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伝えるネットねこレポート

「水俣」を子どもたちに伝えるネットワークのブログ。
首都圏窓口の田嶋いづみ(相模原市在住)が担当してます。

アツタ先生は伝えるネットのサポーター

2013-03-17 14:21:16 | 出前レポート
午前、午後の2回の出前
アツタ先生とのおしゃべり付き


2013年3月8日3,4時限3クラス 5,6時限2クラス
相模原市立清新小学校5クラス 
行ったひと:田嶋いづみ




こんなふうに出前は始まります。写真を一周してみてもらって着席。
同行してくれる予定だったリョウコちゃんが風邪でダウン。
なので出前の記録写真が撮れませんでした。。。



子どもたちとの毎日を頑張っている先生たち

アツタ先生は、大野北小学校への出前機会を作り出してくださった先生です。
どんなふうになっているのか、教育のことや学校のことに疎いのでわからないのですが、大野北小は、以後、カリキュラムに組み込んでくださって、毎年子どもたちに伝える機会をつくっていただいていて、それは、私たちにとって、とてもありがたいことなのです。

それだけでなく、アツタ先生は、その後の異動先の小学校でも5年生の先生方に伝えるネットを紹介してくださり、また、そのアドバイスもしてくださるのです。
そんなわけで、今年もアツタ先生のおかげで清新の子どもたちと出会うことができました。

毎日、子どもたちと向き合って頑張っておいでになるな、と感じるのは、そのアツタ先生と担任の先生方とのやりとりを見ているときです。
子どもたちの今と向き合って、子どもたちの心情を汲みながら、先生が何ができるのかを考えている、そんなことが伝わってきます。
そういう先生方の営みのなかに、伝える活動があるのだ、ということを見つめなおす大切な機会となりました。


午前中の子どもたち、午後の子どもたち、みんな違ってみんないい

とにかく専門家じゃないし、1日に2回の出前は、それなりに緊張だし、大変です。
そんな気持ちをわかってくださって、「アツタ先生とゆっくり給食を食べてください」と、特別扱いをしてもらっちゃいました。

アツタ先生と世間話から、いろいろとお話させてもらってとっても気分転換になりました。
「こんなに疲れるのに、先生は、よく1日授業できますねぇ、すごいです」ともらしたら、アツタ先生、「あんなにしゃべりつづけることは、ありませんよ」と笑いました。
投げかけて、休止、投げかけて、子どもたちの反応を待つ、みたいにするから、しゃべりつづけで終わる、ということは、ないのだ、と。

それは、日ごろ、もっと言い募るのではなくて、子どもたちと対話しながら伝えたい、と思いながら、ついついしゃべり過ぎてしまう私には、耳に痛い指摘でもあります。
ときに「あれだけ熱を込めて語られれば、子どもたちにひびく」と言ってくださる方もありますが、私自身は恥ずかしいと思っています。自分の稚拙さが恥ずかしい・・・。
でも、一方で、教育者でもない私が、上手に授業やろう、と思うこともまた不遜に思えるのです。

それでも、午前中の子どもたちのなかで涙を流していた少女とか、やんちゃな少年とか記憶に刻まれる子どもたちの表情があります。
午後の子どもたちは、あんまり良い子で聞いてくれたのをいいことに、2回目はやっぱり疲れてしまっていたので、時間を見ながら伝える、ということに神経を使い切れず、少し延長してしまいました。
言い逃れになっちゃうけど、話しながらも見えてくる子どもたちの表情のひとつひとつに、話していることの内容の検証を受けているし、まるで対話しているかのように気づいてくることが確かにあるのです。

たとえば―――。
今年の活動のなかで強く感じ返していること。
水俣病患者が教えてくれている家族の絆や、前向きに生きる姿が、なぜ「希望」になっていくのか、わかってきたような気がしています。
「希望」は、どこかにポンと置かれているようなものではなく(水俣病患者がポンと置いてくれたものじゃなく)、私たちが生きていく営為のなか、子どもたちのいのちそのものにあるんだ、って。
「水俣」の学びのなかで、「いのちの位置」を確かめ、「いのちの歴史」のなかにあることに立ち返っていくなら、私たちの、子どもたちのいのちそのものが「希望」なんだよな、って。

まぎれもなく、子どもたちと対面し、その表情を刻むなかで、そう実感してきています。

こころ・ときめきスクール その3

2013-03-15 18:00:00 | 出前レポート
子どもたちの質問にわくわくした出前

2013年3月5日10:40~12:15 
座間市立旭小学校5年生3クラス
行ったひと:山本裕子、室谷啓子、田嶋いづみ





  相模が丘小から拡がった出前

座間市の小学校としては、今期、3校目への出前となりました。
実は、その前の立野台小学校とこの旭小学校は、相模が丘の先生から私たちのことを聞いて、まったく同じ日の同じ時刻に、出前依頼のお電話をくださったのです。
日程をあれこれ調整して、こんな順番でお邪魔することになりました。

