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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

インボイス制度の導入に向けてすべきこと

2022-05-13 15:00:00 | 消費税
インボイス制度、どうやら令和5年10月1日からの導入は待ったなしの状況です。もう、制度を批判していても、抜け道を探していてもどうにもなりません。我が国における商品販売やサービス提供には10%という消費税がついて回るのです。この現実を受け止めるしかありません!

◆インボイス制度における事業者の3つの立場

事業者はインボイス制度において次の3つの立場に置かれます。

◇消費税を受け取るという立場→インボイスを発行する
事業者は商品販売やサービス提供をした際に、顧客に代金とともに消費税を請求して受け取るという立場にあります。インボイス制度導入後は、適格請求書発行事業者として税務署に届けている事業者しか顧客に消費税を請求することができません。

◇消費税を支払うという立場→インボイスを受け取る
事業者は仕入や諸経費の代金とともに消費税を支払います。インボイス制度導入後は、適格請求書発行事業者しか消費税を請求できませんので、受け取った請求書に消費税が記載されている場合には、その請求書の発行事業者が適格請求書発行事業者であるかを確認しなければなりません。

◇消費税を納税するという立場→税務署に申告をする
消費税の課税事業者は、上記の受け取った消費税から支払った消費税を差し引いて、税務署に納税しなければなりません。この仕組みはインボイス制度導入前と同じです。ただし、支払った消費税の範囲が適格請求書発行事業者への支払分のみに絞りこまれているので注意が必要です。

◆「令和5年3月31日までに」適格請求書発行事業者の登録をする

インボイス制度は令和5年10月1日から始まりますが、それと同時にインボイス(適格請求書)を発行できるようにするには、その半年前の令和5年3月31日までに適格請求書発行事業者の登録を済ませなければなりません。

登録は簡単です。申請書1枚を提出すればいいだけです。登録料も不要です。実在する会社あるいは個人であれば、登録拒否要件(過去における消費税法違反による罰金以上の刑)に該当しない限りは登録できます。

適格請求書発行事業者公表サイトで登録されていることを確認する

適格請求書発行事業者の登録申請が通ると税務署から通知書が送られてきます。同時に国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで社名や所在地が公表されますので、これを確認しておく必要があります。取引先はこれを基に調査をするからです。

◆インボイスのフォームを考える(インボイスは制度導入前から使用できる)

インボイスには社名や所在地の他、「登録番号」「本体価格」「適用税率」「消費税額」などを記載しなければなりません。記載事項が多いので、これらをどのように配列するかを考えなければならないのです。

なお、制度導入後の要件を満たす様式のインボイスを導入前から使用することも認められますので、間もなく既存の請求書や領収書用紙が無くなるのであれば、早期に新様式に切り替えることです。

◆仕入先や諸経費の支払先の登録状況を調査する

インボイス制度導入後は、適格請求書発行事業者に対する支払いに伴う消費税しか仕入税額控除の対象にできませんので、仕入先や諸経費の支払先が適格請求書発行事業者であるどうかは大変重要なことです。

この調査は、相手先が会社であれば適格請求書発行事業者公表サイトに「法人番号」を入力すれば簡単にできます。個人事業者については尋ねるしかありません。「どうして!」と反論する者もいるかもしれませんが、実際に請求されるまで待っているのは大変なリスクですので(仕入税額控除ができなくなる)、毅然とした態度を示さなければなりません。

◆帳簿の記載や関連書類の整理方法

帳簿については、仕入や諸経費の記録に関して個々の取引ごとにインボイスの有無を記載しておかなければなりません。これが非常に大変です。会計ソフトを使用している場合には、これらの記載に対応したバージョンアップをしなければなりません。

帳簿に記載したインボイスが存在することの記録は、そのインボイスにたどれるようにしておく必要があります。税務調査で必ず調べられるからです。


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免税事業者に選択肢はない!

