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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

領収書をもらったら

2015-06-23 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
領収書をもらった場合の仕訳は次のとおりです。

≪借方≫経費勘定(交際費、消耗品費など)≪貸方≫現金

領収書は支払いを現金(硬貨・紙幣)でした場合に発行されます。また、支払いを現金でするのは店頭と集金の場合です。貸方が現金であるということは、会社の現金が減るということです。集金で支払う場合には直ちに会社の現金が減りますが、店頭で支払う場合には買い物にいった者(代表者や社員など)がとりあえずポケットマネーで支払っておいて会社に帰ってから会社の現金を引き出します。仕訳は現金を引き出した日付で行います。

精算(会社の現金を引き出すこと)が遅れる場合があります。「面倒だから」精算が遅れるのはいただけませんが、一定期間の分をまとめて精算するほうが現金を引き出す回数が少なくなるので効率的だともいえます。精算が遅れる場合に問題となるのは領収書の日付と精算日の関係です。

領収書の日付の月と精算の月が同一であれば上記の仕訳でよいですが、精算が翌月以降になる場合には次の二つの仕訳が必要となってきます。

【領収書の日付の月の仕訳】
≪借方≫経費勘定(交際費、消耗品費など)≪貸方≫借入金あるいは未払金(精算を求める者に対する)

【精算した日付の月の仕訳】
≪借方≫借入金あるいは未払金≪貸方≫現金

経費は領収書の日付で発生していますので、精算が翌月であるからといって翌月まで仕訳を遅らせるわけにはいかないのです。経理は月単位で一通りの処理をしなければならないのです。

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★領収書は「領収書の日付順」あるいは「精算した日付順」に保存する

「領収書の日付順」に保存しておけば、領収書と総勘定元帳の経費勘定(交際費、消耗品費など)との照合がしやすいです。「精算した日付順」に保存しておけば、現金出納帳との照合がしやすいです。いずれか馴染む方法で保存すればよいです。

振込専用の預金口座(会社名義でない)

2015-06-06 13:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
昨今は銀行によって振込手数料の額が大幅に異なるため、経費削減のために振込手数料の安い銀行に振込専用の預金口座を設けることがあります。その預金口座が会社名義であればよいのですが、代表者やその家族などの個人名義である場合には注意が必要です。

◆預金勘定では処理しない

会社名義の預金口座でないので、振込みのためにその預金口座に資金を移動させたとしても、預金勘定の増加という扱いにはなりません。このことが重要です。

例えば、Aという会社名義の普通預金から振込専用の預金口座に資金を移動させた場合には次の仕訳になります。

≪借方≫現金≪貸方≫普通預金A

会社名義の預金口座ではありませんので、借方は預金ではなく現金とします。そして、振込みを行った際に現金勘定を減少させます(仕入代金=買掛金を支払ったとします)。

≪借方≫買掛金+振込手数料≪貸方≫現金

◆余分な資金は移動させない

「振込む金額+振込手数料」を超える金額を移動させてはいけません。そうでないと、その超える金額が振込専用預金口座の名義人の所得になってしまいます(代表者の場合には役員給与とされてしまいます)。

振込む金額が100,000円で振込手数料が1,000円の場合には、次の要領で資金を移動させ、次のように仕訳をします(仕入代金=買掛金を支払ったとします)。

≪借方≫現金101,000≪貸方≫普通預金101,000

≪借方≫買掛金100,000+振込手数料1,000≪貸方≫現金101,000

◆会社名義で振込む

預金の名義人ではなく、会社の名義で振込まなければ会社の支払として認められません。ATMやネットで振込む際は「振込人の氏名」を変更しておく必要があります。

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★裏預金口座?

振込専用預金口座があると税務調査の際に裏預金口座あるのではと疑われます。その預金口座から振り込んだという「振込金受取書」が残されているのに、総勘定元帳にその預金口座の銀行名・支店名・預金種類名が現れないからです。税務調査でこのような事実関係を発見されてしまった場合には、ていねいに説明できるようにしておかなければなりません。

仕訳の漏れと重複を防止・発見する方法

2014-08-29 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
仕訳は漏れなく行う必要があります。また、仕訳が正しくても重複していてはいけません。仕訳の漏れと重複を防止・発見することは、正しい仕訳をすることと並んで非常に重要です。

漏れと重複が容易に発見できない仕訳もありますが、下記によって漏れと重複の大部分が発見されますので、是非とも試してください。

■原始記録に処理済みマークを付す

原始記録とは、預金通帳、請求書、領収書など、仕訳の基となる資料のことです。特定の原始記録からの仕訳が済んだならば、原始記録に「ペンによるチェックマークを付す」「処理済みのゴム印を押す」などの方法で仕訳済みであることを明らかにしておく必要があります。

■現金預金の実際残高と照合する

試算表(総勘定元帳)の現金と預金の残高は、現金ならば試算表の日付の現金の残高(紙幣と硬貨の合計額)、預金ならば預金通帳の残高に一致しなければなりません。一致しない場合には、現金あるいは預金に関する仕訳の漏れあるいは重複があるということです(もちろん、仕訳の現金預金の額が間違っていることもあります)。

■売上記録と預金通帳の入金欄を照合する

売上代金が銀行預金振込みの場合には、預金通帳の入金欄を売上計上(借方は売掛金、貸方は売上高)の原始記録である納品書や請求書の控と照合します。預金通帳にはあるけれども原始記録にはない場合には売上計上漏れ、原始記録にはあるけれども預金通帳にはない場合には売上計上の重複(余計な売上計上をしている)と考えられます。

■試算表を眺める(?)

