マイ・Joon・メモリーズ

🌸いつも心にはヨンジュンさん🌸

もうひとつの冬のソナタ⑪

2009-04-22 18:19:59 | 冬のソナタ

 

 

 もうひとつの初恋、そして和解②


 結婚式のために春川の実家に戻ったチュンサンは 久しぶりにピアノの前に座った。


鍵盤は見えなかったが、チュンサンの手はまだすべてのメロディーを記憶していた。

チュンサンはユジンに初めてピアノを演奏してみせた高校時代を思い起こした。

あの頃はまだ自分がユジンを好きだということを自覚できていなかった。

だからサンヒョクに見せ付けるようにユジンを誘って授業をさぼったのだ。

あの日、湖のほとりでユジンと親しくなれたのはいい思い出だが、
サンヒョクのことを考えると何となくすまない気もする。


いずれにせよ サンヒョクとは血を分けた兄弟だ。

もっと温かく接するべきだった。

どうしてあの時 もっとサンヒョクと親しくしようとしなかったのだろうか。


チュンサンは ピアノを弾くのをしばらくやめ、サンヒョクとの思い出に浸った。


 どこかで人の気配がした。

 「どなたですか?」

 「チュンサン・・・・・」

 聞きなれた声にハッとしたチュンサンの表情に笑顔が広がった。

 「サンヒョクか?」

 「ドアが開いていたから入ったよ。突然来て驚いただろ」

 「そんなことないよ。 よく来た、本当によく来てくれた」

 チュンサンは うれしそうにサンヒョクの声のするほうに向って手を差し出したが、方向があっていなかった。

そんなチュンサンの姿を見てサンヒョクは胸が痛んだ。

本当に何も見えないんだな。

握手しようと手探りしているチュンサンの手をサンヒョクはしっかりと握りしめた。

自分の手をしっかりと握り返してくれるチュンサンの笑顔が父の笑顔と とても似ている気がしてさらに胸が痛んだ。


サンヒョクは やるせない思いを隠しながら努めて明るい口調で尋ねた。

 「結婚式の準備で忙しいだろう。僕に手伝えることがあれば何でも言ってくれ」

 「結婚式の手伝いはいいから、コーヒーを沸かすのでも手伝ってくれるか」

 チュンサンは笑いながら立ち上がった。

 サンヒョクが淡々と言った。

 「遠慮せず何でも言ってくれ。何でも手伝いたいというのは僕の本心だから」

チュンサンは サンヒョクの表情を見ることはできないが、彼のその言葉が本心であるということは推測できた。

そして、たとえ小さな用事でもサンヒョクに頼むのが むしろ彼の心を楽にするということも理解できた。

チュンサンはサンヒョクのほうを振り返りながら さわやかに笑ってみせた。

 「手伝いが必要になったらいつでも言うよ」


温かいコーヒーカップを前にして座ったチュンサンとサンヒョクは、しばらく黙ってコーヒーを飲んでいた。

思い起こせば、こうやってふたりでゆっくりとコーヒーを飲むのは初めてだった。

高校の時から 今までふたりは競争し合ってばかりで衝突するしかなかった。

チュンサンは、サンヒョクと兄弟にも友達にもなれなかった高校時代がとても残念に思えた。


チュンサンがそんな思いにふけっていると、サンヒョクが何かをチュンサンに差し出した。

 「これ・・・・・何?」

 「結婚祝いのプレゼント」

 「結婚祝い?」

 チュンサンは不思議そうに触ってみた。写真の額縁のようだ。

 「チュンサンが以前ユジンと一緒に撮った写真だよ」


チュンサンは、ぼんやりとサンヒョクを見つめた。サンヒョクは笑いながら言葉を続けた。


 「昔・・・・・、この写真をユジンが見ることのないように捨ててくれって僕に頼んだじゃないか。
  ユジンに自分を思い出させるようなものは残したくないって。
  でも僕はとても捨てられなかった。
  チュンサンとユジンがこうしてまた幸せになれるということを 僕はわかっていたようだ。
  今まで 僕は何回もこの写真を引っ張り出して見たよ。
  君たちふたりが僕の元を去って、ひとりぼっちになった時さ・・・・・。

  この写真を見ながら 君たちに腹が立ったし、恨みもした。
  写真の中のふたりは幸せそうだった。
  ふたりが幸せだったころを盗み見しているような気分だった。

  ・・・・・・・そうやって僕は ユジンを心の中から消すことができたんだ」


 「サンヒョク・・・・・」


 「もう持ち主に返さなくちゃ。君が持っててくれ。君は目が見えないけど・・・・。
  この写真のユジン、すごくきれいだよ。
  それから、君たちふたり、とてもお似合いだ」