2022-05-06 19:01:00 | 消費税
インボイス制度導入の影響を最も受けるのは、いわゆる免税事業者です。

「消費税を請求して納税をする(課税事業者になる)」
「消費税を請求しない(免税事業者のままでいる)」

免税事業者はこの選択をしなければなりません。しかし、実際には選択の余地はなく消費税の課税事業者になって消費税を申告納税するしかありません。そうでなければ、代金とともに請求していた「消費税相当額」の収入を「全額失う」からです。課税事業者になれば「消費税相当額」の一部は残ります。

◆免税事業者への支払いは「仕入税額控除」の対象にならなくなる

消費税の仕組みを理解するには仕入税額控除というものに関する理解を欠かすことができません。

事業者が税務署に納める消費税は、販売の際に「受け取った消費税」から仕入などで「支払った消費税」を差し引いた額です。この支払った消費税を「差し引く」ということを仕入税額控除といいます。「仕入税額」といいますが商品や材料の仕入だけでなく、諸経費(家賃、交通費、水道光熱費、交際費など)や設備投資に関して支払った消費税も含まれます。

仕入税額控除はインボイス(適格請求書)がなければできません。インボイスは税務署に届けをした消費税の課税事業者(適格請求書発行事業者)しか発行ができません。免税事業者はインボイスを発行が発行できないので、免税事業者への支払いは仕入税額控除の対象にはならないのです。

◆免税事業者への消費税相当額は支払った事業者の負担となる

インボイス制度導入前の現時点では免税事業者に対する消費税相当額も仕入税額控除の対象にできますが、インボイス制度導入後は仕入税額控除の対象でなくなります。インボイス制度導入後も免税事業者に消費税相当額を払い続けていると、以下の計算式のとおり消費税相当額が支払った事業者の負担になってしまうのです。

【インボイス制度導入前の計算式】
受け取った消費税100-支払った消費税80(内免税事業者に対するもの10)=納税する消費税20

【インボイス制度導入後の計算式】
受け取った消費税100-支払った消費税70(免税事業者に対するもの10は除く)=納税する消費税30

◆免税事業者が課税事業者になった場合の正味の収入

課税事業者であるからといって、受け取った消費税の全額を納めるわけではありません。上記のとおり仕入税額控除が認められるからです。

免税事業者であれば消費税を受け取ることはできません。

どちらが得であるから明らかです。(ただし、制度導入前よりは正味の収入は減ります。)

◆免税事業者のままでもいい場合

インボイス制度導入後も免税事業者のままでも収入に一切の影響がない場合もあります。

◇一般個人(消費者)しか相手にしない
「学習塾」「習い事教室」「美容院」「エステ」など、「事業をしていない一般個人(消費者)」のみを顧客としている事業者は、顧客がインボイスを必要としませんので、インボイスを発行できない免税事業者のままでもかまいません。(そもそも税込みで価格設定をしていることでしょう。)

◇収入のすべてが消費税の非課税取引
「住宅の貸付け」「介護保険サービス」など消費税の非課税取引のみを事業として行っている場合には消費税とは無関係です。

◇税込みの価格設定を貫いている
顧客が事業者で自身の商品やサービスが消費税の課税対象であっても、価格設定を消費税込みで行っている場合にはインボイスを発行する必要はありません。しかし、消費税率が10%である現在においては、このような価格設定はありえないと思います。顧客に消費税額の明示を要求されるからです。

◇飲食店
対応に悩むと思います。顧客の大部分は一般個人(消費者)ですが、事業者は接待や福利厚生目的に利用することもあるからです。

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インボイスを簡単に説明すれば・・・

2022-05-06 19:00:00 | 消費税
◆「インボイス」は消費税に固有の言葉

「invoice」という英語はありますがこの意味を調べても「インボイス」の意味は分かりません。インボイスはわが国の消費税(以下消費税とします)に固有の言葉であると考えなければ、令和5年10月1日から始まるインボイス制度を理解することはできません。

◆正式名称は適格請求書

インボイスは正式には適格請求書といいます。インボイス(適格請求書)とおぼえておくことです。また、インボイス制度は正式には適格請求書等保存方式といいます。

◆インボイス(適格請求書)は消費税の受け払いが行われたことの証明書

インボイス(適格請求書)は商品やサービスの代金とともに消費税の受け払いが行われたことの証明書です。名称は請求書や領収書でもかまいません。また、インボイスとしての法定の記載事項があれば様式やサイズは問いません。

◆インボイスは消費税の課税事業者が発行する

インボイスを発行するのは消費税の課税事業者です。課税事業者とは商品販売やサービス提供の際に、代金とともに消費税を受け取って税務署にそれを納税する事業者のことです。

◆適格請求書発行事業者(インボイスを発行できる事業者)

インボイスは消費税の課税事業者が発行しますが、インボイスを発行するにはあらかじめ税務署に届けをしておく必要があります。この届けをした事業者のことを適格請求書発行事業者といい、事業者には登録番号が発行されそれをインボイスに記載しなければなりません。また、この登録番号が本物であるかは国税庁のサイトで簡単に調べることができます。

◆なぜインボイスは必要なのか?

