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【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

「年末調整のしかた」を読む(22ページ・保険料控除申告書の受理と内容の確認)

2012-11-22 11:30:00 | 源泉徴収と年末調整
22ページの「保険料控除申告書の受理と内容の確認」をご覧ください。

保険料控除(笑)、保険料控除(笑)、保険料控除(笑)。

失礼!

なにがおかしいかって?

毎年、年末調整の時期になれば、「保険に入っていれば税金が安くなる!」といって「日本中」が大騒ぎになるからですよ(笑)。控除といっても、「最高で」生命保険12万円+地震保険5万円の合計17万円です。「払った保険料の全額」ではありませんよ。

「控除」というのは給与所得から差し引いてもらえるということです。税率を乗じるのは控除後の金額ですので、確かに保険に入っていれば税金は安くなります。しかし、控除額の最高が17万円なので、税率10%の人ならば最高に安くなるのは1万7千円です。

★年末調整担当者は控除証明書の整理で大変です!

保険料控除を受けるには保険会社発行の「控除証明書」が必要で、年末調整にあたっては控除の対象となる控除証明書を勤務先に提出しなければなりません。上記のとおり控除には限度額がありますので、限度額を超える部分の控除証明書を提出しても無駄ですが、「保険に入っていれば税金が安くなる!」という思い込みから勤務先に手元にある控除証明書の「全部」を「投げつける」人が後を絶ちません(笑)。

★介護医療保険料

公的制度としての介護保険の保険料ではありません。民間の保険会社が取り扱っているものです。今年から独自の控除枠ができました。詳しくは、23ページ「ロ 介護医療保険料」をご覧ください。

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「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

「年末調整のしかた」を読む(18ページ・配偶者特別控除申告書の受理と内容の確認)

2012-11-20 17:00:00 | 源泉徴収と年末調整
18ページの「配偶者特別控除申告書の受理と内容の確認」をご覧ください。

★配偶者特別控除?

配偶者控除や扶養控除のことさえ理解できないのに、配偶者特別控除なんてとても理解できませんよね(笑)。

配偶者控除と配偶者特別控除は「別物」です。対象となるのは自身の配偶者かもしれませんが、配偶者特別控除は「『配偶者控除』の対象とはならない」配偶者に関する控除です。

配偶者控除と配偶者特別控除どちらになるかは配偶者の「所得」によります。なお、配偶者控除と配偶者特別控除のいずれの対象にもならないケースもあります。

★所得???????

そうです。これが非常に難解な概念なのです。(ケースによっては専門家でも迷います。)

これに関しては、19ページの「〔参考〕 所得の種類・収入・必要経費の範囲等」を熟読してください。「熟読!」ですよ。20ページも忘れずに読んでくださいよ。

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●所得税の計算に関する最重要概念

【所得の種類】
所得税が課税される所得には様々な種類があり、同じ「収入」であっても所得の種類によって所得の計算方法が異なってきます。これが説明されているのは、19ページの「〔参考〕 所得の種類・収入・必要経費の範囲等」です。

【合計所得金額】
配偶者や扶養親族の合計所得金額が、配偶者控除や扶養控除が適用されるかの要件になります。これが説明されているのは、11ページの「(注)3」です。

「所得の種類」に「合計所得金額」、こんな重要事項が「ひっそりと」説明されています。ご注意ください!

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「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

「年末調整のしかた」を読む(10ページ・扶養控除等(異動)申告書の受理と内容の確認)

2012-11-14 11:31:00 | 源泉徴収と年末調整
10ページの「扶養控除等(異動)申告書の受理と内容の確認」をご覧ください。

扶養控除等申告書は年末調整の代名詞です!

しかし、実は・・・、扶養控除等申告書は年末調整のときではなく、1年で最初の給料をもらうときまでに提出します。ですから、24年分の扶養控除等申告書を多くの人は24年の1月に提出済みです(実務上は税務署が前年末に用紙を配布していることから前年末に提出するケースが多いです)。

問題は扶養控除等申告書の内容に変更(異動)がある場合です。当然、あるでしょう。変更(異動)がある場合には、扶養控除等申告書を扶養控除等「異動」申告書として提出します。配偶者控除や扶養控除は年末時点の状況で決まってきますので、年内最後の最後まで変更(異動)はありうるのです。

●記入は読みやすい文字で!
社会人として当然です。

●内容は正確に!
特に「続柄」は正確に記入しなければなりません。「親族」「配偶者」に該当するかを正確に判断できませんので。

●「〇」で囲む部分を忘れずに!
「生年月日」「老人控除対象配偶者又は老人扶養親族」の「〇」を忘れる人が多いです。

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★配偶者や扶養親族の所得

「・・・所得の見積額」です。

この件については、「年末調整のしかた」11ページの「(注)3」をご覧ください。読みにくいかもしれませんが、これが「合計所得金額」についての正確な解説です。

★配偶者とは?

