goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

資本主義の魂!(日本の投資家は優秀です)

2008-04-25 10:42:02 | 最近売れている本など



日本では、この4月から内部統制、四半期決算、リース会計と騒いでいますが、いくら企業が正確で詳細な決算書を開示したとしても、肝心の投資家が目先の利益だけを追求して不自然で不公正な株式の売買を繰り返していてはどうにもなりません。そして、そのような投資家に限って決算書を穴が開くほど読んで企業に不当な要求をしてくるのですから、苦労して決算書を作る側にとってはたまったものではありません。

欧米の金融機関は巨大ファンドを形成してマネーゲームに浮かれ、挙句の果てにサブプライムローンという得体の知れないものにまでエスカレートし、結果としてバブルがはじけて疲弊し切っています。
「貯蓄から投資」はわが国の国策ですが、絶対に米国と同じ轍は踏まないようにしなければなりません。是非ともわが国では健全な投資を根付かせて、欧米を見返してやるべきだと思います。
今ならできます。さんざん辛酸をなめてきた日本の投資家は優秀ですよ!

キャッシュ・フローなら理解できる!

2008-04-07 12:41:43 | 最近売れている本など
よくご存じの、場合によっては聞き飽きた言葉かもしれませんが、キャッシュ・フローとは資金(現金や預金)の流れのことであり、一定期間のキャッシュ・フローを下記のとおりの算式で表したものをキャッシュ・フロー計算書といいます。

(A)期間中の資金の増減+(B)期間の初めの資金の残高=(C)期間の終わりの資金の残高

さらに、(A)を下記のとおりに分類します。

■営業活動によるもの
本業による資金の増減です。つまり、商品を仕入れて売る、従業員の給料や事務所の家賃などの経費を支払うことによる資金の増減です。
この金額がマイナスであってはいけないのは当然です(マイナスの場合もあります)。

■投資活動によるもの
設備(工場設備やコンピュータシステムなど)や株式(他社の買収)などへの投資による資金の増減です。
この金額はマイナスであることが通常です。なぜならば、企業が存続していくためには継続した投資が必要だからです。なお、投資活動による資金の減少は営業活動による資金の獲得で回収しなければなりません。
この金額がプラスになるのは、投資した設備や株式を売却している場合です。

■財務活動によるもの
いわゆる資金調達による資金の増減です。企業は株主や金融機関から資金を調達してそれを投じることによりさらに資金を獲得します。また、これ以上資金を投じる必要がない場合には株主や金融機関に資金を返します。
この増減がプラスの場合には調達のほうが多いということであり、マイナスの場合には資金を返していることのほうが多いということです。

好ましいキャッシュ・フローとはどのようなものでしょうか?
それは経済状況や各企業の置かれている立場によって異なってきますが、下記が好ましいキャッシュ・フローの一例です。

【その1】
営業活動100
投資活動-50
財務活動30
差引80のプラス(期間の終わりの資金は期間の初めより80増えている)

【その2】
営業活動100
投資活動0(ゼロ)
財務活動-50
差引50のプラス(期間の終わりの資金は期間の初めより50増えている)

【その1】は本業(営業活動)から資金を獲得しておりその範囲内で新たな投資(投資活動)をしています。さらに、資金調達(財務活動)もできている状態です。要するに本業で十分儲かっておりその中から投資している状態であり、さらに規模を拡大するために新たな資金調達もできているということです。
この先が楽しみです。しかし、資金が余っているということですから、もっと効率よく稼ぐことや株主への還元(配当や自社株買い)も検討しなければなりません。

【その2】は本業(営業活動)から資金を獲得しており、新たな投資(投資活動)はしていません。さらに、過去に株主や金融機関から調達した資金を返している(財務活動)状態です。要するに現状で十分であり、投資も必要がないし、新たな資金も必要ないということです。
理想的かもしれませんが、悪くいえば消極的です。同業他社が積極的な設備投資をして新製品を開発している場合には、いずれ後れを取ってしまうということになりかねません。

次のようなキャッシュ・フローは好ましいといえるでしょうか?

営業活動0(ゼロ)
投資活動-50
財務活動50
差引0(ゼロ)

本業では収支トントンということです(収支とは資金の出入りのことです)。
本業がこのような状態であるのに新たな投資をしています。しかも、その資金を新たに調達してきています。

上記のような企業の損益計算書が黒字の場合はどうでしょうか?