でもね、やはり「こころ・ときめきスクール」を座間市教育委員会が取り組んでいてくれているおかげで、知ってすぐ依頼、というフットワークを実現できるのだと思います。
とてもありがたいことです。
私たちにとっては、子どもたちの出会いがいただけるかどうかが伝えることの実現になるのですから。


  差別する側が変わっていくために

3月2日に環境主催の水俣病セミナーに参加して、水俣病差別というテーマについて考えたせいでしょうか。
セミナーのなかで、水俣の子どもたちが修学旅行先で、いまもなお、「水俣病がうつるからあっちへ行け」と言われるということがある、と聞いたせいかもしれません。
この日は、とくに、差別やイジメについて、その克服のためは学び、知ることがとても大切、ということを伝えるのに力が入ってしまったような気がします。

なので、例のごとく、時間ギリギリまで使ってしまいました。
残り5分というところで、子どもたちの質問を受け付けました。子どもたちは、おずおずと、やがて次々と手を挙げてくれます。

少年が「水俣病はセキなんかでうつるのですか?」と聞いてくれました。

私、すごく嬉しかったです、その質問。
その質問から、決してうつらないこと、うつらないことを知らないことで、どんなにそう思われているひとたちを傷つけるか、そんなふうに語りかけることができたからです。
「うつらないって知ってたら、水俣から来た子どもたちに、うつるからあっちに行け、なんて言えないよね。言わないよね」と語りかけえると、みんなが大きく頷いてくれました。

「私たちはどうしたらいいでしょう?」と、真剣な瞳で訊ねた少女には、谷口小の子どもたちの感想の中にあった言葉を紹介しました。
「忘れない」って。
少女は大きく頷いてくれました。

給食の準備に食い込んでしまったでしょうに、子どもたちは、それでも、離れがたく近づいてきてくれました。
「地球上の水銀を何とかしなきゃ、ね」と言うと、担任の先生が「放射能もそうだな」と応えてくれたのもうれしかったです。

そうです。
もっと、もっと、子どもたちとのやりとりを大切にする出前にしなきゃ。
改めてそう思いました。

安川さんの手引きで津久井の小学校への出前、2校目

2013-03-13 18:20:25 | 出前レポート
子どもたちといっしょに給食をいただいてリフレッシュ

2013年3月1日10:40~12:15 
相模原市立串川小学校5年生2クラス
行ったひと:安川源通(NPO法人里山津久井をまもる会)、田嶋いづみ



 6年生の子どもたちに5分間の出前つき

根小屋小学校につづき、津久井バージョンの出前となりました。
もともと<里山津久井をまもる会>の安川さんのお友だちの中島先生が串川小学校で5年生を担任されているというところから「水俣」の出前の話が始まり、根小屋小学校でも、安川さんの津久井の環境のお話とつなげてできないかということになったので、串川小の方が先にお誘いがあったのです。

会場は、3階。周りが6年生の教室ということもあって、写真パネルのセッティングを終えたころにちょうど2時限と3時限のお休み時間になって、パラパラと6年生の子どもたちがのぞきに来ました。
写真パネルを見て、「この写真きもちわり~」とか「この手、どうなってんだ~」とかワイワイやっています。串川小の子どもたちは人懐っこいようです。

で、つい、オバサンぶりを発揮。
6年生の子どもたち5人ばかり、大型TVの前にイスを並べてもらって、水俣病患者さんの話、智子さんの話などをさせてもらいました。
「水俣病って、知ってるよ」という6年生との会話がはずんで、短いけれど、珠玉の時間となりました。
その子どもたち、たぶん、写真パネルの搬出を手伝ってくれたと思います。
出会いはささやかだけど、こういうことが学校という空間の可能性のように思えました。


 「ジンケン?」の学びとなったかな

そして、5年生が教室に集まってきてくれて、本番開始です。
この日は、のどの具合が余りよくなくて、子どもたちには聞きづらかったのではないかと思います。
ごめんなさい。



でも、この日は、安川さんがいてくれました。
「水俣」が「いま」「ここ」のことなら、私たちは、「ここ」の「いま」をちゃんと知らなければなりません――という言葉で、安川さんに津久井の環境について語っていただきました。

安川さんは、私たちとの出会いの回想をまじえながら、昆虫写真家として撮った写真を指しながら、昆虫と人の関わり、いのちのつながりにいて話してくださいました。

 

