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スラブ軌道-5

2017-08-09 01:00:59 | gallery:省力化軌道

その5ではA型スラブ軌道の試験線と初期型を紹介します。

A型スラブ軌道は現在も改良を重ねながら採用されているスラブ軌道の実質的な標準構造です。

↑全国で見られるA型スラブ軌道。防振型や枠型を含めバリエーションは多岐に渡ります。

この形態になるまでにいくつもの試験線が敷設され、検証結果が反映されていきました。

 

開発当初は勾配や曲線半径等の線路条件により、A-151~A-153形の3種類を使い分ける想定をしていました。実用化が進むにつれて、明かり区間ではA-153(A-55)をベースとした突起有り・タイプレート式に一本化されていきます。

総武快速線中川放水路橋梁の下り線に敷設されているA-151形は半径800m以上、勾配10‰以上の区間向けに開発されたスラブ軌道です。在来線のスラブ軌道としてはえちごトキめき鉄道(旧北陸本線)の浦本トンネルに続いて2番目に古いもので、昭和44年(1969年)12月に敷設された試験線です。

座面式の締結装置が採用されているため軌道スラブの長手方向に溝が掘られています。

ここの締結装置の形状は圧縮スプリングを用いたあまり見かけないものでした。

ちなみに上り線は同じく座面式のL型。異なるスラブ軌道が並ぶ光景も試験施設ならではです。

 

常磐緩行線の綾瀬-亀有間にあるA-151形試験線は昭和45年(1970年)7月に敷設されました。

この区間の架線にはエアセクションが設置されているため迂闊に停車出来ませんね。

後で気が付いたのですが、手前から2番目の軌道スラブはA-161型でした。(下写真矢印)

A-161形は軌道スラブが6mで締結装置は片側に10個配置されています。

単線区間のため前面展望か後面展望でないと線路状態を確認できません。

圧縮されていますが、締結装置は板バネを用いた直結4形という座面式でよく見られる形状。

中川放水路橋梁と同時期の施工ということもあり、その他の変更点は特に無さそうです。

 

スラブ軌道が長距離に渡って敷設されたのは山陽新幹線の岡山-博多間が最初です。

新幹線向けのスラブ軌道は標準軌・60kgレール用のA-51形とA-55形が設定されました。

A-51形はA-151形ベースの座面式でトンネル用、A-55形はA-153形ベースのタイプレート式で明かり区間用として敷設されています。

新大阪-岡山間のスラブ軌道率は僅か5%ですが、その中で姫路駅構内と姫路-西明石間の長坂寺高架橋にはA-51形の防振A形スラブ軌道の試験線が敷設されています。↑長坂寺高架橋、↓姫路通過線

どちらも平板スラブ用の薄型逸脱防止ガードが設置されています。

 

A-51形とA-55形は寒冷地向けに改良を加えられ東北・上越新幹線の80~90%もの区間に適用されています。保守基地にて研修用と思われるA-51形とA-55形の並びを見ることが出来ました。

手前がA-55形、奥がA-51形。座面式のA-51形の方が軌道スラブの厚みがありますね。

A-51形の直結4形締結装置は調整幅が少なく、通りが狂いやすい区間では整備が大変なんだとか

 

武蔵野線の新小平駅と前後区間にはA-152形が昭和48年(1973年)に敷設されました。

A-152形は半径800m以上、勾配10‰以下の線路条件で使用されることを想定した設計です。

スラブ相互間の突起を無くし、底面に設けられた凹みによりスラブの移動を防止しています。

締結装置は座面式の直結4形。上り線には何故か2枚だけA-153形も紛れていました。

余談になりますが新小平駅は1991年の水没事故により新秋津方の軌道が破壊されたため、復旧の際にバラスト軌道へ変更されています。擁壁などに駅構造物が隆起した痕跡が今も残っています。

 

北朝霞駅構内から新座駅にかけてもA-152形が敷設されていました。

武蔵野線は高架区間が多く、スラブ軌道が長距離に渡って敷設されているケースが多いです。

軌道スラブの端部を望む。

締結具が外れている場所がありますが大丈夫なんでしょうかね…

この区間にもA-152形に混ざってA-153形が敷設されています。

もしかしたらA-152形を敷設する際の位置基準にしているのかもしれません。

 

新大阪の新幹線ホーム25・26番線は昭和49年(1974年)12月から共用が開始されました。

突起が無くA-152形の新幹線版(A-52形?)に見えますが、締結装置はタイプレート式の直結8形(直結5形の改良版)のためスラブの上面はフラットです。

開業初期の21~24番線は直結軌道、1985年に増設された20番線はA-55形、2013年に増設された27番線は弾性枕木直結軌道と、施工時期に開きがあるため見事にバラバラなのが面白いです。

 

奈良線の木津~上狛間に架かる木津川橋梁。

橋梁内部をよく見ると一部区間だけスラブ軌道になっていますね。

運転台から近くを撮ってみました。このスラブ軌道はA-143形というここだけでみられる形式。

軌道スラブの長さは4mで座面式の直結4形締結装置が採用されています。(軌道延長48m)

この部分だけわざわざコンクリート路盤を敷いており、中々お金が掛かっているとお見受けします。

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