「夢のようです。ぼくの一生でこれほどの・・・ 2015-11-11 21:13:32 | 小説 「夢のようです。ぼくの一生でこれほどの感激はあるかどうか。蜂のように刺す」 とふざけてシャドウボクシングをしながら言う、敏彦である。理恵はほっとする。 「まあ怖い」 器用に頭を切りかえているタレント。その理恵。 (つづく)
小雨が煙る湾の海から湧きでたようにふっと・・・ 2015-11-10 20:53:35 | 小説 小雨が煙る湾の海から湧きでたようにふっと襲ってきていた。独りになってはきっといけなかったのだろう。 「夏子」 と不思議に幸男でなくそう呟いた。 (つづく)
理恵の懸命な頭脳に一節の裂け目が生じる風に、・・・ 2015-11-09 17:39:02 | 小説 理恵の懸命な頭脳に一節の裂け目が生じる風に、理恵はいつか敏彦に聞いた、『あこがれてこの世界にはいった。有名になりつつあった時、地方回りの時だった。あれはふるさとの隣町でのこと、一人の男に殺されそうになった。その後でつくづくこう思わされた。あこがれが敵意にかわる人間だっているのだと』そんなことが唐突に閃いてきて戸惑うのだった。 (つづく)
つぶあん派からこしあん派へ 2015-11-08 20:05:59 | 小説 ずっと、つぶあん派でした。あのあずきの原形がわかる皮と少し固めのあん。しかしここのところ歯のすき間にひっかることもあり、スムーズなこしあんに魅かれつつあるところです。
独り旅の方がどれほどかつらい目に会っていたでしょう。 2015-11-08 20:01:31 | 小説 独り旅の方がどれほどかつらい目に会っていたでしょう。 「シャワーして着がえてきます」 と敏彦が嬉しい声を残して離れていった。 岬ホテルで、二人は予定通り、まるで優秀なシナリオのテレビドラマに出演中だ。それが今ふっと崩れかかる。 (つづく)