50のひとり言~「りぷる」から~

言葉の刺激が欲しい方へ。亡き父が書きためた「りぷる」(さざ波)を中心に公開します。きっと日常とは違った世界へ。

「夢のようです。ぼくの一生でこれほどの・・・

2015-11-11 21:13:32 | 小説
「夢のようです。ぼくの一生でこれほどの感激はあるかどうか。蜂のように刺す」
とふざけてシャドウボクシングをしながら言う、敏彦である。理恵はほっとする。
「まあ怖い」
器用に頭を切りかえているタレント。その理恵。

(つづく)

理恵の懸命な頭脳に一節の裂け目が生じる風に、・・・

2015-11-09 17:39:02 | 小説
理恵の懸命な頭脳に一節の裂け目が生じる風に、理恵はいつか敏彦に聞いた、『あこがれてこの世界にはいった。有名になりつつあった時、地方回りの時だった。あれはふるさとの隣町でのこと、一人の男に殺されそうになった。その後でつくづくこう思わされた。あこがれが敵意にかわる人間だっているのだと』そんなことが唐突に閃いてきて戸惑うのだった。

(つづく)

独り旅の方がどれほどかつらい目に会っていたでしょう。

2015-11-08 20:01:31 | 小説
独り旅の方がどれほどかつらい目に会っていたでしょう。
「シャワーして着がえてきます」
と敏彦が嬉しい声を残して離れていった。
岬ホテルで、二人は予定通り、まるで優秀なシナリオのテレビドラマに出演中だ。それが今ふっと崩れかかる。

(つづく)