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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

事業用資産の売却(処分)と税金【会社の場合】

2013-06-01 15:01:00 | 起業(会社設立など)と経営
事業用資産(土地建物、設備、有価証券、生命保険など)を売却(処分)した場合の税金について知らなかったために、売却(処分)で得た資金の全額を計画どおりに使うことができなくなり、資金不足から計画変更を余儀なくされることがあります。

【利益に与える影響】

会社の利益は「収益-費用」として計算しますが、事業用資産の売却(処分)をすることはそんなにありませんので、通常は「収益は売上代金」「費用は仕入代金や諸経費」ということになります。事業用資産を売却(処分)した場合には、これに売却(処分)に関する利益あるいは損失をプラス・マイナスすることになります。まずは、この点を十分に認識してください。

通常時は(事業用資産の売却(処分)がない事業年度には)慢性的に赤字であっても、事業用資産の売却(処分)をした事業年度には多額の利益が計上されることもあるのです。当然、反対のケースもあります。

■土地建物の売却(建物については減価償却累計額と消費税に注意)
土地については「売却価額-購入価額」として利益が計算されます。難しいのは建物です。「売却価額-(購入価額-減価償却累計額)」として計算します。減価償却累計額とは建物の購入価額を減価償却費として費用処理した額の合計です。建物については消費税も課税されます。課税されるのは売却価額です。

■有価証券(株式など)の売却
「売却価額-有価証券の帳簿価額(通常は購入価額)」が利益です。消費税は課税されません。

■定期預金の解約
定期預金は元本保証ですので、解約しても元本が返金されるだけで利益も損失も生じません。また、消費税の問題はありません。ただし、解約に際して精算する利息に関しては利益となります(利息に消費税は課税されません)。

■生命・損害保険の解約
生命・損害保険によっては解約時に返戻金が生じる場合があります。この場合の利益は、「返戻金-保険料の内決算書に『資産計上』した額」となります。返戻金に相当する保険料部分については預貯金と同じと考え資産計上をするのです(費用処理しないのです)。

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★処分した資産とその資産を購入するための借入金
事業用資産の売却(処分)によって得た資金をその資産を購入するための借入金の返済に充当することがあります。この場合、資金繰りを「売却(処分)-返済する借入金」として考えてしまいますが、「売却(処分)-売却(処分)に関する税金-返済する借入金」として考えなければなりません。税金によって返済できる額が変わってくるのです。

どれだけの現金・預金を保有していればよいのか?

2013-06-01 15:00:30 | 起業(会社設立など)と経営
いつでも使うことができる現金・預金は多いほどよいのはいうまでもありません。一般的には翌月の運転資金(仕入代金・従業員の給料・家賃や水道光熱費などの諸経費の支払い)に困ることがなければよいとされています。いわゆる自転車操業になってはいけないのです。

●資本金との関連
「資本金相当額の現金・預金を保有しなければならない」と考えている人が多いですが、そんなことはありません。資本金は投資して利益を乗せて回収しなければならないのです。会社というのは常に「投資の途上」にありますので、資本金として出資された現金・預金は投資した資産(在庫や設備)や投資を回収する過程の資産(売上債権)に変化しているのです。

●現金・預金を増やす方法(税金に注意!)
「出資(資本金)」「借りる(借入金)」「遊休(余裕)資産の売却」などがありますが、やはり基本は「本業の収益-費用」です。なお、現金・預金を増やす過程で法人税や消費税の課税が生じることがありますので注意が必要です。

●現金・預金と税金
「現金・預金」を多く保有していると税金が課税されると考えている人が多いです。わが国の税制で「現金・預金そのもの」に課税するという税はありません。「預金から生じる利息」「現金・預金が増える原因としての利益」には課税されますが、これらの税金を差し引いた結果としての「現金・預金」には課税しないのです。

どれだけ利益を出せばよいのか?

2013-06-01 15:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
利益は多ければ多いほどよいのはいうまでもありません。しかし、そうはいきませんので一定額の利益を目標と定めて活動しなければなりません。

★損益分岐点

この件については損益分岐点というのが一般的な説明です。要するに、どれだけの売上があれば固定的なコストを賄えるかということです。どれだけの売上があれば、従業員の給料、家賃、水道光熱費などが支払え、さらには自身(経営者)に必要な取り分を得られるかです。このことが分かっていれば十分かもしれませんが、決算書や利益に関して今一歩踏み込んで理解しておくことも必要です。

★利益は期間ごとに計算する(数期間の利益を検討してみる)