試算表の各勘定科目に目を通して、「この勘定科目はこうなるべき」「こんな勘定科目が計上されるはずがない」という尺度と照らし合わします。雲を掴むような作業かもしれませんが、この作業は非常に大切です。「おかしい(こんな金額のはずがない)」という勘定科目がある場合にはその勘定科目の総勘定元帳を検討してみます。この方法は、仕訳の漏れ・重複だけでなく、誤り(金額と勘定科目)を発見するためも行います。

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仕訳の漏れと重複は、対象となる取引が多くなればなるほど発見が困難になりますので、こまめにチェックするよう心掛けてください。

仕訳がわからない取引に遭遇した際の対処法

2014-08-19 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
簿記会計の取引(仕訳の対象となる事象)は無限に存在するために、まったく経験したことがなく、さらにはどれだけ調べても仕訳が見つからない取引に遭遇する場合もあります。そのような場合は、取引の事実関係からその「会計的性格を明確にする」ということが大切になります。

■入金取引の場合

入金取引の貸方は、「収益の増加」「負債の増加」「現金預金以外の資産の減少」「費用の減少(取り消し)」などが考えられます。

利益につながる取引の場合には「収益の増加」「費用の減少(取り消し)」です。利益は伴わないけれども、現金預金が増えるのは「負債の増加(例えば借入をした)」「現金預金以外の資産の減少(例えば売掛金の入金があった)」が考えられます。

入金取引に関して注意をしなければならないのは、すでに収益を計上する仕訳をしている場合です。「売掛金/売上」という仕訳がその典型です。入金されたときの貸方は売掛金です。売上とすると収益が二重に計上されることになります。

■出金取引の場合

特に悩むのは出金取引です。出金の多くを占める経費のパターンは無限にあり、さらには社会経済の発展・変化によってさらに拡大するとともに変化もしているからです。出金取引は、まさにモンスターです。宇宙です。

経費の勘定科目には大変悩むと思います。特に、新手の商品やサービスに関しての勘定科目は既存の勘定科目の中には見つからないことがあります。その際は、会社(経営者)の方針を明確にし、とりあえず既存の勘定科目で処理するか、勘定科目を新設します。

経費に関しては費用配分の問題が付きまといます。全額を出金のあった事業年度の費用とするのか、資産計上をして複数の事業年度に配分するのかという問題です。

出金の中には費用とすることが許されないものもあります。典型は土地の購入です。土地は建物と違って使用や時の経過によって減価する(消耗する)ものではないからです。また、中小零細企業では代表者やその近親者に会社の資金から貸付が行われることがあります。貸付は返済してもらう必要がありますので、返済があるまで資産計上しておかなければなりません。

試算表に売上や仕入が表示されない!?(仕訳例に頼り過ぎではだめです)

2014-07-31 17:00:00 | 経理業務(帳簿の作成)
会計ソフトを独学で使っている人のデータを見せてもらうと次のようなケースが目立ちます。

■売上がゼロ

売上代金が普通預金に入金された際に次の仕訳をしているからです。

≪借方≫普通預金≪貸方≫売掛金

この仕訳の前提として、「この仕訳に先立って」次の仕訳をしておく必要があります。

≪借方≫売掛金≪貸方≫売上高

この仕訳をしないで「普通預金/売掛金」という仕訳をすると売上高は表示されません。

■仕入がゼロ

仕入代金を普通預金から支払った際に次の仕訳をしているからです。

≪借方≫買掛金≪貸方≫普通預金

この仕訳の前提として、「この仕訳に先立って」次の仕訳をしておく必要があります。

≪借方≫仕入高≪貸方≫買掛金

この仕訳をしないで「買掛金/普通預金」という仕訳をすると仕入高は表示されません。

■普通預金がない

あらゆる資金(硬貨・紙幣・銀行預金)の動きを「現金勘定」で処理しているからです。

売上代金が普通預金に入金された場合には次の仕訳をします。

≪借方≫普通預金≪貸方≫売掛金

仕入代金を普通預金から支払った場合には次の仕訳をします。

≪借方≫買掛金≪貸方≫普通預金

普通預金から引き出した(紙幣や硬貨にした)場合には次の仕訳をします。

≪借方≫現金≪貸方≫普通預金

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★試算表のどこを見るのかわかっていない
上記のような信じられない仕訳をする人の共通点は試算表で勘定科目の動きを確認していないということです。日常の仕訳入力をしたならば、その都度、試算表で各勘定科目の変動状況を確認しておかなければなりません。これを怠っていると間違いが累積してしまいます。

★「仕訳例」に頼り過ぎ
ほとんどの会計ソフトには仕訳例を表示する機能が備わっています。これに頼りすぎると的外れな仕訳を選択してしまい、結果として試算表にあるべき数字が表示されません。例えば、貸方を売上高とすべきこころを売掛金としてしまうなどです。