今回は量産化された枠型スラブ軌道を見ていきたいと思います。
試験線を紹介したスラブ軌道-7も合わせてご覧ください。
1997年に開業した北越急行ほくほく線は本格的に枠型スラブ軌道が採用されました。
もともと国鉄が北越北線として計画した路線のため、1978年の工事実施計画の時点でスラブ軌道の採用が盛り込まれていました。
ほくほく線では一部区間で開床式高架橋が採用されており、なおかつ側壁がないこともあって非常に開放的な高架橋となっています。開床部の軌道スラブには転落防止のグレーチングが設置されています。
十日町駅付近は通常の高架橋。分岐器周辺は合成まくら木直結軌道です。線内ではノーズ可動クロッシングも多数導入されていますが、十日町は制限速度の関係で固定式のようです。
雪対策としてスプリンクラーが設置されています。2015年に特急はくたがが廃止され、通過線は休止線となってしまいました。苔むした路盤コンクリートに時代変化を感じます。
1994年に開業した智頭急行智頭線では智頭-恋山形間の橋梁に枠型スラブ軌道が敷設されています。
初期の施工でよく見られる軌道スラブの番号が確認できますね。
突起間が5mなので、100枚なら500mほどの区間であると分かります。
1999年に開業した井原鉄道井原線
星田川橋梁に50mほどですが枠型スラブ軌道が敷設されています。
愛知環状鉄道は1988年に開業した路線ですが、JR東海の岡多線から引き継いだ区間もあることから国鉄/JRに準じた軌道構造が採用されています。(その7から記事を移行しました。)
2004年の愛知万博輸送に備え複線化された区間は、開業時に突起コンクリートが打設済みであったためスラブ軌道が採用されました。ただ、関西空港線の例のように平板より枠型の方がメリットが大きいため枠型スラブ軌道が採用されたようです。開口部のバラストは騒音対策で散布されています。
トンネル内はレール締結部に凹凸のある見慣れない枠型スラブが敷設されていました。
2011年に開業した函館本線野幌駅の高架区間にも枠型スラブ軌道が敷設されています。
JRの在来線において枠型スラブ軌道が本格的に採用された例は殆どなく、また2010年代の施工とあって珍しい例になります。野幌はスラブ軌道-1でも紹介しましたが、消音バラストの入った袋がみっちり敷かれています。
1992年に開業した山形新幹線の福島アプローチ線は枠型スラブ軌道が採用されています。
日暮里付近の試験線の結果を踏まえ、約600mの区間に敷設されています。
単線なので車内から観察出来ないのが痛手です。
その後、北陸新幹線の高崎-軽井沢間を皮切りに新規開業区間へと波及していきます。
これらの地域では寒冷地仕様の平板スラブと枠型スラブが用意され、明かり区間用とトンネル区間用で締結装置の固定方法が異なる計4種類が基本形式となりました。(一部曲線用もあります。)
東北新幹線の延伸区間では積雪量が少ない八戸付近などで枠型スラブ軌道が採用されています。
90年代以降はパンドロール型締結装置が増えてきたことも特筆できますね。
2004年以降に開業した九州新幹線でも枠型スラブ軌道は本格的に採用されましたが、この頃から四隅にRを付け、内側の開口部に勾配を付けた改良型が登場します。この改良によって軌道スラブ製作時の型枠脱却作業性が向上しており、製作費の低減が実現しました。
さらにスラブ1枚あたりの締結金具の数を片側8個から7個に変更しています。
2022年に開業した西九州新幹線も同様の軌道構造で建設されています。
保守基地にトンネル区間用のAF-57形が設置してありました。手前は明かり区間用のA-55です。
座面式のためタイプレートが無く、スラブの厚みや上面の形状が異なります。愛知環状鉄道のトンネル区間の物と同様ですね。
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