先日の世界的な株価暴落以降、1990年代を彷彿させるような出来事が随所で起きています。あの当時もこのような借金整理のノウハウ本が書店をにぎわしました。今後、再びこの手の本が脚光を浴びるのかもしれません。
この本の表題に「会計士・税理士では手に負えない・・・」とありますが、そもそも会社再生=借金の整理(?)は公認会計士や税理士の仕事ではありません。公認会計士や税理士にできることといえば、会社の決算書(試算表)から、会社の返済能力を計算する程度です(毎月あるいは年間にどれだけ返済できるか)。しかし、これにしても「将来予想」が伴うことから、現状の決算書(試算表)だけではどうにもなりません。
借金の返済を先送りすることは可能かもしれません。つまり、現状の収入や手持ち資金で返せないからといって、直ちに自宅を売却する、ましてや自殺する必要などありません。借金整理のノウハウ本はここまでを解説していることが通常です。要するに、借金整理のノウハウ本は借金が返せないことを罪悪視している人の過度の緊張を解きほぐすという役割を果たしているということです。
しかし、返さずに、借金を減らす、場合によってはゼロにする方法は民事再生や破産などの正式な法的手続以外にないということは1990年代に我々が得た貴重な教訓です。1990年代にこの手の本を読みあさっていた人たちの中には、ほとんど借金が減らないまま年老いて、今では無職・無収入(わずかな年金収入)という人も多いです(結局、死ぬまで借金は無くならない)。