締めくくりに中島先生が、「今日のお話には、いろいろなことが含まれていたね」と、子どもたちに投げかけると、子どもたちから「人権?」という声が挙がりました。
子どもたちが、そう受け止めてくれたのなら、こんなに嬉しいことはないと思いました。


 いっしょに給食をいただいて元気をもらう

この日、片付けは後回しにして、そのまま子どもたちといっしょに給食をいただきました。
子どもたちとテーブルを向かい合わせていただいて、アレコレと会話を楽しみました。
そんなひとときは、本当に励みになります。
子どもたちが元気をくれます。

 



その後、中島先生から感想のメールが安川さんのところに届きました。

今日はお忙しい中、ありがとうございました。
大した謝礼もできず、申し訳ありません。
私としては、また安川さんと一緒に仕事ができたことが、とても嬉しかったです。
立場をわきまえず、子どもたちの前で、「友だち」と言ってしまってすいませんでした。
でも、私にとっては自分の教室に昔の友だちを招待した感じがして、つい言ってしまいました。

放課後、校長が、今日の講演は素晴らしかったと言ってました。
特に、安川さんの昆虫の写真が、田嶋さんの話から環境を考えさせることに繋がっていたことが良かったと言ってました。
田嶋さんのプレゼンのストーリーも絶賛してました。
時間があれば、校長室で話をしたかったですね。
保護者にも見ていただきたかったです。

田島さんの話し方、写真も本当に素晴らしく、熱意が伝わってきて、私もショックを受けました。
写真や動画を見て胸が熱くなりました。
子どもたちもあの写真や動画を見て感じないわけがないと思います。
あっという間の2時間でした。

教育課程がボリューム満点でこなすことだけに頭が行きがちな自分が恥ずかしくなってきました。
また、面白いこと、楽しいことを考えたいと思います。



ささやかな発意で活動をつづけていますが、ときに、心が萎えることもあります。
安川さんとごいっしょだったので、つい、弱音も吐いていました。

でも、過分な言葉をいただいて、本当に嬉しかったです。
串川小に出前できて、良かった・・・ありがとうございました。

14回目なのか15回目なのかわからなくなっちゃった!

2013-03-12 18:07:32 | 出前レポート
伝えるネット立ち上げのきっかけとなった小学校への出前

2013年2月27日13:45~14:30 
相模原市立南大野小学校5年生3クラス
行ったひと:藤井涼子、田嶋いづみ



いつもの約半分の出前

2月27日、今回で14回目という南大野小学校へ行ってきました。
校内に入ると、ちょうど休み時間ということもあり廊下や階段、フリースペースで元気に走り回る子どもたちがいました。
5年生もわんぱくな子たちなんだろうと思いましたが、違っていました。
教室に入るなり静かに座り、1時間しっかり前を見て話を聞いていました。
今回の授業は45分ということで田嶋さんと試行錯誤して、スライドを何枚か削り、組み立て直しました。
1から作っていくのも大変ですが、出来上がっているものを削っていくという作業も大変なことだと思いました。
いつもの約半分の時間で、伝えたい気持ちが溢れるのを抑え、それでも大切なことをこぼさずに語る田嶋さん。子どもたちに想いが伝わっているといいなと思います。

(藤井涼子)





伝える中身の検証となった45分バージョン

って、リョウコちゃんは、14回目と記していますが、入野小学校へ出前が14回目だとしたら、今年の南大野小学校への出前は15回目になるはずだと気づきました。
いつから、とか、何人に、とか、何回か、とかいうことにこだわりたくなくて、とくに、伝えるネット設立当初は記録もいいかげんでしたから・・・。

でも、今年、南大野小学校への出前は、直前に出前すべきかどうか悩んだ、というだけでなく、かつてない緊張のなかで取り組むことになりました。
先生方から、厳しいカリキュラムのなかでひねり出した45分間だから、「6校時には委員会活動があり、児童・担任とも片付け等お手伝いできないことをご了承ください」と但し書きをいただいていたからです。
もともと水俣病の学習に割ける時間はわずか5分、とも言われました。

どうしても時間内に終わらせなければならない、というプレッシャーで、前日の立野台小学校で「水俣」を伝えるときも、翌日のことに思いを奪われていました。
(それを引き止めてくれたのは、子どもたちの瞳でしたけど・・・)

正直、リョウコちゃんがいなければ、45分バージョンを仕上げられなかったかもしれません。
もちろん45分で行なったことはありますし、人権集会として中学校で全校生徒を相手に20分で伝えたこともあります。
でも、このところ、2時限つづきをいただけるのをいいことにして、その中でのまとめ方に馴れてしまっていたと、改めて思いました。
伝えるネット設立の2000年からの事実を並べても、「終わらない水俣病」は、毎年、事実を重ねて、伝えたいことは増えていくばかりですし・・・。