損益計算書の利益は資金の増減とは一致しませんのでこのようなことも起こります。
設備への投資が多額に行われたとしても(キャッシュ・フロー計算書の投資活動)、損益計算書では一度に費用となるのではなく減価償却として長期にわたって費用となることからこのような現象が起こります。
また、よくご存じのとおり、損益計算書の売上高には入金のない部分も含まれています。



この本はキャッシュ・フローの解説書ではありません。キャッシュ・フロー計算書を含む決算書から会社の現状分析や将来予想をするノウハウを紹介する本です。
このような書物は多数販売されていますが、この本ほどキャッシュ・フローから簡潔明瞭に会社の実情を要約し、損益計算書や貸借対照表との関連を説明している本はないように思います。

「キャッシュ・フローなら理解できる!(キャッシュ・フローを起点にして会計を学びたい)」、「キャッシュ・フローと損益計算書や貸借対照表の関係を深く知りたい!」という人にはおすすめです。

損益計算書、貸借対照表、そして現金

2008-03-31 10:54:01 | 最近売れている本など



利益が出ているのに、その分の現金が増えていない?

決算書(損益計算書と貸借対照表)を見て多くの人が抱く疑問です。

この疑問を明解に説明しているのがこの本です。
著者(東北大学工学部卒業後神戸製鋼に入社)はエンジニアらしく、この疑問をあたかも製造工程に投じられた原料が様々な加工を経て完成品となるプロセスと同じように大変緻密に説明しています。(統一した事例で一歩一歩説明しています。)
さらに、この本の特徴はこのプロセスのすべてを現金の変動、つまりキャッシュ・フロー計算書に関連付けることにより説明しているということです。

この本では従来の簿記会計の書物にはない画期的な説明をしていますが、ただ一つ残念なことは「読者層を絞り込めていない」ということです。(従来の簿記会計の書物でもそうなのですが・・・)
キャッシュ・フロー計算書はどちらかというと上場企業でのみ作成されており、中小企業や簿記会計の初学者には馴染みがありませんが、この本では終始キャッシュ・フロー計算書が登場します。キャッシュ・フロー計算書よりも、「現金+預金勘定」のほうが理解しやすいのではないかと思います。今後、この本の続編に期待したいです。

「利益の質」を見極めるテクニックを紹介した本

2008-03-28 10:01:45 | 最近売れている本など



もっと早くこの本が発売されていればライブドア事件などの粉飾決算事件は起きていなかったかもしれません。
何よりもこの本を読まなければならないのは上場企業の経営者です。要するに、目先の業績をよく見せかけるために安直な会計処理をしても世間の眼はごまかせないということを知っておく必要があるということです。
ひょっとして、密かにこの本を読んで怯えている経営者もいるかもしれません(笑)。

「決算書の読み方」などの本は多数発売されていますが、この本のように利益を中心とした決算数値が算出される仕組みを、企業が選択する会計処理(たった一行の仕訳とその数字)次第で変わってくることを具体的に説明している本はあまりないように思います。

本のタイトルに「ダメ株を見破る投資のルール」とあるように、この本は上場企業の株に投資する人を対象としています。しかし、それにとどまらず、より深く決算数値の舞台裏(経営者のプライドや苦悩、企業が永続することの難しさなど)を知りたい人は是非とも読むべき本です。

なお、読む人によっては、この本が「粉飾決算の指南書」であると感じるかもしれません。しかし、随所で「粉飾決算の愚かさ」や「決算数値のみを追求する経営の限界(決算数値のみで企業を判断することの危険性)」が力説されています。
ですから、この本の「うわべ」だけを読むのではなく、「じっくり」と読んでもらいたいと思います。

今後、この本の類書が続々と発売されることを期待したいです。そして、人々が目先の決算数値に一喜一憂するのではなく、真に存在価値のある企業を応援し、その企業が存続発展し社会を牽引していくようになることを切に願います。

上場企業が多すぎるのでは?

2008-03-21 11:29:45 | 最近売れている本など



会社四季報、分厚いですね。
それにしても、日本のような小さな国にこれだけの上場企業が本当に必要なのか疑問に思います。
「貯蓄から投資」を推進するのならば、上場企業をもっと少数の超優良企業に絞り込み、そこへ安心して集中投資ができる環境を整えるほうが効率的ではないでしょうか。

4月から内部統制報告と四半期決算が制度としてスタートします。上場企業にとっては大幅に事務手数が増大するということになり、このハードルを越えるために四苦八苦している企業もあるとのことです。
一部の企業は制度の緩和を要望している模様ですが、上場企業ならばこれらが制度化されていなくてもこの程度の能力は当然のこととして備わっていなければなりません。

今後、株式市場から自主的に退場する企業が増えるかもしれません・・・