goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会計ソフトと預金通帳(預入)

2020-08-16 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
預金の預入(入金)処理の大部分は売上代金の入金です。それ以外は、どちらかといえばイレギュラーな取引であることからその処理に戸惑う人が多いです。

◆売上代金の振込

売上代金の振込があった場合の勘定科目は売掛金です(売掛金を計上していない場合には売上)。処理が複雑なのは、請求した代金から差し引かれて入金がある場合です。例えば、振込手数料相当額を差し引かれた場合には、「振込額+振込手数料相当額」の売掛金を減額するとともに、振込手数料相当額を費用として処理しなければなりません。

売上代金振込の処理は、会計ソフトの売上(販売)のメニューからもできますので、そうしている場合には預金取引のメニューでは処理する必要がありません。誤って預金取引で処理してしまうと二重に処理をすることになります。

◆手元の現金(硬貨と紙幣)の預入

世間一般では、現金(手元にある硬貨や紙幣)と預金を一緒にして「現金」ということが多いですが、会計ソフト(簿記)では両者を区別して処理します。手元の現金(硬貨と紙幣)を預金に預け入れたならば、現金を減らして預金を増やすという処理をしなければなりません。

◆他の預金口座からの資金移動

会計ソフト(簿記)では預金を「口座単位」で管理しますので、預金間の資金移動も取引として処理しなければなりません。その前提として会計ソフトに口座を登録しておく必要があります。

◆金融機関からの融資

金融機関から融資を受けたならば、その金融機関に保有している預金口座に入金されますので借入金として処理しなければなりません。

◆経営者の個人資金からの預入

中小零細企業においては、会社の資金が不足した場合に経営者個人の資金を会社に投じることがあります。この取引も金融機関からの融資同様に借入金として処理しなければなりません。(個人事業者の場合には事業主借という勘定科目で処理をします。)

◆利息

最近ではほんのわずかですが、忘れずに処理をしなければなりません。

========

★仮受金はできるだけ早く解消する(決算までには必ず解消する)

入金(預入)に関する特定の行の勘定科目が決まらない(わからない)からといって処理をしないでいると、会計ソフトの預金残高と通帳の預金残高が一致しません。その際は、勘定科目を仮受金として窮地をしのぐしかありませんが、仮受金とは意味不明の入金(預入)ということですからいつまでも放置するわけにはいきません。できるだけ早く、決算までには内容を明らかにしてしかるべき勘定科目に振替えなければなりません(仮受金を減額して他の勘定科目とする)。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



会計ソフトと預金通帳(すべての行を処理する)

2020-08-04 15:30:00 | 経理業務(帳簿の作成)
「預金通帳はすべての行を処理しなければならない」

会計ソフトにおいて大変重要なことなのですが、このことを知らずに会計ソフトを使い続けている人がいます。

会計ソフトで処理をした結果、会計ソフトの預金残高は、同じ時点の預金通帳の残高に一致していなければなりません。そのためには預金通帳のすべての行を処理しなければなりません。また、会計ソフトを導入するにあたっては導入を開始する期間の最初の預金残高を登録しておかなければなりません。

◆預入(入金)

預金通帳の預入(入金)欄は次のようなものからなります。

売上代金の振込
手元の現金(硬貨と紙幣)の預入
他の預金口座からの資金移動
金融機関からの融資
経営者の個人資金からの預入
利息(最近ではほんのわずかですが・・・)

一見、売上代金の振込以外は仕訳や勘定科目とは何の関係もないように思えるものもありますが、すべての行は何らかの勘定科目に当てはまりますので、必ず処理をしなければなりません。

◆引出(出金)

預金通帳の引出(出金)欄は多種多様です。

仕入代金の支払
給料の支払
諸経費の支払
借入金の返済
各種口座振替
クレジットカードの決済
手元の現金(硬貨と紙幣)としての引出
他の預金口座への資金移動

◆会計ソフトの預金残高が実際(預金通帳の残高)よりも多い

引出(出金)の未処理や引出した金額の処理誤り(過少な金額で処理している)が考えられますが、預入(入金)処理の重複や預入れた金額の処理誤り(過大な金額で処理している)も考えられます。

◆会計ソフトの預金残高が実際(預金通帳の残高)よりも少ない

預入(入金)の未処理や預入れた金額の処理誤り(過少な金額で処理している)が考えられますが、引出(出金)処理の重複や引出した金額の処理誤り(過大な金額で処理している)も考えられます。これらの誤りが積み重なると、会計ソフトの預金残高がマイナスになることもあります。