案外忘れがちなのは、利益は事業年度という期間ごとに計算するということです。事業によっては一事業年度(通常は一年)では成果が出ない場合もあります。また、事業年度ごとの利益のばらつきが激しい場合もあります。このような場合には数期間の決算書や利益を比較して検討してみる必要があります。

★利益と収支の違い(しかし、長期的に両者は一致する)

利益と収支は違います。利益とは「収益-費用」ですが、この収益と費用は入出金に前後して把握されることがあります。一方、収支は「入金-出金」ですので、利益と収支はほとんどの場合には一致しません。しかし、利益と収支は長期的、つまり創業から廃業までを通算すれば一致します。

利益は多額に計上されているのに収支が苦しいケースの典型は、自社ビルを新築した場合です。建物(自社ビル)を取得したとしても、その取得価額全額が取得した事業年度の費用にはならないからです(減価償却という手続を経て将来の複数の事業年度で費用になります)。また、ビル建設用地の土地は減価償却をしませんので、土地購入代金という支出はあっても費用にはなりません。

利益は少ない(場合によっては損失となっている)のに収支がよいケースとしては、遊休資産(例えば、使用していない倉庫や駐車場など)を損して、つまり帳簿に記録されている金額以下で売却した場合です。

★利益に対する税金

忘れてはならないのは利益には法人税が課税されるということです。また、法人税の計算は単純に「利益×法人税率」とはいかない場合もあります。

税理士のいない会社の経理担当者

2012-11-08 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
税理士のいない会社もあります。特に財務会計ソフトが普及してからこの傾向が強くなっています。「会社の税務申告は税理士に依頼するのが常識(経理担当者は税務申告書を作成してはいけない)」と考える人も多いのですが、税理士に依頼するかしないかは、あくまでも社長が決めることなのです。

●経理担当者だけで経理業務を完結させたい(税理士なしで税務申告までを済ませたい)
「経理担当者を雇い、さらに税理士に依頼するのは費用の無駄」と考える社長もいます。「税務申告は専門的なので税理士でなければ」「経理担当者と税理士が連携して」「税理士という第三者の意見も必要」を理解してくれないのです。

●社長の思いのままに税務申告をしたい
税理士という専門家のアドバイスを受け入れない社長もいます。社長の命令に絶対服従する従業員(経理担当者)のほうが都合がよいのです。「法律のとおりにやっていたら(税理士は綺麗事しかいわない)」とか「可能性に賭けてみる」と考える社長もいるのです。

●税理士に不信感を抱いている
何らかの原因で税理士に対して不信感を抱いている社長も多いです。

【経理担当者としては気が重い】
そうでしょうね。
「俺(社長)のいうとおりにやれ!税務署とは俺が話を付ける」ならばいいかもしれません。しかし、そうでない場合には「転職」を考えるしかありません。いずれは「クビ」になるのですから・・・

税理士が経理担当者の指導をしてくれない

2012-11-06 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
このような不満をいう経理担当者がいます。しかし、このことをもって直ちにその税理士が真面目に仕事をしていないと決めつけるのは早計です。税理士と会社の関係は一律ではなく、個々の状況によって異なってくるからです。

●税理士は社長個人の利益を最大化するために意思決定する
中小零細企業の場合はそうです。税理士は、「会社の利益」「社長の所得」「会社の資産」「社長個人の資産」が税負担を考慮した後にトータルで最大化するような策を講じるのです。税理士の「依頼者は社長」なのです。税理士は社長にサービスを提供するのです。

●税理士には守秘義務がある
税理士の依頼者は社長ですので、税理士は社長に関しての秘密を漏らしてはいけません。当然、経理担当者に対しても社長の秘密を教えてはいけないのです。だから、税理士は経理担当者と一定の距離を保つものなのです。

●経理担当者の指導も税理士の重要な業務
会社の税務申告を依頼されている税理士ならば、経理担当者と無関係というわけにはいきません。大なり小なり経理担当者との接触が必要です。しかし、税理士がどの程度経理担当者と関わるかはケースバイケースですので、特に転職してきた経理担当者の方は「郷に入りては郷に従う」と肝に銘じてください。

【大規模な会社の税理士と経理担当者の関係】
大規模な会社(上場企業など)の税理士は経理担当者の作成した帳簿と決算書に基づいて税務申告書を作成する(税に関する専門的判断をする)だけで精一杯です。規模が大きいと個々の仕訳まで目を通していられません。大規模な会社の経理担当者には、税理士が必要とする資料を作成できる能力が要求されるのです。「わからないことは税理士さんに教えてもらう」では務まらないのです。