事業者が税務署に納める消費税は、「販売の際に受け取った消費税」から「仕入などの際に支払った消費税」を差し引いた額です。インボイスはこの両面の消費税を正確に把握するための手段です。

事業者は販売の際にはインボイスを発行し、仕入などの際にはインボイスを受け取ります。インボイスは、「払ってもいない消費税」を差し引けないようにしているのです。なぜならば、インボイスは税務署に届けをした事業者しか発行できないからです。そして、インボイスを発行する事業者は消費税の納税をしています。

◆仕入税額控除(インボイスは消費税の領収書)

事業者が税務署に納める消費税の計算において「受け取った消費税」から「支払った消費税を差し引く」ことを仕入税額控除といいます。インボイスは仕入税額控除のための消費税の領収書ということです。

◆最終消費者(一般人)はインボイスとは無縁

上記のとおりインボイスは、事業者が税務署に納める消費税を計算すること関しての証拠書類ですので、消費税の納税義務者になることがない最終消費者(一般人)はインボイスとは無縁です。

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★領収書からインボイスへ

従来から事業者が支払いをした際には相手先に領収書の発行を求めていました。「日時」「相手先」「金額」「内容(購入した物品など)」を明らかにしなければ決算や税務申告に関する事務処理ができないからです。

今後は領収書がインボイスに代わるということです。インボイスがなければ消費税に関する事務処理ができません。「領収書をください!」が「インボイスをください!」になるのです。

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インボイスは何に使うのか?(インボイスの要件)

2022-04-28 15:01:00 | 消費税
令和5年10月1日からインボイス制度が始まります。インボイスという言葉は徐々に知れ渡ってはいますが、インボイス(適格請求書)が何に使われるか、インボイスはどのようなものをいうのかについては十分理解がされていないのが実情です。

【参考】国税庁サイト:インボイス制度の概要

◆インボイスは「仕入税額控除」をするために必須の証拠書類

一般人で仕入税額控除の意味を知っている人はごくわずかだと思います。しかし、令和5年10月1日以降は仕入税額控除の意味とそれにおけるインボイスの役割を知らなければ、ビジネスの世界では「爪弾き」にされます。なぜならば相手先に損害を与えるおそれがあるからです。

事業者が税務署に納める消費税は、販売の際に受け取った消費税から仕入や経費の支払いの際に支払った消費税を「差し引いた」額です。この支払った消費税を差し引くということを仕入税額控除といいます。「仕入税額」といいますが商品や材料の仕入だけでなく、諸経費(家賃、交通費、水道光熱費、交際費など)や設備投資に関して支払った消費税も含まれます。

インボイスは「仕入税額控除」をするために必須の証拠書類です。仕入税額控除はインボイスがなければできません。

◆インボイスは漏れなく入手しなければならない

令和5年10月1日以降は、仕入税額控除の計算はインボイス(適格請求書)を入手した取引のみを抽出し集計することにより行わなければなりません。

現在は請求書や領収書に消費税に関する記載がなくても、消費税の課税取引であれば税込みの取引額から消費税額を逆算して仕入税額控除を行えます。しかし、インボイス制度導入後はこの方法が認められませんので、仕入税額控除の「取りこぼし」をなくすべくインボイスが発行されなければならない取引については漏れなくインボイスを入手しなければなりません。

◆インボイスの要件(サイズや材質は法定されていない)

発行者の社名(個人事業者は氏名)や所在地は当然として、「本体価格」「消費税額」、そして「登録番号」が記載されていなければなりません。登録番号は社名(個人事業者は氏名)の下部に記載するのが一般的になりそうです。