◆勘定科目の分からない行を放置しない

預金通帳を一行ずつ処理していると、勘定科目の分からない行に遭遇することがあります。勘定科目がわからないからといってそれを放置しておくと、会計ソフトの預金残高と預金通帳の残高が一致しなくなります。どうしても勘定科目がわからない場合は、とりあえず他の勘定科目で処理しておき、後日勘定科目が判明した時点で別の勘定科目に振り替えます(預金は変動させずに預金以外の勘定科目間で勘定科目を変更します)。

◆預金通帳の消込(処理済みの行に印を付す)

最近では、金融機関とネットを通して預金取引の全データを会計ソフトに取込むことができます。これですと預金の処理漏れは起こりません。ただし、「手動」で特定の取引を除外している場合は処理漏れが起こります。

昔ながらの預金通帳から一行一行入力するという方法の場合には、入力の済んだ行に印をして、すべての行に印が付いたことを確認しておく必要があります。

========

★会計ソフトの処理メニュー
オーソドックスな会計ソフトでは「預金出納帳」「銀行帳」「総勘定元帳の預金勘定」「補助元帳の預金」などから処理をします。今時の会計ソフトでも似たような名称の処理メニューがあります。

★複数のメニューから預金の処理はできる
預金取引は取引の多くを占めることから、様々なメニューから処理することができるようになっています。売上(売掛金の入金)や仕入(買掛金の支払)のメニューからでも処理は可能です。

★預金口座ごとに管理する(重要!)
会計ソフト(簿記)では複数の預金口座がある場合には、その預金口座ごとに管理をします。預金口座ごとに出入りのデータを記録して、残高も預金口座ごとに算出します。預金口座がひとつであれば「普通預金」「当座預金」といった勘定科目単位での管理でいいですが、複数の場合には「普通預金A銀行」「普通預金B銀行」といった具合に管理します。このように管理するにはあらかじめ会計ソフトに預金口座を登録しておく必要があります。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



売上を集計する(入金時の処理)

2020-07-30 16:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
売上の集計に関して、どちらかといえば発生には注意をしているけれども、入金の処理がおろそかになっていることが多いです。

◆入金処理をしなければ売掛金は増える一方

売上の発生の処理をすれば「売上」と「売掛金」が同時に増えます。売上は収益ですので発生するに従って累積していきます。一方、売掛金は発生により増加し、入金によって減少します。

売掛金が増える一方なんてありえません。もし、それが本当であれば、売ったけれども代金が一切回収されていないということです。売掛金は増加も減少もするのです。そして、一定時点の売掛金の金額は、販売したけれども代金を回収していない部分の合計額となるのです。

◆入金処理をしなければ現金や預金残高が合わない

入金処理をしていないということは現金や預金の処理もしていないということです。そうであれば、現金や預金は減る一方です(売上代金の入金以外に現金や預金が増える要素がないとして)。

会計ソフト(簿記)では事象を2面から捉えます。「売上と売掛金」「売掛金と現金あるいは預金」といった具合です。片方の処理をしていないということは、もう片方の処理もできていないということです(会計ソフトでは片方の処理だけは受け付けません)。

◆入金時に費用が発生する場合も

入金処理がおろそかになる理由のひとつとして、「売上の計算さえ正しければ」と認識をしていることがあります。確かにそのとおりかもしれません。しかし、入金時に費用が発生することがあり、その費用の金額が決して少なくない場合もあります。

「当方負担の振込手数料」「クレジット手数料」「代引手数料」などです。これらは、入金処理の際に「差し引かれて入金された」という処理をしなければ費用とはなりません。

========

★あるべき状態(売上と売掛金)

特定の月で売上と売掛金は次のような状態になります。

売上→その月に販売(発生)した分の合計金額

売掛金→その月の月末時点に販売したけれども代金を回収していない分の合計額(前月以前販売分が含まれることもある)

★売掛金のない業種

販売と同時に代金をもらう小売店や飲食店などでは売掛金は生じません。売上と同時に現金が増加します。「売上→売掛金→現金」ではなく「売上→現金」です。

★入金の処理しかしていない

入金処理しかしていない、つまり売上の発生の処理をしていない場合には売掛金はマイナスになります。当然ですが、売上はゼロです。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



売上を集計する(発生の時点とは?)

