在庫と利益の関係、つまり、事業年度末の在庫金額が売上原価に与える影響、年度末までに在庫を販売や廃棄により処分することと利益の関係について大変よく質問を受けます。
この件は、事業年度末を経過し在庫数量が確定した後の期末棚卸高の計算(売上原価の計算)、新年度にどれだけの在庫を持ち越すかという経営戦略の二つの観点から考えなければなりません。
■売上原価の計算(決算という事後的な事務作業)→誰が計算しても同じ結果になる
会社は事業年度が終了すれば、事業年度を通しての利益を計算するとともに事業年度末の資産や負債の状況を把握しなければなりません。この作業を決算といい、決算の結果として決算書(損益計算書や貸借対照表)を作成します。また、会社の税金である法人税は決算の結果を受けて計算されます。
卸売業、小売業、製造業などにおいては商品、製品、材料などの在庫を保有していますが、在庫を保有している業種の場合には在庫の計算という作業を避けて決算を終わらせることはできません。なぜならば、在庫の計算をしなければ売上原価の計算ができないからです。
・売上原価の計算は下記の算式で行います(在庫の計算ができなければ売上原価も計算できません)。
「期首棚卸高(事業年度初めの在庫金額)+当事業年度中の仕入金額合計-期末棚卸高(事業年度末の在庫金額)」
売上高から売上原価を差し引いたものを売上総利益あるいは粗利益といい、会社の業績(利益)に重大な影響を与えます。売上高が同じであるならば売上原価が少ないほうが利益は多くなります。
・期末棚卸高の計算は下記の算式で行います(期首棚卸高は前事業年度の決算で計算済みです)。
「期末の在庫数量×仕入単価」
この計算を「在庫の種類ごと」に行い、全在庫について合計しなければなりません。
期末の在庫数量は事実として確定していますが、この数値は帳簿(商品受払簿)や実地棚卸(在庫を実際に数える)により把握します。仕入単価については、先入先出法、移動平均法など所定の方法(会計基準や税法が認める方法)で計算します。
■決算・在庫一掃セール(経営戦略)
百貨店、スーパーなどの宣伝で、「決算・在庫一掃(売りつくし)セール」というのをよく見かけます。これは、会社が事業年度を区切りとして活動していることから、ひとつの事業年度が終わるまでにその事業年度に仕入れた商品は全て販売し、新たな事業年度は新たに仕入れた商品を売りたいために行います。
ほとんどの商品は、歳月が経過すれば流行遅れや品質低下により価値が下がります。そんなことから、事業年度の区切りに一掃してしまうのです。そうすれば、商品に投下している資金も回収でき、新たに価値ある商品を仕入れることができるのです。
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★決算・在庫一掃セールが決算に及ぼす影響(損して売る場合)
決算・在庫一掃セールを行えば事業年度末の在庫は減ります。減った在庫金額は売上原価に算入されますので(期末棚卸高が減るので売上原価が増える)、その金額よりも販売価格(売上高)が少ない場合には損失が発生し利益が減少することになります。
しかし、決算・在庫一掃セール以外で十分な利益を確保しているのであれば、業績に致命的な影響を及ぼしません。また、節税志向の会社にとっては利益が減るので喜ばしいことです(法人税は利益に比例して課税されます)。
★損して売ることは避けなければなりません
損して売ることを避けなければならないのは当然です。節税になるといっても、損した額以上に法人税は減らないからです(法人税は損に一定率を乗じて計算されます)。
この件は、事業年度末を経過し在庫数量が確定した後の期末棚卸高の計算(売上原価の計算)、新年度にどれだけの在庫を持ち越すかという経営戦略の二つの観点から考えなければなりません。
■売上原価の計算(決算という事後的な事務作業)→誰が計算しても同じ結果になる
会社は事業年度が終了すれば、事業年度を通しての利益を計算するとともに事業年度末の資産や負債の状況を把握しなければなりません。この作業を決算といい、決算の結果として決算書(損益計算書や貸借対照表)を作成します。また、会社の税金である法人税は決算の結果を受けて計算されます。
卸売業、小売業、製造業などにおいては商品、製品、材料などの在庫を保有していますが、在庫を保有している業種の場合には在庫の計算という作業を避けて決算を終わらせることはできません。なぜならば、在庫の計算をしなければ売上原価の計算ができないからです。
・売上原価の計算は下記の算式で行います(在庫の計算ができなければ売上原価も計算できません)。
「期首棚卸高(事業年度初めの在庫金額)+当事業年度中の仕入金額合計-期末棚卸高(事業年度末の在庫金額)」
売上高から売上原価を差し引いたものを売上総利益あるいは粗利益といい、会社の業績(利益)に重大な影響を与えます。売上高が同じであるならば売上原価が少ないほうが利益は多くなります。
・期末棚卸高の計算は下記の算式で行います(期首棚卸高は前事業年度の決算で計算済みです)。
「期末の在庫数量×仕入単価」
この計算を「在庫の種類ごと」に行い、全在庫について合計しなければなりません。
期末の在庫数量は事実として確定していますが、この数値は帳簿(商品受払簿)や実地棚卸(在庫を実際に数える)により把握します。仕入単価については、先入先出法、移動平均法など所定の方法(会計基準や税法が認める方法)で計算します。
■決算・在庫一掃セール(経営戦略)
百貨店、スーパーなどの宣伝で、「決算・在庫一掃(売りつくし)セール」というのをよく見かけます。これは、会社が事業年度を区切りとして活動していることから、ひとつの事業年度が終わるまでにその事業年度に仕入れた商品は全て販売し、新たな事業年度は新たに仕入れた商品を売りたいために行います。
ほとんどの商品は、歳月が経過すれば流行遅れや品質低下により価値が下がります。そんなことから、事業年度の区切りに一掃してしまうのです。そうすれば、商品に投下している資金も回収でき、新たに価値ある商品を仕入れることができるのです。
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★決算・在庫一掃セールが決算に及ぼす影響(損して売る場合)
決算・在庫一掃セールを行えば事業年度末の在庫は減ります。減った在庫金額は売上原価に算入されますので(期末棚卸高が減るので売上原価が増える)、その金額よりも販売価格(売上高)が少ない場合には損失が発生し利益が減少することになります。
しかし、決算・在庫一掃セール以外で十分な利益を確保しているのであれば、業績に致命的な影響を及ぼしません。また、節税志向の会社にとっては利益が減るので喜ばしいことです(法人税は利益に比例して課税されます)。
★損して売ることは避けなければなりません
損して売ることを避けなければならないのは当然です。節税になるといっても、損した額以上に法人税は減らないからです(法人税は損に一定率を乗じて計算されます)。