「インボイス制度」と聞けば、インボイス(適格請求書)のというもののサイズや材質までもが法律によって決められているように思われますが、現在の請求書や領収書に「登録番号を書き足す」だけでよいということです。また、名称も問わず、「インボイス」「適格請求書」という記載も不要です。

◆インボイスの入手が不要な事業者

インボイスの入手が不要な事業者もあります。

ひとつは消費税の「免税事業者」です。免税ですので税務署に納付する消費税額を計算する必要がないため、仕入税額控除の証拠書類であるインボイスの入手も不要です。もうひとつは「簡易課税」を選択している事業者です。簡易課税の場合は仕入税額控除をみなし計算で行いますのでインボイスを入手する必要がありません。

このような事業者については、従来からの請求書や領収書で問題はありませんが、登録番号が記載されたものを入手していけないというわけではありません。

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★インボイスのチェックポイント

「本体価格」と「消費税額(税率別に)」が区分して記載されていること
「登録番号」が記載されていること
「登録番号」はインボイスの発行者に付与されたものであること

これらが重要になってきます。特に大変なのは3番目です。国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で調べなければなりません。

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インボイス(適格請求書)?

2022-04-28 15:00:00 | 消費税
インボイス制度

国税庁は昨年の10月以降、着々とその準備を進めています。「適格請求書発行事業者」の登録数も続々と増えています。「御社はまだ登録していないのですか?登録しない場合は・・・」、得意先から通告される日はそう遠くはありません。

◆インボイス制度の導入は既定路線(仕入税額控除の正確性を確保する)

インボイス制度と聞くと特殊な制度のように思えます。しかしそれは、消費税という仕組みからすれば必然的に採用をしなければならない制度なのです。インボイス制度の導入は、我が国に消費税が創設された平成元年時点からの既定路線であったのです。

事業者が税務署に納める消費税は、販売の際に受け取った消費税から、仕入などの際に支払った消費税を「仕入税額控除」として差し引いた額です。事業者が納める消費税からは「前段階」の消費税が「累積されないという」仕組みになっています。インボイスはこの前段階の消費税を正確に計算するためにあるのです。「払ってもいない消費税」を差し引けないようにしているのです。

適格請求書発行事業者の登録をしていない事業者はインボイス(適格請求書)の発行ができません。消費税の申告をする事業者は、仕入税額控除を正確に行うべく、仕入先が適格請求書発行事業者であることを確認するとともに、インボイス(適格請求書)を漏れなく入手しなければならないのです。

◆適格請求書発行事業者公表サイト(法人番号から調べることができる)

会社組織の事業者の場合、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」に「法人番号」を入力すれば適格請求書発行事業者としての登録の有無を調べることができます。法人番号は公表されていますので、会社組織の事業者は取引先が行う登録状況の調査から逃れることができません。

制度導入後は請求書や領収書に「登録番号」を記載しなければなりません。個人事業者については、この登録番号を公表サイトに入力すれば個人事業者の氏名が表示されます。個人事業者についても登録状況は取引先に把握されてしまいます。

◆免税事業者の選択

インボイス制度導入後は適格請求書発行事業者でなければ、販売代金に消費税額を上乗せすることができません。そして、適格請求書発行事業者は必ず税務署に消費税の申告納税をしなければなりません。

いわゆる免税事業者も適格請求書発行事業者の登録ができます。しかし、登録をすれば課税事業者になり消費税の申告納税をしなければなりません。

「消費税を請求して納税をするか(課税事業者になるか)」
「消費税を請求しないか(免税事業者のままでいるか)」

免税事業者はこの選択をしなければならないのです。

なお、課税事業者であるからといって、受け取った消費税の全額を納めるわけではありません。仕入税額控除が認められるからです。

免税事業者であれば消費税を受け取ることはできません。

どちらが得であるから明らかです。(ただし、制度導入前よりは正味の収入は減ります。)

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★廃止の可能性
ゼロに近いと思います。消費税が創設された30数年前からの既定路線だからです。

★延期の可能性
あるかもしれません。各事業者がインボイスについての理解が不十分なまま制度をスタートさせると制度が骨抜きになってしまいます。それを避けるには、もう少し周知する期間が必要かもしれません。

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