2020-07-24 12:30:00 | 経理業務(帳簿の作成)
売上は発生の時点で集計しなければなりません。発生とは、「商品を引き渡す」、「サービスを提供する」などして代金を受け取れる(請求できる)状況になることをいいます。この発生の時点は業種によって異なります。

◆小売店や飲食では発生と入金の時点は同じ

小売店や飲食店では商品と引き換えに代金をもらいますので、発生と入金の時点は同じです。発生の処理と同時に入金の処理も行います。

◆商品を発送した

物品販売の場合には商品の発送と同時に代金の請求もできますので、発送の時点で売上を集計します。

◆サービスを提供した

サービスはその提供が済めば代金の請求もできますので、提供が済んだ時点で売上を集計します。

◆クレジットや代金引換による回収

クレジットは代金回収の一手段ですので、銀行振込や現金回収と同じように商品であれば発送の時点、サービスであれば提供が終了した時点で売上を集計します。運送業者に依頼する代金引換についてもクレジット同じことがいえます。

◆入金が先行する場合

入金確認後直ちに商品を発送する場合には、小売りと同じように売上の発生と入金の時点が一致します。サービス提供前(セミナーの開催前など)に代金の入金がある場合には、サービスの提供が済むまで売上の集計は待ちます。

◆月や日ごとの集計でもOK(ただし個々の明細は保存しておく)

代金の請求を月や日ごとにまとめてしている場合には、売上の集計を月や日ごとにしてもかまいません。ただし、この場合、会計ソフト(帳簿)には月や日の合計の売上数値しか表われませんので、その明細は会計ソフトの外で保存しておく必要があります。

========

★会計ソフトにおける発生と入金の「メニュー」はどれか?

売上の集計は発生と入金の両時点で処理しなければならないことはわかっていても、その操作を会計ソフトの「どのメニュー」でするかがわからないまま会計ソフトを使い続けているということがあります。

会計ソフトのメニューを丹念に見れば必ず両方のメニューが用意されています。また、「個々の取引」を入力する際にも発生と入金で処理方法が分かれています。どうしてもわからない場合には、会計ソフトのサポートにたずねてください。ここがあやふやなまま会計ソフトを使い始めても正しい結果は得られません。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。



売上を集計する(発生と入金の2段階の処理)

2020-07-18 10:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
会社の決算書作成(利益の計算)であれ、個人事業者の所得税確定申告(事業所得の計算)であれ、売上を集計することは非常に重要なことです。しかし、いざ売上の集計作業を始めてみると様々な迷いと混乱が生じます。

売上の集計については「発生」と「入金」という2つの時点での処理が必要で、それぞれの時点での事務処理の方法を明確にしておかなければなりません。

◆売上の発生とは?

売上の「発生」と聞くとなんだか難しいように思えますが、「商品を引き渡す」、「サービスを提供する」などして代金を受け取れる(請求できる)状況になることをいいます。

売上はこの発生の時点でカウントします(計上します)。発生の時点は業種によって異なります。売上を集計する大切なコツのひとつが、この売上の発生の時点をとらえて「漏れなく」「正確な」金額で集計をするということです。

「簿記」や「会計ソフト」では、売上が発生すれば売上が集計されるとともに売掛金が増加します。この時点では、まだ現金や預金は動きません。売上があっても代金の入金はまだだからです。

◆代金の入金

小売店や飲食店などを除いて、多くの業種で代金の受取りは発生からしばらく経ってからになります。

「簿記」や「会計ソフト」では、売上の処理は「発生」だけでなく「入金」の処理もしなければなりません。そうしなければ売掛金は増える一方です。預金や現金の入金処理も放置されたままになります。また、入金の処理をしているだけなら売上は集計されません。

========

★どうして発生なのか?入金の時点でもいいではないか!?

大昔(昭和時代)から、多くの会社経営者と個人事業者が「売上は発生の時点に集計する」というルールに馴染めず周囲(税務署、税理士、経理担当者など)と衝突を繰り返してきました。

会計ソフトが普及した現代においても、このルールは依然として生きており、このルールが理解できなければ会計ソフトは使いこなせません。一見、入力(最近ではデータの取込み)はすいすいと、「簡単!簡単!」とできているようでも、出来上がった数値は意味不明で、正確な利益や事業所得とは程遠いということもあります。

とにかく、「発生というルール」は受け入れるしかないのです。発生は発生で、入金は入金なのです。それぞれの処理を正確に、さらに連動させて行わなければならないのです。

【PR】記事の内容と直接的な関連はありません。