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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

生命保険料控除証明書の様式は各社で統一してほしい!

2015-12-13 10:00:00 | 源泉徴収と年末調整
人間、忙しいとか、上手くいかないとろくなことを考えません。

毎年、年末調整の時期に馬鹿馬鹿しく思うのは、生命保険料控除額の計算です。膨大な資料と格闘した結果、「税額への影響はゼロ」ということも珍しくはないからです。

それにしても煩わしいのは、控除証明書の様式が保険会社によって違うということです。内容は同じであるのに「様式」「サイズ」「色」「デザイン」の異なる書類を見ているととても疲れます。

保険料控除証明書は全ての保険会社で統一した様式にしてほしいです。また、年度によって用紙か文字の色を変えてほしいです。というのは、まれに前年以前の証明書を添付する人がいるからです(笑)。さらに欲をいえば、控除額の限度を超えている人については、限度内までの枚数の証明書のみを発行するようにしてほしいです。そうすれば、余分な証明書を投げ付ける人がいなくなります。

しかし、無理でしょう。保険会社は税務署や税理士のために証明書を発行しているのではありません。大切な、大切な「契約者様」のために発行しているのです。税務署や税理士のことなど眼中にありません。もし、税理士会が控除証明書についての要望をしようものなら、「また、税理士が我田引水の主張をしている!」と笑われるだけです。

あきらめます。年々仕事も減っていますし、この先、そんなに長くこの仕事をするわけでもありませんので我慢します。

年末調整って、何をするの?

2015-12-03 11:30:00 | 源泉徴収と年末調整
今年もいよいよ年末調整が始まりました。年末調整の担当者の方は、続々と回収されてくる扶養控除等申告書と保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書にため息をつかれていることでしょう。特に年末調整の作業を初めてする方は、個々の作業の目的や意味が理解できずに右往左往してしまうものです。

■年末調整は個々の従業員の税金を会社が計算する
これが大前提です。源泉徴収した税金を納めるのも年末調整の作業をするのも会社ですが、計算の対象は個々の従業員です。「自分(従業員)の税金は自分で計算してほしい!(計算したい!)」と思えるでしょうが、従業員の税金を計算するのは会社なのです。従業員が計算して会社や会社に報告するのではありません。この仕組みは我が国の税制の基幹のひとつですのでこれに逆らうことはできません。

■年末調整では国税(所得税)を計算する
サラリーマンの給料や賞与には国税と地方税が課税されますが、年末調整の対象になるのは国税である所得税です。地方税の計算は、会社からの年末調整の結果報告を受けた各従業員の住所地の市町村が行います。国税である所得税と地方税である住民税は計算プロセスの多くが共通しているので、市町村は年末調整の結果から計算することができるのです。

■年末調整をしなければ従業員の税額は確定しない(源泉徴収額との精算)
従業員の税額は年末調整をしなければ確定しません。給料や賞与を支払う都度に源泉徴収している税額は仮の税額にすぎません。その仮の税額を精算するのが年末調整です。

■税額は1年単位で計算される
給料や賞与に課税される所得税は暦年という1年間を単位に計算されます(1年間の合計額に課税されます)。ですから、1年が終了する年末にならなければ税額を確定することができないのです。

■給与台帳の整備が年末調整の第一歩
年末調整といえば「扶養控除等申告書」「保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書」、つまり所得控除(配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除など)に目を奪われがちですが、最初に必要となるのは給与台帳です。給与台帳とは各従業員に支払った給料と賞与の記録です。給料と賞与を支払った都度記録し、最終的には年額(1月から12月)を集計しなければなりません。

■給与計算ソフトを活用する
給与計算ソフトは給料や賞与の手取り額の計算や明細書の発行だけでなく年末調整作業もできます。従業員数が多く、さらに毎月の給料が変動する者が多い場合には是非とも給与計算ソフトを活用すべきです。ただし、給与計算ソフトは毎年バージョンアップをしなければ使い物になりません。バージョンアップの料金は年間数万円であることが多く、従業員数が少ない会社には負担が大きいです。

■会社全体での集計
年末調整作業は基本的には個々の従業員の税額の計算作業ですが、源泉所得税の納付書や法定調書合計表など、会社全体としての給料や税額を集計しなければならないこともあります。

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★個々人の税額計算は年内の最終給料日までにしなければならない
これがつらいところです。年内最後の給料を支払う際に、各従業員の最終的な年税額を計算して、それまでの給料や賞与から源泉徴収してきた税額との差額を精算しなければならないのです。「給与台帳」なんてあるのが当たり前です。「源泉徴収した税額の納付」「給与支払報告書(市町村への報告)」「法定調書合計表(税務署への年末調整の結果を要約した報告)」なんて考えている余裕などありません。回収した扶養控除等申告書と保険料控除申告書兼配偶者特別控除申告書とその添付書類に食らいつく毎日です。

「平成27年分年末調整がよくわかるページ」

2015-11-22 20:30:00 | 源泉徴収と年末調整
nta.go.jp

国税庁のサイトにこんな便利なページがあります。国税庁のサイトで公表されている年末調整に関する情報のリンク集です。税に関する情報で信頼性があるものは国税庁が発信する情報だけであるといっても過言ではありません。しかし、国税庁が発信する情報の中から自身が知りたいことを探し出すのは容易ではありません。だから、このようなページが必要なのです。


