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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

Windows8と弥生会計(実用上問題ないが一部機能の制限も)

2012-10-04 12:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
Windows8が今月26日に発売されます。あまり前評判はよくないようで、不発に終わったWindowsVistaの二の舞になるとの声もあるようです。しかし、OSの進化と栄枯盛衰の影響は否応なしにソフトメーカーとユーザーに押し寄せてきますので、新しいOSの登場に無関心ではいられません。

現時点での弥生会計の最新バージョンである「12」は、Windows8でも「入力」「分類」「集計」「印刷」という財務会計ソフトの基本機能に支障はないことから、実用上は問題なく使用できるようです。しかし、「PDFへの出力」「メール送信(Windows8標準メールでは)」はできず、これらを必須機能としているユーザーは、Windows8への移行を今しばらく待たなければなりません。

なお、弥生会計の次期バージョンである「13」でも、「12」における機能の制限の全ては改善されないようです。詳しくは下記の弥生株式会社のサイトご覧ください。

「弥生製品のWindows 8 / Windows Server 2012対応状況について」
http://www.yayoi-kk.co.jp/news/20120831_2.html

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★Windows8は見送るのが賢明か?

Windows8はタブレットでの利用を前提としたOSとされていますが、タブレット市場では「アップルのiPad」と「GoogleのAndroid」が大部分のシェアを占めているので、マイクロソフトが参入する余地はないと思います。

Windows8のような「PC用か?」「タブレット用か?」がはっきりしない中途半端なOSでは、いずれはユーザーからそっぽを向かれるのではないでしょうか?


資本金がなくなれば会社の活動が法的に認められなくなる

2012-09-18 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
資本金に関する相談は尽きることがありませんが、一番深刻な(?)相談はこれです。しかし、心配はご無用です!

資本金とは株主から会社に出資された金額のことです。設立時の金銭(現金あるいは預金)による出資の場合、当初は出資相当額、例えば500万円の金銭が存在します。しかし、この500万円を使い果たしてしまうこともあります。このような状態になると会社の活動が法的(会社法)に認められなくなるのではと考える人が少なからずいます。

●資本金は出資されたという「過去の出来事」でしかありません
●法的に資本金相当額の金銭を保有しなければならないという「義務」はありません

このことを理解してください。

★資本金を使い果たしても会社がつぶれない理由

様々なことが考えられますが、次のようなケースが考えられます。

○出資相当額の現金が他の資産に姿を変えている
例えば、売掛金(販売代金の未回収部分)、有価証券や土地などの投資資産です。資産は一定時点でとらえますので、一定時点では現金はなくても、時の経過により現金が増えることもあります。売掛金ならば回収により、投資資産ならば売却により「現金化」されます。

○借入金で資金を調達
会社が資金調達する方法は、株主からの出資(資本金)と金融機関などからの融資(借入金)という2つの方法があります。資本金で足りなければ借入金で調達すればよいのです。

★しかし、資本金相当額の財産を維持することは非常に大切です(引退するとき=会社を清算するとき悲しいですよ!)

会社の財産は「資産‐負債」として計算されます。資産は現金に換えることができます。負債はその現金から支払います。そうして残るのが会社の財産です。

会社を清算するとき、この財産は株主に払い戻されます(残余財産として分配されます)。株主の出資額が500万円で、払い戻された財産(現金)が600万円ならば、株主にとってこの「投資」は成功であったといえます。500万円が600万円に増えたからです(途中で配当があったとすればもっと儲かったことになります)。

いかがですか?

「資本金」「資産」「負債」「財産」「現金」の意味、自身(会社代表兼株主)がどのように対応していくべきかが見えてきたのではないでしょうか?

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●純資産
貸借対照表をご覧いただくと「純資産の部」というのがあると思います。この合計額は、「資産の部」と「負債の部」の合計額の差額にほかなりません。また、純資産の部には株主が出資した資本金の額が記載されています。純資産の部は資本金に創業来の利益(損失)を加算(減算)した金額になります。

●赤字(収益‐費用=利益がマイナス)になると活動ができなくなる
これも資本金と同じく、そんな心配は無用です。ただし、赤字の結果としての資金不足を補うことができなければなりません(増資や金融機関などからの融資)。

取引先に資金援助する場合の経理処理

2012-08-30 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
取引先(得意先、仕入先など)に資金援助をする方法と経理処理には次のようなものがあります。

■資金を貸し付ける

典型的な方法です。仕訳はいうまでもありません。

≪借方≫貸付金≪貸方≫現金あるいは預金
≪借方≫現金あるいは預金≪貸方≫受取利息

契約書を作成し利率や返済期限を明確にしておく必要があります。

■仕入代金を先払いする

単純に先払いする方法と仕入単価を普段よりも高くする(いずれは安くする)方法があります。

(先払いする場合)
≪借方≫前渡金(実質的には貸付金)≪貸方≫現金あるいは預金
≪借方≫仕入≪貸方≫前渡金→商品が到着した時点(サービスの提供を受けた時点)

