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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

会社を設立すれば関係してくる役所(指示待ちではいけません!)

2013-09-11 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社を設立すれば、少なくとも次の役所と関係しなければなりません。その関係は「受け身」ではだめで自らの義務を自身で認識し、役所の指示を待つまでもなく行動しなければなりません。「知らなかった」とか「何も教えてくれなかった(連絡がなかった)」は通用しないのです。

■法務局
法務局は会社設立手続だけに関する役所であると思っている人が多いです。法務局は会社という存在を登記によって管理し公示する(会社に関する一定の情報を公開する)役所なのです。会社の登記は、人でいう「戸籍」や「住民票」に相当するのです。会社の設立後、「社名」「所在地」「代表者」などの登記事項に変動が生じた場合にはその旨の登記をしなければなりません。

■税務署
「儲かるようになれば税務署のほうから寄ってくるので、それまでは放っておけばよい」ではいけません。会社を設立すれば税務署に設立届その他を提出し、第1事業年度が終了すれば2か月以内に法人税の申告をしなければなりません。この申告は納税額の有無にかかわらずしなければなりません。

■都道府県税事務所と市町村税務関連部署
「税金の窓口は税務署のみ」ではありません。税務署は国税に関する役所です。会社の税金は国、都道府県、市町村の3か所から課税されます。いずれも、申告納税制ですので役所の指示を待たずして申告と納税をしなければなりません(申告に先立って設立届を提出しておく必要があります)。

■年金事務所
会社は健康保険と厚生年金に加入しなければなりません。社長一人の会社でも加入しなければなりません。その手続をするのが年金事務所です。

■ハローワーク(公共職業安定所)
従業員を雇用すれば労働保険に加入しなければなりません。労災と失業に備えるためです。その手続をするのがハローワークです。

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★「サラリーマン根性」を捨ててください!
会社を設立したならば直ちに「サラリーマン根性」を捨てなければなりません。もう、サラリーマンのように「責任転嫁」をして「要領よく」という生き方はできないのです。

会社として登記されているということ(設立後も法務局との関係は続く)

2013-08-28 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
会社を設立しておきながら会社が「法務局」で登記されているということを理解していない人がいます。法務局は会社設立手続だけに関する役所であると思っている人が多いです。法務局は会社という存在を管理する役所なのです。会社の登記は、人でいう「戸籍」や「住民票」に相当するのです。

会社は法務局という「役所」で「法律に従って」登記しなければ成立しません。「自称会社」とか「○○会(民間団体)が認定した会社」はあり得ないのです。会社というからには法務局が管理している「登記簿」に登録されていなければならないのです。

■登記制度の目的は取引先の保護
会社の「名称(商号)」「所在地」「目的(事業内容)」「代表者」「資本金」などを登記によって公表するのは(登記簿は誰でも見ることができます)、会社と取引をする者に一定の情報を判断材料として提供することにより取引先の保護を図るためです。

■設立後も必要な登記
上記のとおり、会社制度が取引先の保護を目的としているかことから、登記している内容に変動が生じた場合にはその変動内容を登記しなければなりません。これは「義務」です。「名称(商号)」「所在地」「目的(事業内容)」「代表者」「資本金」などが変わった場合は登記をしなければならないのです。「設立登記が済み、会社として活動できるようになったので、もう法務局とは関係ない」は間違いということです。

■会社の登記事項は誰でも知ることができる(適時に適切な登記をしていなければ信用されない)
このことを知らない人が非常に多いです。法務局で一定の手数料を支払えば誰でも登記の内容を知ることができます。また、法務局は登記の内容を「登記事項証明書(登記簿謄本)」という書面にしてくれます(誰でも入手できる)。登記は、個人情報(戸籍や住民票)のように保護の対象ではなく、「公示」するための制度なのです。「登記されている所在地と実際の所在地が違う?」「登記されている代表者は三年前に死んでいるぞ!」では信用されません。

■設立後の登記にも費用が必要
設立後の登記にも費用が必要です。もったいないかもしれませんが、会社としての信用を維持するためのコストなのです。何とか捻出してください。

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★登記をしなかった場合の「過料」
会社法「第915条第1項」と「第976条第1項第1号」をご覧ください。

★税理士が登記をしてくれる?
このように思っている人が少なからずいますが、税理士は登記に関する手続をすることができません。登記は「司法書士」の仕事です。税理士が登記手続をすれば司法書士法違反(逮捕)です。

★法務省サイト
http://www.moj.go.jp/MINJI/houjintouki.html

「名目社長」への就任を依頼された(断るべきか?)