「マイナンバー制度が始まります」【年末調整担当者は必読】

2015-11-08 11:30:00 | 源泉徴収と年末調整
平成27年10月からマイナンバーの通知、平成28年1月からマイナンバーの利用が開始されます。国民のマイナンバーに対する関心が高まっています。戸惑いも生じています。年末調整の担当者は、間もなく始まる今回の年末調整で従業員からマイナンバーの件を質問されることでしょう。

国税庁が非常にわかりやすいパンフレットを配布しています。国税庁のサイトから入手することもできます。ご一読をおすすめいたします。

★源泉徴収事務・法定調書作成事務における社会保障・税番号制度の概要(マイナンバー制度が始まります

「従業員から個人番号の提供を受ける場合の本人確認」
「提供を受けた個人番号の利用・保管・廃棄」

担当者によっては個人番号を扱うことに「恐怖」を抱いている人もいます。このような厳格な手続は法令を順守しなければなりません。そうでなければ免責されません。ですから、権威のある情報を入手・利用しなければならないのです。

年末調整の手順

2015-10-21 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
国税庁サイトの「年末調整のしかた」も更新され、今年もいよいよ年末調整の時期がやってまいりました。年末調整は、わずかな期間に全従業員分の税額を計算するという大変過酷な事務作業です。また、この作業は作業担当者の努力と能力だけで完結することはできず、年末調整の対象となる従業員の理解と協力を欠かすことができません。

あらゆる仕事には合理的な計画が必要です。以下で年末調整の手順を示しておきますので、年末調整担当者の方の参考になれば幸いです。なお、「給料は毎月25日支給」「毎月の給料は変動する」「冬季賞与は12月10日支給」「年末調整の対象者は50名程度」「年末調整担当者は1名」「給与計算ソフトを導入している」、以上を前提とします。

■年末調整の対象となる従業員(各種申告書の配布対象)

このことに関して誤解が多いです。「扶養親族がいなければ扶養控除等申告書を提出する必要がない」とか「家族の配偶者控除や扶養控除の対象となっているならば扶養控除等申告書を提出する必要はない」はとんでもない誤解です。また、「役員は年末調整をしなくてよい」も誤解です。

■各種申告書の配布・・・11月中旬まで

扶養控除等申告書と保険料控除申告書(兼配偶者特別控除申告書)は可能な限り早く配布することが望まれます。しかし、早く配布しても記入できない項目があります。「生命保険料」「地震保険料」、「配偶者や扶養親族の所得」などは一定の時期にならなければ基礎となる資料がそろいません。ですから、いくら早くといっても11月上旬ということになります。

なお、扶養控除等申告書は年内最初の給与を受け取るまでに提出することになっていますので、この時期の扶養控除等申告書はそれ以後に内容に異動がある従業員のみが提出することになります。

■各種申告書の回収・・・11月末まで

回収に先立ち、漏れなく配布が済んだかの確認をするくらいの慎重さが必要です。外出や出張が多い従業員の場合、用紙が配布されたことに気が付いていないことがあります。配布から回収までは2週間程度の日数は与えるべきです。添付書類の用意、各種金額の把握などに相応の日数が必要だからです。ですから、11月中旬に配布したとして締切りは11月末といったところでしょう。

■回収した各種申告書の疑問点についての質問(各種控除額の確定)・・・12月15日ごろまで(遅れると25日の給与支払いに影響する)

これが大変な作業なのです。この作業とともに各種申告書を一向に書かない=提出しない人の説得も大変です。

年末調整は年内最後の給与を支払う際に行いますので、12月25日が最終とすれば、「給与金額についての社長の承認」「銀行振込の手続」などを考慮すれば遅くとも12月15日ごろまでには各種申告書についての疑問点の質問を終わらせておき、後は計算作業だけという状態にしておかなければなりません。

■給与計算ソフトのバージョンアップ・・・できるだけ早く

給与計算ソフトは毎年バージョンアップしなければなりません。「税率」は変わっていなくても「控除」が変わっている、また、源泉徴収票などの「様式」が変わっている場合があります。給与計算ソフトは毎年バージョンアップするのが「常識!」だと考えてください。新バージョンの発売時期はメーカーによって異なるでしょうが、発売と同時に新バージョンをインストールしてください。

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★年末調整に協力しない従業員
扶養控除等申告書に「住所」と「氏名」と「生年月日」だけを記入の上、押印してもらってください。そして、「扶養親族、生命保険、地震保険は『なし』で年末調整をします。ご不満がある場合は確定申告の時期に税務署に行ってください」と告げてください。年末調整は、各従業員からの正確な申告があって初めて正確に行えるものです。正確な申告をしない従業員については、会社として安全な方法で処理する必要があります(扶養親族などを推定で決めることは避けなければなりません)。

★マイナンバー
今年(平成27年分)の年末調整では各種書類への記入は不要です。記入が必要となるのは、来年早々に提出が必要となる平成28年分の扶養控除等申告書からです。混乱のないようにしてください。

★各種申告書用紙の入手
国税庁のサイトからできます。