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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

税務経理業務の年間スケジュール(会社の場合)

2014-07-08 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
会社の税務と経理の年間スケジュールは、事業年度によって決まってくるものと、事業年度とは関係なくどの会社にも共通なものとがあります。

■事業年度によって決まってくるスケジュール

【法人税の確定申告】
法人税の申告と納税は事業年度終了から2か月以内にしなければなりません。これを確定申告といいます。事業年度が4月1日から翌年3月31日の場合には翌年5月末です。法人税の税務申告書には株主総会で承認された決算書を添付しなければなりません。ですから、事業年度終了から2か月以内に一事業年度の全ての経理作業を終了させ、財産や利益を確定させておく必要があるのです。なお、会社は法人税という国税のほか、都道府県民税、事業税、市町村民税という地方税を法人税の計算に準じて計算し、申告納税をしなければなりません。この期限も法人税と同じです。

【法人税の中間申告】
事業年度の中間で法人税の申告と納税をしなければならない場合があります。前事業年度の法人税額が一定額を超える場合です。これを中間申告といいます。事業年度の中間とは、事業年度が4月1日から翌年3月31日の場合には4月1日から9月30日です。申告納税の期限は事業年度の中間末から2か月以内の11月末になります。中間申告は前事業年度の税額の半分を申告納税するという方式ですので、確定申告の場合のように決算は不要です。なお、確定申告同様、地方税の中間申告も同時に行う必要があります。

【消費税の確定申告と中間申告】
消費税の課税事業者の場合には、消費税の申告納税も必要です。この申告と納税は法人税と同じく、事業年度ごとに、事業年度終了から2か月以内に行います。消費税も中間申告は必要ですが、法人税のように事業年度の中間だけではなく、3か月や1か月ごとに行わなければならない場合があります(前事業年度の税額によって中間申告の回数が変わってきます)。

■事業年度とは関係なくどの会社にも共通なスケジュール

【給与に関する税金】
給与からは所得税(国税)と住民税(地方税)を徴収しますが、これは月々の給与を支払う際に行い、翌月10日までに納付しなければなりません。個々の社員の給与に関しての税額が最終的に確定するのは暦年終了後です。これは、個人の税金である所得税が暦年単位で計算されることによります。この給与に関しての所得税を確定する作業を年末調整といいます。住民税は年末調整の結果を受けて翌年税額が確定します。

【固定資産税・不動産取得税】
個人にも課税されるこれらの税金は、会社の場合であっても同じように課税されます。課税されるタイミングや納税の期限は個人と同じです。

現金管理のコツ(現金管理に王道はない)

2014-07-03 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
「現金」とは手元にある硬貨と紙幣のことです。現金と銀行預金は価値や用途(共に貯蓄や支払いの手段である)は同じかもしれませんが、簿記の世界では両者を区別します。

「管理」の対象となる現金、つまり帳簿に記入する現金は「会社の現金」です。会社の現金とは、会社の活動の結果として生じた現金です。

現金は「変動」します。変動の結果として現金の残高も変動します。この現金の変動を把握することを「現金管理」といいます。

●現金の保管場所を定める
これが現金管理のスタートです。通常は手提金庫に保管し、さらにそれを強固な大型金庫に格納しておきます。

●現金が変動する際にはその理由を明らかにしておく
現金が変動(出入り)する際には、個々の変動ごとにその理由を明らかにしておく必要があります。「4月10日・コンビニで切手を購入した・500円」「4月12日・ドラッグストアでゴミ袋を購入した・300円」といった具合です。

●現金が変動した理由を速やかに帳簿に記録する
いわゆる金銭出納帳(現金出納帳)です。「日付」「現金が変動した理由」「変動した金額」「変動後の残高」を記入するという形式になっています。

●金銭出納帳の現金残高が実際にあるかを確認する
手元にある硬貨と紙幣を数えます。金銭出納帳の記帳が正確であれば金銭出納帳の残高に一致します。この作業は毎日行う必要があります。

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★現金管理(=経理)に王道はありません!

この作業を根気よく続ける(廃業するまで続ける)ことが経理の基本です。この作業なくして、正確な経理はできません。

「勘定科目が!?」
「社長借入金が!?」

とにかく、ひたすら事実関係を明確に記録することです。経理の基本は、事実をありのまま「正確」「誠実」「実直」「真摯」に記録することです。

必ず報われる日が来ますよ!
お約束させていただきます!

会計ソフトか?丸投げか?

2014-06-28 10:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
中小零細企業向け会計ソフトの売れ行きも以前ほどの勢いは失われ、「丸投げ」という選択が会計ソフトに替わって徐々に広がりつつあるようです。丸投げとは、文字通り、帳簿付けから決算申告までの全てを会計事務所に依頼するという方法です。依頼者が用意するのは「預金通帳」「請求書(請求した分と請求された分)」「領収書」など、記帳と決算申告の基となる資料です。

丸投げは楽です。依頼者側ではPCでの入力作業は当然として、「切る」「綴じる」「貼る」という事務作業は一切不要です。「必要書類を残す」だけでいいのです。あとは会計事務所が「つなぎ合わせて」くれます。

会計ソフトのセールストークは「簡単」「誰でもできる」ですが、それは入力をはじめとした操作方法のことであり、実際に会計ソフトを使いこなすには(会計ソフトが算出した数値を理解するには)、一定水準以上の簿記会計の知識が必要です。最近では、この会計ソフトを使いこなすための資質についての情報が豊富で、会計ソフトの導入に失敗することのリスクを認識している人が増えつつあります。かつてのように会計ソフトに「飛び付く」時代ではなくなりました。