どこのスライドを抜くか。何を省略して、何を残すか、出前当日の午前中、スライドをいじり、構成し直しました。リョウコちゃんの客観的な判断が大いに助けとなりました。
時間があればこのスライドを入れる、押しているようならこのスライドを抜く、ということまで打合せしました。

これは、しかし、とても大切な経験となりました。
再度、何を伝えたいか、伝えられるのか、検証の機会となったからです。


なぜ、ここの出前にこだわるか


最後のPPスライド1枚を残して終了の時刻となりました。
先生が立ち上がる姿も見えましたので、「あと1枚あるけど、時間がきたのでここでおしまいね」と言ったとき、子どもたちが「見たい!」と声をあげてくれました。
ホントはいけないことだったかもしれないけど、おかげで、子どもたちに、胎児性水俣病患者の坂本しのぶさんが、こう語るのを直に聞いてもらうことができました。
  ――― やっぱり、水俣病は、終わっていない、と。

結局、延長してしまい、本当にごめんなさい。
先生にご迷惑をおかけしました。(映像プロジェクターを忘れて学校のを借りることになったのも、ごめんなさい)


私は、南大野小学校区にくらしています。
校区の子どもたちを、とてもたいせつに思います。
だから、「水俣」は「いま」の「ここ」のことだと思って、校区の子どもたちに伝えたいと思ってきました。
朝に夕に、この街角ですれちがう子どもたちの未来を信じ、守りたいと願うからです。

でも、その勝手な思いは、先生たちを困らせるものだったのかもしれません。

この出前終了後、教務の先生が来年のカリキュラムに「水俣」を伝える時間を入れてくださいました。
15回目だか16回目だかの出前は、2013年12月18日の2時限目に行ないます。

(田嶋 いづみ)

こころ・ときめきスクール その2

2013-03-11 17:02:05 | 出前レポート

ひとりきりの出前は子どもたちの助けがうれしい

2013年2月26日10:45~12:25
座間市立立野台小学校 5年生 3クラス96名
行ったひと:田嶋いづみ


写真パネルを運ぶのを手伝ってくれた子どもたち

出前が立て込んでくると、それぞれの手配がむずかしくなります。
そういうわけで、立野台小学校へは、ひとりきりの出前となりました。

座間市役所近くにある小学校。
会場が3階と聞き、また、一人きりで出かけるので余裕をもって出かけました。
相模原市内の小学校より近いくらいのお隣の市です。余裕をもって到着。
運び込みも運び出しも子どもたちが手を貸してくれました。
とくに片付けのときには、先生の指図があってというのではなく、パラパラと自然に集まってくれて、とてもありがたかったです。



子どもたちには、まず、写真パネルを見てもらいました。


 今年感じる子どもたちの瞳についての一考察

今年、子どもたちと対面していて感じることがあります。
毎年、子どもたちは、先生が驚くほど集中して2時限の話を聞いてくれるのですが、その瞳が「知らないことを知ってまん丸になる瞳」とちょっと違うような気がするのです。

なんていうか、瞳がシンとしている。
大柄な大人びた感じの少年の瞳が、とくに。



この日もそうだったように思います。
ここのところ、「水俣」に学んだよっつのこと、という具合にまとめて伝えるようにしているのですが、「ひとつめ いのちの位置」「ふたつめ いのちの歴史」と話しているときまで、なんとなく斜にかまえていた風情の少年、「みっつめ 社会の一員として学び、知る」というところにきたとき、姿勢が変わりました。

「みっつめ」の説明を終えると写真の前に移動しながら、患者さんたちが見せてくれる家族の絆について話させてもらうのですが、そのあたりから、子どもたち全員の集中がひしひしと伝わってきました。みんながぐっと近づいてくる感じ、って言えばいいのか・・・。
それは、何だろう・・・この感じは何なのだろう・・・と、仲間と話していて、こう思いました。
3.11のこと、原子力発電所のこと、子どもたちもまた、しっかりと受け止めているのではないかと。
大人たちがどうしているか、どうするか、じっくりと見ているのだと。
子どもたちは、とうに、自分たちが当事者になっていると、感じ始めているのではないかしら、と。

それは、当事者の瞳、当事者になるかもしれないという予感の瞳、ではないか、と。




思い過ごしだけではないような、そんな気がするのです。


子どもたちの集中が素晴らしかったことを校長先生にお伝えして、立野台小学校を立ち去りました。



立野台小の子どもたちの書いた感想文集が届きました。
ここに、3篇を紹介させていただきました。
子どもたちの感想には、大人にとっての“気づき”があふれています。