「配偶者」とは、婚姻の届出をしている配偶者をいい、いわゆる内縁関係の人は含まれません。「年末調整のしかた」12ページ、「控除対象配偶者」の[注意事項]に記載されています。

★親族とは?

「親族」とは、6親等内の血族と3親等内の姻族をいいます。「年末調整のしかた」13ページ、「扶養親族」の[注意事項]に記載されています。

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「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

「年末調整のしかた」を読む(10ページ・各種控除額の確認)

2012-11-14 11:30:00 | 源泉徴収と年末調整
10ページの「各種控除額の確認」をご覧ください。

「各種控除額の確認」こそ、年末調整の最重要作業で年末調整担当者をもっとも悩ませる作業です。「年末調整のしかた」でも総ページ数104ページの内39ページを割いて説明しています。それだけ、ボリュームがあり注意点も多い作業なのです。また、頻繁に改正が行われる部分でもあります。

「各種控除額」というのは、給与所得(サラリーマンがもらう給料や賞与)の税金計算において大変重要な要素です。

●給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
扶養親族がいれば税金が減ります。配偶者控除、扶養控除のことです。

●給与所得者の配偶者特別控除申告書
配偶者特別控除は、配偶者の所得が配偶者控除を受けられる水準を超えている場合の控除です。

●給与所得者の保険料控除申告書
おなじみの生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除です。

●給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
これもおなじみの(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)です。

「控除(こうじょ)」とは「差し引く」という意味です。「各種控除額」は税金の計算過程である所得の計算や計算された税金から差し引く性質のものです。「各種控除額」は個々人の状況によって異なり、しかも、その状況は本人でなければわかりませんので、上記の「申告書」で源泉徴収・年末調整をする勤務先に報告するようになっているのです。

この申告書を全従業員に配って、一定の期日までに回収しなければならないのです。期日に遅れる人もいるでしょう、白紙で回答する人もいるでしょう、複雑な家庭環境の人もいるでしょう。だから、大変なんです!

しかし、「推定」で決めることは許されません。年末調整には膨大なルールがあり、あらゆるケースについて明文化されたルールがあるからです。膨大で緻密なルールをクリアーするには、正確な事実関係の確認(正確な申告書の記入)しかないのです。

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「年末調整のしかた」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2012/01.htm

年末調整のモデルスケジュール

2012-11-10 19:00:00 | 源泉徴収と年末調整
税務署からの年末調整関連資料(各種申告書、納付書、解説書など)の送付が始まり(大阪国税局管内の税務署)、今年も年末調整の時期がやってまいりました。年末調整は、わずかな期間に全従業員分の税額を計算するという大変過酷な事務作業です。また、この作業は作業担当者の能力だけで完結することはできず、年末調整の対象となる従業員の理解と協力を欠かすことができません。

あらゆる仕事には合理的な計画が必要です。以下に年末調整のモデルスケジュールを示しておきますので、年末調整担当者の方の参考になれば幸いです。なお、「給料は毎月25日支給」「毎月の給料は変動する」「冬季賞与は12月10日支給」「年末調整の対象者は50名程度」「年末調整担当者は1名」「給与計算ソフトを導入している」、以上を前提とします。

■各種申告書の配布・・・11月中旬まで

扶養控除等申告書と保険料控除申告書(兼配偶者特別控除申告書)は可能な限り早く配布することが望まれます。しかし、早く配布しても記入できない項目があります。「生命保険料」「地震保険料」、「配偶者や扶養親族の所得」などは一定の時期にならなければ基礎となる資料がそろいません。ですから、いくら早くといっても11月上旬ということになるでしょう。

■各種申告書の回収・・・11月末まで

配布から2週間程度の日数は与えるできでしょう。添付書類の用意、各種金額の把握などに相応の日数が必要だからです。ですから、11月中旬に配布したとして締切りは11月末といったところでしょう。

■回収した各種申告書の疑問点についての質問・・・12月15日ごろまで(遅れると25日の給与支払いに影響する)

これが大変な作業なのです。(各種申告書を一向に書かない=提出しない人の説得も大変です。)

年末調整は年内最後の給与を支払う際に行いますので、12月25日が最終とすれば、「給与金額についての社長の承認」「銀行振込の手続」などを考慮すれば遅くとも12月15日ごろまでには各種申告書についての疑問点の質問を終わらせておく必要があります。

■給与計算ソフトのバージョンアップ・・・できるだけ早く

メーカーによって新バージョンの発売日は異なるでしょうが、発売と同時に新バージョンをインストールしてください。(今年は生命保険料の控除が大幅に変わっています。)