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しかし、丸投げには次のような致命的欠陥があります。

●必要書類の入手漏れや紛失
当然のこととして必要書類の入手漏れや紛失をした場合にはどうにもなりません。

●資料だけでは会計事務所が事実関係を把握できない
預金通帳に表示される個々の入出金の中には、「入出金の理由」が表示されないものが数多くあります。領収書の中には支払の内容が明示されていないものもあります。これでは帳簿に記入することはできません。

「(会計事務所なら)適当に済ませる方法を知っているのでしょ?」

確かに、ある程度は「推定」できます。しかし、それにも限度があります。

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会計ソフトには簿記会計の知識が必要で、丸投げには大きなリスクがあります。そこで、会計事務所に依頼する場合には、下記の専門知識がなくても作成できる帳簿は会計事務所に教えてもらいながら依頼者が作成するという方法が主流となっているのです。

金銭出納帳(現金出納帳)
預金出納帳(銀行帳)
売上一覧表(月々の得意先別の販売額と代金回収額が分かる資料)
仕入一覧表(月々の仕入先別の仕入額と支払額が分かる資料)

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ただし、丸投げが可能なケースもあります。入出金のパターンも決まっており、しかも件数が少ない場合です。また、多少のリスク(税務調査での追徴課税)は許容する場合も丸投げは可能です。どうしても自分では金銭出納帳などを用意できないという場合には会計事務所に相談するのも一法です。

現金勘定が生じない経理にするには?

2014-05-07 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
現金(手持ちの紙幣と硬貨)の管理が大変だということから現金勘定が生じないような経理を志向する場合がありますが、そのためには次のような体制を整えておく必要があります。

◆売上代金の回収は銀行振込に限定する

業種や業態によってはこうすることが不可能なこともありますが、可能な業種や業態も相当多いと思います。まずは、資金の入口で現金をシャットアウトしておく必要があります。「現金で回収して当日中に預金に預ける!」という例外は認めてはいけません。顧客に対して「振込でなければ駄目です!」という頑なな姿勢を貫かなければなりません。

◆支払いを振込(預金からの出金)に限ることはできるか?

これは不可能でしょう。クレジットカードやデビットカードを使えばある程度は可能ですが、現金での支払いをゼロにすることはできません。

「必要な額だけを預金から引き出して」

店のそばにATMがあればいいのですが・・・

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★現金勘定のない経理はありえない!

ということです。可能なのは「できるだけ」現金勘定の変動を少なくすることです。

現金(手持ちの紙幣と硬貨)の管理は大変かもしれませんが、これから逃げることはできません。

売上を計上する

2013-09-18 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
売上を計上するとは、ある売上を決算書の売上高に含めるということです(仕訳をして帳簿に記録する)。売上高は利益の額を大きく左右します。売上高は企業の規模を示す重要な尺度でもあります。売上高を増やすことは経営者の共通の目標です。

■売上を計上する時期(タイミング、帳簿の日付)は業種や業態などによって異なる

売上高の計算は思いのほか難しいです。というのは、売上の計上は入金の時点で行わないので計上する時期の判断が難しいのです(小売店などは入金時点で計上します)。入金の時点で売上計上をしないのは、同じ商品やサービスであっても、入金時点が異なることによって売上が計上される時期が異なってしまうからです。

「レジで代金を精算した」「商品を発送した」「サービスの提供が済んだ」など、売上を計上する時期は業種や業態などによって様々ですが、共通しているのは「代金の請求ができる状態になった」ということです。この時点は商品やサービスの販売条件が同じであればどれも同じになります。

■売上として計上する金額は得意先との間で成立した価格による

売上を計上する時期が決まれば、次はその金額です。金額は得意先との間で成立した価格によります。得意先と成立した価格を請求するからです。

■売上と受注の違い

売上を計上するまでには様々なプロセスがあります。「宣伝」「訪問」「問合せ」などを経て「受注」があります。受注は売上の直前の段階ですが、受注した後に商品の発送やサービスを提供しなければ代金は請求できませんので、受注した段階では売上は計上できません。

■売上と売掛金の違い

仕訳では「借方・売掛金」「貸方・売上」として処理されます。売上は収益として損益計算書に計上され利益に影響しますが、売掛金は貸借対照表に資産として計上され利益には影響しません。売掛金は代金が回収されて現金になるプロセスなのです。

■値引き

値引きとは、一度は決まった販売価格が事後的な理由(欠陥、納品遅れなど)で減額されることをいいます。値引きがあった場合には当初計上した売上を修正しなければなりません。

■締日(しめび)

売上計上の仕訳(借方・売掛金、貸方・売上)は個々(納品ごとなど)に行うのではなく、一定期間(通常は1か月)で集計して、その集計した額で行うことが通常です。この一定期間の最終日を締日(しめび)といいます。例えば、月ごとに計上している場合は月末が締日です。

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★適正な売上計上基準の確立と遵守は経営者の役目です!

当り前です。
売上高という重要な経営指標を適正に計算しなければ、経営者として適切な意思決定ができません。

会社の規模が大きくなると売上計上基準(何時売上を計上すべきか)を理解していない社員や意図的に売上計上基準を守らない社員が現れます。また、売上計上基準は事業内容が変化(販売条件の見直しや新事業への進出など)すれば見直しが必要となります。

経営者は常に、「適正な売上計上基準とは何か?」を追求するとともに、社員が売上計上基準を遵守するよう徹底しなければならないのです。