ苦も有るさ。ですね。
苦しい時こそ立ち向かわなければ前に進む事が出来ない。
雨の後の晴れ間に出る虹の喜びを忘れないでいようと思います。
どうも有り難う。
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