(請求単価を高くする場合)
≪借方≫仕入≪貸方≫買掛金

■販売代金の支払いを猶予する

特別な処理は必要ありません。なお、支払猶予の結果として今までよりも売掛金残高が増えます。

■土地・建物などの資産を買い取る

仕訳は通常の資産購入の場合と同じです。

■土地・建物を無償で貸す

よくある方法です。仕訳が生じないことはいうまでもありません。ただし、水道光熱費の実費程度を受け取っている場合にはその処理が必要となります(雑収入で受け入れる)。

■融資の際の保証人になる、資産を担保提供する

このこと自体では仕訳は生じません。しかし、相手に見返りを要求する場合(手数料などの支払い)それについての仕訳が必要となります。

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★銀行融資で得た資金の又貸し(これは禁じ手です!)

「ウチなら借りられるので、ウチで借りて貸してやるよ!」はいけないのです。又貸しは契約上も禁止されていると思います。また、又貸しをした形跡は決算書に明瞭に残ります。

★税務上の扱いに注意!

これは税務の素人には不可解で憤慨することですが、取引先の援助に対して思いもよらない課税がされる場合もあるのです。例えば、低金利あるいは無利息での資金の貸付は、通常の利息との差額を利益に加算して申告することになります(?)。

◆取引先に資金援助をする場合には事前に税理士に十分相談してください!

取引先から資金援助を受けた場合の経理処理

2012-08-28 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
取引先(金融機関を除く、以下同じ)から資金援助を受ける場合があります。資金を借りるのが典型的な方法ですが、次のような方法で実質的に資金提供を受けたのと同じ効果にする場合があります。

■代金を先払いしてもらう

単純に代金の先払いをしてもらう場合もあれば、請求額を普段よりも高く(いずれは安くなる)してもらうという方法もあり、それぞれで仕訳が異なります。

(先請求の場合)
≪借方≫現金あるいは預金≪貸方≫前受金(実質的には借入金)
≪借方≫前受金≪貸方≫売上→商品を渡した(サービスを提供した)時点

(請求額を高くする場合)
≪借方≫売掛金≪貸方≫売上→通常の販売の仕訳と同じ

■仕入代金の支払いを遅らしてもらう

特別な処理は必要ありません。なお、支払遅延の結果として今までよりも買掛金残高が増えます。

■所有する土地・建物などの資産を買い取ってもらう

仕訳は通常の資産売却の場合と同じです。

■土地・建物を無償で貸してもらう

よくある方法です。仕訳が生じないことはいうまでもありません。ただし、水道光熱費の実費程度を支払っている場合にはその処理が必要となります。

■融資の際の保証人になってもらう、資産を担保提供してもらう

このこと自体では仕訳は生じません。しかし、相手が見返りを要求してくる場合(手数料などの支払い)それについての仕訳が必要となります。

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★資金援助を受けていることは決算書に「それとなく」表れます

見る人が見ればそういうものなのです。そして、「いつまで援助してもらえるのか?」「援助している人(会社)は?」と考えるのです。

利益と現金の関係

2012-08-21 17:45:00 | 起業(会社設立など)と経営
簿記会計が専門外の人が抱く疑問です。「利益=現金」あるいは「現金が増えた分が利益」と考えるのですが、利益はこれとかけ離れています。

利益とは「収益-費用」であり、収益には入金がないもの、費用には出金がないものも含まれます。ですから、利益は現金の残高は当然として、現金の増加である「入金-出金」とも一致しないのです。

★利益と現金は調整すれば一致します

利益に下記をプラス・マイナスすればよいのです。その結果は「現金が増えた額」になります。なお、ここでの現金は「紙幣」「硬貨」「預金」です。また、この計算は事業年度や月などの「一定期間」で行います。

(プラス)
出金のない費用(利益の計算ではマイナスされていた)→買掛金、未払金、減価償却費など
収益とは無関係の入金→借入金の増加、資本金の増加など

(マイナス)
入金のない収益(利益の計算ではプラスされていた)→売掛金、未収金など
費用とは無関係の出金→借入金の返済(元本部分)、固定資産(土地、建物など)の購入など

現実の調整計算は相当複雑ですが、簿記会計に精通した人であれば貸借対照表(利益の計算期間の初めと終わりの分)と損益計算書があれば簡単に計算できます。しかし、この調整計算をしなくても、利益と現金の調整計算は必ず正しいのでこの計算をすることありません。