2013-08-26 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
ここでの「名目社長」とは、第三者から見て「なぜ、この人が社長なの?」とか「どうぜ、この人は社長とはいっても権限はないんだろう」と思える立場の人をいいます。しかし、その人が法律的には代表取締役として法務局で登記されています。

■取引上の都合

名目社長を立てるのは取引上の都合です。中小零細企業の場合には「会社=社長」ですので、別の会社であっても社長が同じであれば実質的には同一の会社という扱いになってしまいます。

「せっかく、もうひとつ別に会社を設立したのに・・・」ということになってしまう場合に名目社長を立てるのです。

■実質社長の経歴を隠す

これも取引上の都合ですが明らかに悪意を含んでいます。実質社長の過去の失敗(破産や不祥事など)を隠すためだからです。世の中には「こんなことをしてしまった人は・・・」というルールがあります。それを破るわけですから世間は認めてくれません。陰に隠れても、知る人は知っています。

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★名目社長は悪か?(サラリーマン社長との違い)
「権限もなく」「会社の内容も知らない」名目社長は悪です。取引先を欺いているからです。しかし、出資はしていない、いわゆる「サラリーマン社長」は問題ではありません。中小零細企業の場合には「社長=大株主」が普通ですのでサラリーマン社長では取引先に不可解な印象を与えてしまいます。大切なことは、サラリーマン社長であることの合理性です。非常に難しいでしょうが・・・

★名目社長への就任を依頼された場合は?
断るのが賢明です。せいぜい、平取締役にしておくべきです。

個人事業者の取り分

2013-06-19 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
■個人事業者の取り分は1年が終わらなければ計算できません

個人事業者の事業所得は「収入-必要経費」として計算されます。しかし、個人事業者はこの額をサラリーマンの「給料のように」受け取るわけではありません。「収入-必要経費=事業所得」という計算は、税金(所得税)の計算期間である1年(暦年)が終了した後の結果としての計算であり、個人事業者が1年を通して事業の儲けの中から手にした現金の合計ではないからです。

■個人事業者はいつでも事業用資金から生活費を引き出せます

個人事業者は事業資金の中から、「必要に応じて」生活費を引き出すことができます。これは、会社経営者が役員報酬(役員給与)として「毎月一定額しか」引き出せないのと対照的で非常に自由です。個人事業者の場合、事業用資金から生活費を引き出したとしても、それは同一人の中での資金の動きであるので、課税関係や権利義務関係が一切生じないのです。一方、会社の場合には会社の支配者である株主兼代表者といえども、会社から代表者の個人的な資金を引き出すと課税関係や権利義務関係が生じるのです。

■個人事業者には予期せぬ出費(税金や健康・年金保険料)が生じます

会社経営者の取り分は役員報酬で、毎月これを受け取る際に税金や健康・年金保険料も天引きされているので、受け取ったお金を自由に使うことができます。これに対して個人事業者は、事業資金から必要に応じて引き出した額の中から、後になって税金や健康・年金保険料を支払わなければなりません。事業資金から引き出したお金を使ってしまっている場合には大変です。

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★会社経営者のほうが資金の管理がしやすい
会社経営者のほうが会社の資金から毎月一定額の役員報酬を引出して生活費はそれで賄い、会社の資金は事業用資金として明確にして管理をすることが可能です。しかし、個人事業者は「どんぶり勘定」になってしまいます。このあたりが、個人事業者よりも会社経営者のほうが事業を発展させている理由のひとつです。個人事業者は明確な金銭的指標がなく資金繰りに追われる傾向にあります。

中小企業経営者の取り分(会社の場合)

2013-06-17 17:00:00 | 起業(会社設立など)と経営
「取り分」といえば少し下品な表現かもしれませんが、要するにある人が自由に使うことのできる収入や所得のことをいいます。「自由に使える」とは税金や公的保険料をすべて支払った残りという意味です。自分のためだけに使えるお金のことです。

なお、ここでの中小企業経営者とは株主(出資者)兼経営者(代表取締役)で、自分の意思で会社を設立し、会社を清算する(消滅させる)のも自分の意思でできる立場の人をいいます。

■役員報酬(役員給与)
企業経営者といえども会社に雇われているのですから、従業員と同じように給料をもらいます。これを役員報酬(役員給与)といいます。役員報酬からは税金(所得税と住民税)と社会保険料(健康保険と年金)が天引きされます。また、役員報酬は従業員の給料と同じように企業の費用として処理されます。

■会社の金銭
「会社は誰のものか?」という議論がされることがあります。中小零細会社(代表取締役が全株式を保有している)の場合には、その善悪や法律上の扱い(特に税金の扱い)は別にすれば、社長(代表取締役)が会社の金銭を自由に動かすことができます。

■保有する株式
株式の保有者である株主の権利は、会社経営に参加する権利(株主総会で取締役の選任をするなどの重大な意思決定を行うことができる)と配当(利益の分配)を受ける権利があります。中小企業経営者の取り分に関するのは配当です。配当を受け取る際には税金を天引きされますが、天引きされた後の分は役員報酬と同じく自由に使うことができます。

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★自由に使えるお金は役員報酬および配当として会社から引き出した分だけです

ご理解いただけると思います。中小企業経営者は会社の金銭を自由に動かせることから、つい、個人的な費用(本来は役員報酬の中から支払うべき費用)を会社の金銭で支払いがちです。しかし、そのような支出は費用ではなく「貸付金」ですので返済しなければなりません。

会社の金銭は事業のために投資し会社の利益水準を高めて、自身の取り分である役員報酬と配当を増やすことが大切なのです。そうして得た取り分は誰に遠慮することなく自由に使えます。