チュンサンは震える手で写真をなでた。

写真の中のユジンを見ることはできないが、あの時ユジンが本当にきれいだったことをはっきりと憶えている。


 「ありがとう、サンヒョク。本当にありがとう」

 「礼なんて言わなくていいさ」
 サンヒョクが温かい目でチュンサンを見ながら言った。
 「友達なんだから・・・・・・」

 「そうだな。友達だものな」

 「そうだとも。友達だよ」


チュンサンは サンヒョクが快く自分を友達と認めてくれたことがうれしかった。

そうだ、まだ本当の兄弟になるまでは時間がかかりそうだけど、こうして一歩ずつ近づいていけばいい。

チュンサンがそんな思いにかられている時、サンヒョクがまた口を開いた。


 「それからさ、もうひとつ結婚祝いがあるんだ」

 「何だい?」

 「そんなたいしたものじゃなくて、ささやかなものなんだけど・・・・・」

サンヒョクはすぐに答えずに言いよどんだ。

チュンサンは 不思議そうな表情で答えを待っていた。


サンヒョクはしばらく躊躇したあと チュンサンのほうにゆっくり近づき、彼を抱きしめた。

一瞬ビクッと驚くチュンサンにサンヒョクは 小さな声でささやいた。



「結婚、おめでとう。兄さん」



チュンサンの目に涙が浮かんだ。

これよりうれしいプレゼントは ないように思えた。


(つづく)





        










 

冬ソナフォトより


















 










 


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4 コメント

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和解 (サリー)
2009-04-22 21:03:56
こんばんわ。サンヒョクの「結婚おめでとう、兄さん」にチュンサンは、どんなに嬉しかったでしょうね。これからは、本当の兄弟として付き合って行けますね。コスモポリタンのメーキングフォトを見て娘に購入を頼んだら(完売)のメールがきました。改めてヨンジュンさんの人気にびっくりです〓増版されるかしら
返信する
サリーさんへ (さやか)
2009-04-23 10:21:43
おはようです

サリーさん
チュンサン、本当にサンヒョクの言葉、
嬉しかったでしょうね
きっと今頃は、兄弟として仲良くお付き合いしているのでしょうね!
あと、サンヒョクが2人で写真屋さんで撮った写真を捨てていなかったことが凄く嬉しくて感動しました
私は、これを読んでサンヒョクを見直したのでした
「コスモポリタン」bofiのサイトを見ましたら「完売」になっていましたね!
韓国の方でも、初版は売り切れてしまったそうで
さすがヨンジュンさんですね
サリーさんは残念でしたが
また<増版>されることを祈りましょう
また、メイキングと違って実際には、
雑誌の中のヨンジュンさん掲載分がBOF掲載分の22P中
どのくらいあるかわかりませんので、
見てみないと何とも言えないですよね。
私の手元には、もしかしたら今週中?に届くかもしれませんので
届いたら、こちらでどんな内容だったかはご報告はしますね!
ただ、私の場合も日本語略がついていないので、
記事の内容までは読めないんですけどね
返信する
もうひとつの~ (canon)
2009-04-23 19:42:27
こんばんは~ご無沙汰でっす やっとPCタイム
チュンサン&サンヒョク、お互い兄弟と和解され
微笑ましいシーンですね
ユジンとの写真が戻ってくるとは思わなかったでしょうね~チュンサン 
サンヒョクの優しさに驚いちゃった
見えなくても大事な思い出だもんね
二人を撮ってくれた写真館店主、イ・ハヌイさん
「パパ」「若者のひなた」「初恋」「復活」・・・たくさん出てましたぁ~
以前からヨンジュンさんとつながりあったすね
二人のお写真、ユジンあと少しでポロリよ~~
サンヒョクからのお祝い
「結婚、おめでとう。兄さん」 嬉しい言葉ね
また、つづきが気になるわ~~~ありがとう
返信する
canonさんへ (さやか)
2009-04-24 11:21:22
こんにちわ~

canonさん、お忙しかったようですが落ち着かれましたか?
やっとPCタイムを持たれたんですね
>写真
本当に思いがけないプレゼントでしたね
仰るように目は見えなくてもチュンサン
とても嬉しかったでしょうね
「冬ソナ」の本編では、途中からサンヒョクが物凄く嫌なやつだな~と思いながら見ていたのですが、
これを読んで、サンヒョクっていい所あるじゃんって
見直したり、この2人の和解(兄弟として打ち解けるシーン)は、微笑ましくて嬉しかったですね
写真のウルウルユジンもとっても幸せそうでね
ところで、あの写真屋さんはイ・ハヌイさんってお名前なんですね!
確かにちょこちょこの出演でしたが「あ!あの人だ!」って、
私もいつも思っていました
ちら見しかしていないのですが、「春のワルツ」にも出演されていらっしゃいましたよね
そちらでは、結構重要なキャストだったのかな?
サンヒョクからのお祝いの言葉嬉しかったでしょうね
あと2回で感動のラストになると思います。
canonさん、こちらこそ いつもありがとう~~~
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